【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第50話 ある意味パルクール

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皇帝の説明も佳境に入ってきたとき末明のスマホが鳴り、電話に出るなり
「こんな夜中まで何やっとるんじゃいっ!」
怒鳴り散らかしてきたのは、おじぃちゃん。

掛け時計を見ると、もう深夜0時を過ぎていた。

うわぁ~、これは当たり前に怒られる時間。
深夜徘徊がはじまる23時までには家に帰るって約束だったもんなぁ…。

「ごめん、おじぃちゃん!今日、お祭りで友だちが転んでケガしちゃって。病院とか行ってたら遅くなっちゃって、ごめん」
毒針に狙われたことは伏せ、疑われないように事実を織り交ぜながら言い訳と謝罪。

「いますぐ帰りまぁ~す!」

紗里とともに柚吏のマンションを飛び出して、屋根や壁に飛び移りながら帰宅。

「パルクールってフランス発祥のスポーツがあって本当に助かるわ。もし動画とか撮られてても、みんな、パルクールだって思うもんね。まぁ、ある意味パルクールみたいなもんだし」
そんなことを言いながら、紗里は壁から壁へと飛び移る。

そのあとに続きながら
「それにしても嫌じゃない?今後は学校内でも平和に暮らせなくなるなんて」
ぼやいてみたけど…。

「そりゃあまぁ平和に暮らせるに越したことはないし、私だって、いままでみたいに過ごせたら幸せだとは思う。でももうすでに私たちも巻き込まれちゃってる感じだし…。もし、それが叶わないのなら抗うしかないかな?とも思った」

紗里は私よりももっと、皇帝の言葉を重く具体的に受け止めている感じだった。

私たち、一体これからどうなるんだろう…。

…そして、これからのことはもちろん、
「お前は高校生のクセに何を考えとるんじゃ!こんな深夜まで出歩いて!」
おじぃちゃんにいろいろと話せないというのも結構きつい。

とりあえず1回謝ったあとは、
「遊びで作った借金を孫に押し付けてくるようなおじぃちゃんに言われたくないわよっ!」
って怒鳴って今日のところは逃げ切ったけど…。
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