【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第84話 皇帝の弱点

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不愉快そうな柚吏の機嫌をとるかように
「ま、まさか。まぁ座りなさい」
イスを引いて座らせる皇帝。

「それより話があるなら早くして。昼休みが終わっちゃう。5時限目、影薄先生なんだよね。昨日ちらっと話をしてから、この人はちょっと気をつけたほうがいいって漠然と感じてて」

「あら、影ちゃんが生徒に話しかけるなんて珍しい。高野紗里は影ちゃんと話したのね」

「うん。昨日、話しかけられて。皇帝も影薄先生のこと知ってるの?…って、そりゃあそうか。この白鷺しらさぎ学園に10年も通ってるんだもんね」

「そうよ。だからこそ、こうやって歴代のイケメンたちをカメラに収めることができた。ラッキーな人生だわ」

イケメンたちの写真をうっとり見つめる皇帝を紗里は冷めた目で見つめながら席へ座り、
「はぁ…。イケメン信者、多いよね~。そりゃあまぁ、顔がキレイなほうが実際のところモテたり得したりることも多いんだろうし、そういう人を好きになるのも自然なことなのかもしれないけどさ。長くいっしょにいるなら、絶対中身だと思うけどな」
いつになく真面目なことを言う。

うん、それは確かにそう思う。

「まあっ、その言い方だと、イケメンは性格が悪いみたいじゃない。世のイケメンたちに謝りなさい!イケメンで性格のいい男子だってこの世には掃いて捨てるほどいるわよ。そしてここに飾ってある歴代イケメンたちは皆、容姿ともに性格も良い方たちばかり」

「あっそ、それなら別にいいんだけど。なかには上っ面だけでワーキャー言ってる人たちも多いでしょ?性格がクズほどいいなんて人もいるわけじゃん。だからもしかしたら皇帝の弱点はそこじゃないかって、ちょっと心配になっただけ」

「あらやだ。高野紗里は生意気にもアタクシの心配をしてくれていたのね。忠告としてありがたく受け取っておくわ」

皇帝はそう言うと、
「今日集まってもらったのは…」
声を潜めた。
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