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第57話 悪気のない犯罪
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「もうっ、伊吹が変なこと言うから里奈がドン引きしてるんじゃん!」
「秋穂、おめぇだわ」
また言い合いをはじめた2人に呆れながら溜め息をついた里奈に
「びっくり…しましたか?」
囁くような、なぜか申し訳な声で太郎が聞く。
「…え?」
「…ま、間違いだったらごめんなさい。あの、えっと、り、里奈さんも僕と同じで、と、途中から家庭環境がおかしくなった感じなのかな?と思いまして…」
俯き加減だった太郎と目が合って自分の家庭環境をあらためて思い出すことになり、思わず視線を逸らしてしまったのは里奈。
「…えっと…。大丈夫です。僕も同じですから」
「え…?」
「僕の場合は、お母さんがお父さんに愛想を尽かせて出て行っちゃったんですよね。小学校に上がる前くらいに、『つれて行けなくてごめん』ってお母さんが泣いてたのは、いまも記憶に残ってます」
「そ…、そんなつらいことをサラリと…」
「まぁ僕の場合、小学校に上がる前のことですから、もうね。いい加減すんなり話せ津ようにはなりました」
「…そっか…」
「その感じだと里奈さんは最近いろいろなことがあって生活が激変したんですね…。だ、大丈夫です!深くは聞きません」
いったん言葉を区切ってから問いかけた。
「…ただ、伊吹さんや秋穂さんを責めないであげてください。やっていることは犯罪だし、絶対にしちゃいけないことです。だけどそうするしかなかったり、それが当たり前みたいに馴染んでしまったりしているって理解できますか?」
「秋穂、おめぇだわ」
また言い合いをはじめた2人に呆れながら溜め息をついた里奈に
「びっくり…しましたか?」
囁くような、なぜか申し訳な声で太郎が聞く。
「…え?」
「…ま、間違いだったらごめんなさい。あの、えっと、り、里奈さんも僕と同じで、と、途中から家庭環境がおかしくなった感じなのかな?と思いまして…」
俯き加減だった太郎と目が合って自分の家庭環境をあらためて思い出すことになり、思わず視線を逸らしてしまったのは里奈。
「…えっと…。大丈夫です。僕も同じですから」
「え…?」
「僕の場合は、お母さんがお父さんに愛想を尽かせて出て行っちゃったんですよね。小学校に上がる前くらいに、『つれて行けなくてごめん』ってお母さんが泣いてたのは、いまも記憶に残ってます」
「そ…、そんなつらいことをサラリと…」
「まぁ僕の場合、小学校に上がる前のことですから、もうね。いい加減すんなり話せ津ようにはなりました」
「…そっか…」
「その感じだと里奈さんは最近いろいろなことがあって生活が激変したんですね…。だ、大丈夫です!深くは聞きません」
いったん言葉を区切ってから問いかけた。
「…ただ、伊吹さんや秋穂さんを責めないであげてください。やっていることは犯罪だし、絶対にしちゃいけないことです。だけどそうするしかなかったり、それが当たり前みたいに馴染んでしまったりしているって理解できますか?」
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