もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第75話 行方不明と刺された常連客

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「しかもオーナー兼社長が警察に任意同行されたんでしょ?よくそれでINNOCENTイノセントは営業していけるよね?黒服がしっかりしているとか?」

不思議そうに聞く相師の言葉に
「黒服って、そんなに重要な役割を担っている感じなんですか?」
ホストクラブへ潜入したからこそわいてきた疑問をぶつけずにはいられなかった沙那。

「店にもよるけど、黒服にある程度の権限を持たせているところもあるから。そういう店だと黒服の力量によって変わってくるよね」

「へぇ…」

「初回飲みにやってきたお客さんにどのホストをつけるのかを決めたり、常連客の予約なんかがバッティングしたときに人気のあるホストとお金払いのいいお客さんの関係が悪くならないようタイミングよく席の交代を促したりね」

そんなしっかりした感じの黒服は見かけなかったな。

「ヘルプについてくれたホストの話だと、INNOCENTイノセントの黒服も最近になって行方不明になっているみたいです。だから、ナンバーワンホストの絢世さん。えっと、私のテーブルについてくれたホストが黒服の役割も担っててかなり大変みたいです」

「…え?INNOCENTイノセントの黒服も行方不明なの?」

驚く相師に飛鷹が沙那から送られてきたメッセージを見せながら
「ちゃんと読まずに寝てるから」
呆れた感じで溜め息をついた。

苦笑いして誤魔化しながら相師は
INNOCENTイノセントの黒服や任意同行で引っ張られたっていうオーナー兼店長、刺された2人の常連客について、こっちで詳しく調べてみるよ。ありがとう」
真剣な表情をつくってお礼。

「だいぶヤバそうな感じだが、これ以上かかわって大丈夫か?」

心配する飛鷹をよそに沙那からのメッセージを真剣に読み返しはじめた。
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