もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第95話 やけの告白

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どんな弱みを握ればこんな極上イケメンに「お前のことしか見えていない」などと言わせることができるのか?

弱みではなく胃袋を掴んだり、とことん尽くしまくったりしたのかもしれない。
アンはイライラしながら爪を噛むと急変。

「パーティー会場はこちらです」

案内係とは思えないほど不愛想な表情と口調で遊園地内にあるいちばん奥の建物へと案内したかと思うと扉も空けず、一礼もせずに去ってしまった。

…めちゃくちゃ怒ってたなぁ…。

ちょっと悪いことをしたかも?などと血迷っていた沙那に
「さっきはいきなり抱きついて悪かったな。怪しまれて、沙那との関係を試されているように感じてしまって」
飛鷹が謝罪。

全然いいですよ。
むしろ、彼女気分を味わえて本当に幸せでした。

心の中でお礼を言ったつもりだったのに
「それならよかった」
胸を撫でおろしている飛鷹に焦る。

「…えっと私…?」
「大丈夫だ。彼女気分を味わえたというのはお世辞だとわかっている」

…いや、そこじゃなくて…。

やっぱり口に出してたんだ。
最悪。
恥ずかしすぎ。

もうこうなったらついでに…?

「飛鷹さんみたいな人が彼氏だったらいいなとか、本気で思っちゃいました」

昨日はじめてまともに話した部下からこんなことを言われても困惑するだけだとわかってはいるし、私自身、いつの間に飛鷹さんのことをこんなに好きになったんだろう?って不思議に思う。

それなのに、やけになって滑り出した言葉は止まらない。

「…飛鷹さんが彼氏だったらいいのに…」
沙那の言葉に飛鷹が固まる。

あぁ、もう最悪。
どうしてこんな告白みたいなことしちゃったんだろ?

私、やばすぎる!
明日からどんな顔をして会社へ行こう…?
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