もう恋なんてしない

第100話 イケメンを食い潰す女

「希望が被りそうな参加者も複数名いるから面白くなりそうだわ。まぁ今日はゆっくり楽しんでいって。料理や飲み物もたくさん準備してあるから」

そんな言葉を残して場を離れた成金を見つめながらシュウがニヤリと嗤って
「あんたの彼氏、狙われていると思うから気をつけろよ」
沙那に耳打ち。

「あんたは今度、店へ来て俺を指名してくれるって言ってたからもうひとつ教えておいてやるよ」
湿気を帯びた熱くてねっとりとした息とともにガムを噛む咀嚼音を挟みながら続けた。

「あの成金って女は食えねぇぞ。自分好みのイケメンは食い潰さないと気に食わない。食い尽くすじゃなくて、食い潰すってとこがやばい部分だからよく覚えておきな」

「…え？」

食い尽くすじゃなくて、食い潰すってとこがやばい？

それって、どういう意味だろう…。
まったく意味がわからなさすぎて怖い。

戸惑うしかない沙那をニヤリと見つめ
「一応、忠告はしてやったからな。店に来たときは高いボトルを入れてくれよ」
言い残して参加者と話す成金のもとへ。

なんという図々しい人…。
そうは思うも、なんでも売り上げにつなげようとするあざとさと逞しさには感心する。

成金のもとへ行き、タイミングよく料理や飲み物、そして煙草などを指し出すシュウの様子を観察しながらパーティー会場の参加者にも視線を移す。

確かに、沙那と飛鷹、シュウ以外はどう若く見ても40代以降ばかり。
性別に偏りはなく、男女がまんべんなく参加している印象を受ける。

人数は私と飛鷹さん、成金さんとシュウさんを除いた男女あわせてだいたい10名くらい？
パーティーというわりには小規模な印象。

招待用QRコードがないと参加できないだけあって人数も限られてるってことかな？
それだけ秘匿性が高いということかもしれないけど…。