もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第106話 もう逃げられないね?

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ハサミをシャキシャキと動かして切る素振りを見せつけながら沙那に近づくアン。

「じっとしてないと、お肌を傷つけちゃうわよ?」

アンがドレスの胸倉を掴み、震える沙那をじっと見つめながらゆっくりと大きなハサミの刃先で生地を挟む。
そしてハサミはジョキ…という鈍い音を立ててドレスを切り裂いた。

「ブラも胸の谷間も見えちゃった。…もう、逃げられないね?」

フフっと嗤いながらアンが沙那の胸を触ろうとしたとき、資材置き場の小窓が大きな音を立てたかと思うとガラス片が派手に飛散。
飛鷹が飛び込んできて驚く。

踏み台にされていたシュウは勢いをつけて窓から資材置き場のなかへと飛び込んだ飛鷹に肩を思いっきり踏みつけられる形となり呻き声を上げて蹲った。

「…っ、痛ぇ…。あのクソイケメン、加減を知らねぇのか!」
資材置き場の外でひとりブチ切れ、近くにあった資材置き場の外壁を蹴りながらシュウ。

沙那とアンはバリバリに割れた窓から現れた飛鷹に絶句したまま言葉が出ない。

ゴクリと息を呑み
「…私を迎えに来てくれたとかいうわけでは…なさそうね…?」
引き攣った顔で笑ったアンを
「…は?」
飛鷹がジロリと見降ろす。

そして割れた窓から侵入したことで血まみれになった手をペロリと舐めながら
「なにやってんの?」
低くて冷たい声で聞く。

「…え?」

「…え?って、なに?」
「だって…」

冷たい目で睨まれたままタジタジになっている沙那に聞く。

「シュウから渡されたワインは飲んでない。飲んだフリをしただけ。なにか入ってたよな?」
「…え…、そ、それは…」

「初対面で、しかも印象が良くないヤツの飲み物なんか俺は飲まない。それに、俺があんなクズホストにヤられるとでも?」

そう言うと飛鷹は
「俺の大事な恋人に手を出すとか、この世から消されたい?」
背筋が凍るような冷たく静かな声で質問した。
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