もう恋なんてしない

第152話 ラブラブぶりを見せつけてあげる

また飛鷹さんとのラブラブぶりを見せつけてあげる。
そういう意味だよね…？

嫌な気持ちが一気に広がっていく。

「相師、伊織、行こうっ！」

2人の腕を愉しそうに組む美羽がチラリと後ろの沙那を見て言う。

「香村さんも行こう」
ドヤ顔で。

そして提案する。

「香村さんって呼びにくいから、沙那って呼ぶね。私のことは美羽で」
「えっと…」

戸惑う沙那の言葉を遮って
「名前で呼び合うなら仲良くしないとね」
相師が突っ込む。

「…え…？」

驚く美羽をチラリと見て
「なんか美羽、沙那ちゃんには当たりが強い気がするからさ」
続ける相師。

「…そ、そんなことあるわけないじゃん…！」

美羽はそう言うとスッと沙那の隣へ来て一瞬だけ嫌そうな顔を見せたかと思うと腕を組み
「ねぇ、沙那！」
にっこりと微笑んだ。

こ…この人、怖い…。

「ごめんねぇ、美羽ってば感じ悪くて」

苦笑いで言った相師に
「だ、誰が感じ悪いって？」
美羽が突っかかる。

飛鷹は溜め息をついて美羽が握っているほうと反対側の手をそっと掴む。

「行くぞ」
そのまま沙那を引っ張るとするりと美羽の手が離れた。

「あ～っ！」

喚きはじめた美羽の手を相師が掴む。

「美羽は俺と手をつなげばいいでしょ」