もう恋なんてしない

第166話 ドSの色気と人だかり

「恥じらう素振りもえろいじゃん。煽ってんの？」

いつもの相師からは考えられないほどえろくて色気のある口調で美羽に迫る姿を横目に
「ひ、飛鷹さんも…、や、やめましょう。冗談きつい…」
苦笑いした沙那を飛鷹が睨む。

沙那の言葉がさらに
「冗談？」
飛鷹を煽り
「そ、相師、手…、手とかつなぐくらいにしようよ？」
一気にしおらしくなった美羽を相師が薄い目で見つめる。

も、もうっ！
2人とも一体どうしちゃったの？！

しかも2人ともイケメンなうえ美羽もモデルなみの美人だから、注目の的。

「…あの人たち、ベストカップルコンテストにエントリーしてるよ！」
「うわぁ！2人ともイケメンっっ」

「しかも結構ドSっぽくない？」
「わかるぅ～！大人な色気ムンムンじゃん」

「やばい～。見ていこうよ～！」

女子を中心に野次馬がすごい。

そしてどんどん投票されていくという複雑な状況が続いて、嬉しいのか恥ずかしいのか、よくわからない複雑な気持ちに苛まれていく。

こんな状況にもかかわらず、なぜか調子に乗る男2人…。

ドSの色気がすごすぎて、まわりがどんどん過激になっていく。

「やばぁ～い。かっこよすぎ。あんなイケメンに迫られたい！」
「わかる！抱かれてみたいよね～」

「酷いこととか言われてみたい！キュンキュンしちゃうかも」
「人間扱いしないでほしい！」

周囲の会話がおかしいことになってきた頃
「沙那…」
色気たっぷりで飛鷹に迫られ、沙那は背後に壁の気配を感じて息を呑んだ。