もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第185話 バンピング

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「成金…、相当やばいオバサンだね。スタッフへのパワハラにセクハラ。気に入ったイケメンスタッフはあの通路を使ってどこかへ連れ去られているんじゃないかって噂もあるし」

ABC遊園地から出て、自分の車へと飛鷹と沙那を呼んだ相師が言う。

美羽はといえば別の車で来ていたこともあり、ベストカップルコンテストでもらった賞金で相師に夜ごはんを奢ってもらう約束を取り付けて帰って行った。

「そんな噂まであるとは…」

つぶやくように言った飛鷹に
「あの通路、ちょっと調べてみる必要があるよね?カギもバンピングで簡単に開きそうな形状だったから、近々遊園地に潜り込んでみるというのはどうだ?」
相師が聞く。

「バンピング?」

「あぁ、沙那ちゃんは知らないか。バンピングはね、バンプキーっていう特殊加工されたものを差し込んで、そのカギをハンマー叩いてカギを開ける方法だよ。技術もほとんど要らないし、痕跡も残りにくいんだよね」
「…ってか相師、そんなもの俺も初耳だわ」

飛鷹が呆れたように溜め息をついて
「遊園地に忍び込むって…、また危ないことを言い出す…」
困ったような表情で相師を見つめた。

そんな飛鷹の心配をよそに相師はABC遊園地のベストカップルコンテストでもらったシイタケのフィルムを剥がしてクンクン。

「なるほど。このシイタケじゃあ売り上げも落ちるわけだね」

深く頷いて
「どう?先代のときと香り、全然ちがうくない?」
沙那の前にシイタケのパックを突き出した。
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