もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第433話 2人だけの時間

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「気づいたらシズク、佐原社長といい感じになっていませんでした?今日も病室に泊まるとか言い出すし。社長もシズクの頭を撫でたりしていて変な感じでしたね」

友己の入院している病室を出た絢世が千隼の車に乗り込むなり不思議そうにつぶやく。

「お陰で絢世と2人だけの時間が持てた」

喜ぶ千隼に
「そうですね」
微笑む絢世。

「なんか千隼さんとゆっくり2人でいる時間もなかったですもんね。バタバタすぎて」
「あぁ」

「本当だったらこのままドライブにでも行きたいですよね…」

ふと口にした絢世を見て
「行くか。ドライブ」
千隼がエンジンをかける。

「…え?でも、今日も結構な時間ですよ?もうすぐ朝…」
「オールはきついか?」

正直カラダは結構きつい。
ここのところずっと睡眠不足だし。

でも。
千隼さんとドライブできるのは嬉しすぎる!

「千隼さんとだったら全然。むしろドライブ行ったまま2人でどこかへ消えたいです」
「シズクが騒ぐぞ」

「ですね。それにこれ以上ホストが行方不明になったら、さすがに噂になりそうですもんね?いま噂になっていないことが不思議なくらい」

ゆっくりと流れていく景色を見つめる色っぽい絢世にムラムラしながら
「それだけ人ひとりがいなくなっても気づきにくい環境というのも少し怖いな」
なんとか色気のない話を振って興奮を拭い去る。

「夜職界隈はひとたび噂になれば一気に広がるんですけどね。話や噂が好きな人も多いですし。ただ夜の世界で働く人間には事情があることも結構あるから他人には踏み込まない暗黙のルールみたいなのもある。だから行方不明なんかは気づきにくいのかもしれませんね」

言い終わるとすぐ
「千隼さん、せっかく2人きりなんだからデートを楽しみません?」 
絢世は艶のある声で千隼に声をかけた。
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