もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第434話 情けないのはお互いさま

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「デート…。自信がないな。俺は絢世のことを楽しませてやれるだろうか?」

フロントガラスに映る眩い夜景と同じくらいきれいな顔をした千隼がそんなことを口走っていて、どう対応していいかわからない。

「…えっと…」
正直、戸惑ってしまう。

姿を消した元カノはもちろん、それまでにだって彼女はいたはず。
デートだっていっぱいしてきたんじゃないかと思う。

それなのに、まるではじめてみたいな言い方。

そんなふうに言ってもらえるのは嬉しいはずなのに
「そんなわけないじゃん」
否定する自分がいて一気に気持ちが墜ちる。

だけど
「この歳になって情けない話だが、絢世との遊園地デートがはじめてみたいなもので…」
自信なさそうに言った千隼の言葉にまた少し元気になる自分がいて戸惑う。

どれだけ一喜一憂するのか、と。
そしてほんの少しだけホッとする。

「だったら俺も情けないですね。千隼さんとデートしててすごくラクで素のままでいられて、それなのにドキドキして。はじめて楽しいとか思っちゃいましたから」

「…絢世…」

そっと微笑みかけてくれる千隼を愛おしく思いながら
「俺…。千隼さんといっしょに行きたい場所があります」
つぶやく。

「俺と?」
「はい。千隼さんと行きたいんです。俺のルーツに触れてほしい…」

絢世が言ったとき、千隼のスマホが鳴った。

「こんな明け方に迷惑極まりない。相手は誰だ?」

運転中の千隼から着信相手の確認を頼まれた絢世は絶句。
表示画面を見て呼吸ができなくなるくらい嫌な感覚に包まれた。

「…電話…、ハマミのオーナー…浜路から…です…」
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