もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第476話 おでこにキス

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シズクにエコバッグで殴られた拍子にベッドから転げ落ちた金子を横目に千隼が速攻で絢世のもとへと駆け寄る。

「絢世!大丈夫か?!」

返事もなく微動だにしない絢世の視線だけが千隼のほうへと動いた。
微かに表情が緩んだのを確認して千隼が絢世を抱きしめる。

ぐったりとしたカラダをやさしく抱きしめながら、そっとおでこに唇をつけて目を閉じる千隼。

「…な…、なんなの?アンタたち…?」
床に転げ落ちた金子が怒鳴りながらゆっくりとカラダを起こそうと床に手をつく。

その手をシズクが足で弾いて言う。

「起き上がるのは反省してからでしょ?」

「…は?反省?」
フッ…と嗤いながらもういちど起き上がろうとした金子の前にしゃがみこんだのは高峰。

その顔をじっと見て金子はハッとした。

「…思い出した…。アンタは確か…、絢世さんとそこのヘルプホストをドリーム不動産まで送り届けたタクシー運転手?」

「そうそう。ここ数日は俺がタクシーでこいつらをよく送り迎えしてるんだけど、知らなかったみたいだな。調査不足なのか、情報が少し古いのか?」

高峰はにやりと嗤って続ける。

「そういやさっき、このお化け屋敷にタクシーで突っ込んだから、車、弁償してよね?」
「…は?なにを言ってるの?アトラクションまでぶち壊しておいて、こっちが損害賠償を請求したいくらいよ!」

怒り狂う金子に
「どうせ来年の夏まで使わないんだから、それまでに直せばいいだろう?それとも通報されたいか?誘拐に監禁、強制性交等罪。絢世さんの様子もおかしいし、変な薬も使ったなら強要罪に傷害罪もプラスだな」
饒舌になった高峰はそう言って、また続けた。

「俺たちも最初は普通にステージの楽屋からまわってこのお化け屋敷まで来たんだぜ?だけどあんた、カギを掛けてただろ」

悪い顔をした高峰は止まらない。

「季節的に休止しているアトラクション付近だからって外壁工事なんてしてたのがよくなかったな。俺、馬鹿だからタクシーで突っ込むなんてやばい方法を思いついちゃったんだわ」
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