もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第477話 過去の経験

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「…それから、このお化け屋敷が外壁工事をしているすぐ傍だったっていうのも、最高にそそったな。建物の前にはコーンとコーンバーしかなかったから、ほぼお化け屋敷に直撃。命の保証がない自前のアトラクションも楽しかったぜ」

ドヤ顔で言い終えた高峰を金子は嗤い飛ばした。

「ウダウダと余計な話を…。警察?通報するなら、さっさと電話しましょうよ」
強気な金子。

高峰を馬鹿にしたような態度をとった金子だったけれど…。

「まさかあんたがトップなんてことはないだろう?それに絢世さんの誘拐は成金金子なりきんかねこ、あんたが個人的に目論んだこと。組織の目的は他にある。それなのに警察沙汰なんか起こしたら、あんた刑務所のなかで消されちゃうんじゃないか?」

そんな高峰の言葉に立場をわきまえたのか急におとなしくなった。

悔しそうに唇を噛みながらおとなしくなった成金。
それを見て高峰が自分のネクタイをシュルリと解いて成金の腕を縛る。

「変わった結び方ですね?」

「あぁ、これな。外科結び。医療現場でカラダの一部などを解けにくい方法で縛って固定する結紮けっさつ方法だ。要は結び方。こんなところでも元医者が役に立つとはな。なんでも体験して経験は積んでおくものだな、シズク」

高峰はそう言うと立ち上がり
「さて…。一応、絢世さんの胃も洗浄しておくかな」
着ていたジャケットの裏から胃洗浄チューブと精製水を取り出した。

「…ちょ…っ!た、高峰さん…!な、なんちゅうモノをジャケットの裏に隠し持ってるんです?!」

「胃洗浄チューブと精製水だ。ほかにもいろいろあるぞ。ちなみにこのジャケットは俺が改造した。いつ、どのタイミングでどんな状態の信也を見つけても対処できるように、元医者なりの備えというやつよ。最近は薬を無理やり飲ませて…っていうのが常套手段だから」

「すごい。すごいけど…」

驚きまくりのシズクに高峰が指示を飛ばす。

「このゴムで絢世さんの髪の毛を縛ってやってくれ。胃の内容物が髪の毛につくといけないからな」
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