【R18】年上上司のオトシ方

二久アカミ

文字の大きさ
37 / 51
3:年上上司の愛し方(※)

(10)※

しおりを挟む



「あ……っ、ぁ……っ!」
「……ここ……?」
「ぅあ……っ……っ!」
「ん……っ」

 びくんびくんっと奥村は体を揺らし、息を荒げる。彼の後ろに入れた指はきゅうきゅうと締め付けられ、きついながらも感じているのはよく分かった。
 くちゅくちゅという卑猥な音は、後ろ側なのか、前からなのか分からないぐらいに混ざっている。竿をべろりとなめて、その濃い味にくらりとした。あまりにも可愛い。

「礼人さん、下の毛も薄い……」
「なっ!?」
「あ、ごめん……色がっていう意味」

 かわいいな、と濱口は笑うと、ちゅうっと奥村の熱の塊に口付けながら先をくちゅくちゅと吸った。

「あ……っ! ふぁ……っ! だめ……っ!」
「ここ?」

 ちろちろと先端を舐め、また深くまでくわえて根元を扱く。あああ、と背中が震え、濱口の顔をおさえたまま、奥村は精をはなってしまう。
 真っ白に意識が飛んだのかもしれない。こくり、と喉の音を鳴らすと、向こうの体がこわばった。かあっと体全体を赤く染める様があまりにも愛らしい。

「……っ!!  飲むなよっ!」
「え、だって!」

 勿体ねえじゃん、と頬に散ったそれもぺろりと舐めると、奥村は信じられないという目線を送ってきた。うう、と唸っているのはよほど恥ずかしいのだろう。

「お前……ほんとに、男はじめてなのか?」
「うん……オレ、礼人さんとこうなるの……何回も想像してたから……」
「……っ!」

 でも、想像なんかより、何百倍もいいよ、と言うと、相手は首から上を真っ赤にして顔を覆ってしまった。

「……そんなの」

 オレは……できねえぞ……、期待するなよ、と口淫に僅かな抵抗を見せるのすらかわいらしい。
 濱口は、予想してました、と笑顔を浮かべて、そんなのいいよ、と奥村を抱き締めた。

「わかってるって……。あ、キスする前に口ゆすいでこようか? そういうの、イヤ?」
「……あ……」

 すぐにその場を去ろうとした濱口の腕をひきとめ、奥村はじっと彼を見つめる。

「……いい……キスして……」

 素直な言葉に、思いがけないところで罠があるんだから、と濱口は苦笑いをこぼすと、はいはい、と子供相手のようなキスをゆっくりおとして、また体を重ねていく。

「礼人さん、えっち……」
「……っ! どっちがだよ!」

 舌を絡め合っていくと、いつものような無味な舌の味じゃなくて、なんだか違和感のある味が口の中にひろがる。奥村もつい顔をしかめていた。

「にっが……まず……」

 お前、よく飲めたな、こんなもん、と、うええ、と舌を出して眉間に皺を寄せる表情がかわいい。濱口は、すりっと奥村の頬に自分の頬を寄せ、きゅうっと細い体を抱きしめた。

「……何?」
「……礼人さん、もう……」

 オレのもヤバい……と、太腿に熱を擦り付けてしまう。奥村の視線が痛い。びくびくとそそりたった其処は、同じ男なのに違うもんなんだな……などと自覚する。嫌がられるかなと思ったが、手でおそるおそる触れてきてくれた。もうそれだけで濱口の熱はどんどんとあがっていく。
 ヤバい、とか、気持ちいいとか、素直に声が漏れてしまった。
 くちゅくちゅと卑猥な音がもれ、先走りの液とともに、血管の浮き出たそれがびくびくと震えた。

「……く、口では、しねえから……な……」
「いいって、そんなの……」

 キスしてたいよ、と濱口は奥村の目を見て笑うと、奥村の体をつぶさないように優しくキスをしながら、あいた右手で彼のものも少しずつ刺激し始めた。
 肌が触れ、ただの熱を求め合うようにまぐわう。抱き合って、奥村が、リードしたいのか、濱口の手をどかせ、二人分を刺激していたのだけれど、だんだんと気がそれてきたのか手がゆるんでしまっていた。
 濱口はその手をそっと離すと、強引に二人分を掴み、ぐちゅぐちゅとまたそれを摺り合わせる。奥村がそれに気付いて、オレが! と見てくるけれど、そこはさせてよ? と押さえ込んで最後まで導こうとする。濱口がまた奥村を先にイかせ、そのあと、すぐに奥村の腹に多くの精を放った。

(11)※

 心地よい脱力感で、頭の中がチカチカっと何かがひかるように一瞬意識が飛んだ。気が緩んで、どさりと彼に乗りかかると、奥村の息と心臓の音も随分あがっていて、それがまた興奮する。

「……重い。熱い……」
「ごめんなさい……」

 むうっとしている奥村に対し、濱口は、ははっと苦く笑い、もうちょっとー……と甘えてしまう。
 奥村は、仕方ねえな……と言いながら、彼の背中に手をまわしてくれた。それから二人でゆっくりと抱き合う。そのままごろりと横になると、濱口はシーツの上で幸せそうに目を細めた。

「今日、オレ、すっげえ量多いかも……ひかねえ?」
「引いてる」
「嘘、礼人さんだって多いしな」
「……んなことねー……」
「意外と早いし?」
「っ!!  んなことねえだろ! 普通だよ!」

 ははっ、と濱口が笑うと、奥村はむうっとむくれて、まるで子供みたいだった。ほんとかわいいんだから、とシーツに頬を寄せ、じっと彼の顔を見つめる。
 濱口はごろんっと寝転がって、腕枕のように奥村の頭を引き寄せた。

「へへー……こういうの、礼人さんにしたかったんだ!」
「……」

 耳まで赤くして、バカか! と小さく言うけれど、奥村もそこから離れはしない。ちょうどいいポジションを探して小さな頭を彼の腕にのせ、大人しくおさまっている。

「……なあ」
「ん?」
「……その……」

 何かを言い淀んでいる奥村の言いたいことがわかって、濱口はあいている右腕で彼の腰を抱く。びくんっと揺れた奥村の腰に掌を這わせ、形のよい尻をきゅっと掴んでは、長い指を双丘の間に這わせた。

「……こっち……」
「……ぅあ……っ」
「ちょっとずつ、カイハツさせてください」
「……っ!」

 奥村はわなわなと唇を震わせたものの、小さく、生意気なんだよ……、と言うだけだった。そんな反応に、濱口も小さく笑う。

「礼人さん……」

 ぎゅうっと抱き締め、すげえスキ、ともう一度伝えて額にキスをする。
 あんまり幸せそうに笑うから、彼の腕の中に奥村はおさまって、胸に顔を埋めた。腕をまわして、ぎゅうっと抱き締め返す。濱口はそんな奥村に驚いて、焦ったように苦く笑った。

「あ、礼人さん、あんまりくっつかれると……っ」
「……生意気だからだ」

 腕の中から、濱口を見上げて、奥村はにっこりと笑ってくる。
 彼なりの仕返しのつもりなのかもしれないが、そんなの、何の仕返しにもなっていなくって。
 濱口は、ああああ、もう!!  と腕の力を強め、奥村に怒られて止められるまで、その彼の細い体を抱き締め続けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

またのご利用をお待ちしています。

あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。 緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?! ・マッサージ師×客 ・年下敬語攻め ・男前土木作業員受け ・ノリ軽め ※年齢順イメージ 九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮 【登場人物】 ▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻 ・マッサージ店の店長 ・爽やかイケメン ・優しくて低めのセクシーボイス ・良識はある人 ▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受 ・土木作業員 ・敏感体質 ・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ ・性格も見た目も男前 【登場人物(第二弾の人たち)】 ▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻 ・マッサージ店の施術者のひとり。 ・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。 ・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。 ・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。 ▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受 ・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』 ・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。 ・理性が強め。隠れコミュ障。 ・無自覚ドM。乱れるときは乱れる 作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。 徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。 よろしくお願いいたします。

宵にまぎれて兎は回る

宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

ヤンキーDKの献身

ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。 ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。 性描写があるものには、タイトルに★をつけています。 行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。

ミルクと砂糖は?

もにもに子
BL
瀬川は大学三年生。学費と生活費を稼ぐために始めたカフェのアルバイトは、思いのほか心地よい日々だった。ある日、スーツ姿の男性が来店する。落ち着いた物腰と柔らかな笑顔を見せるその人は、どうやら常連らしい。「アイスコーヒーを」と注文を受け、「ミルクと砂糖は?」と尋ねると、軽く口元を緩め「いつもと同じで」と返ってきた――それが久我との最初の会話だった。これは、カフェで交わした小さなやりとりから始まる、静かで甘い恋の物語。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

処理中です...