世界から無視されている女の子

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世界から無視されている女の子

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 わたしはいつもみんなに無視されています。誰に挨拶をしても、誰とすれ違っても、話しかけられることもなければ、目が合うこともありません。

 わたしが通学路を歩いていると、向かいの通りから白装束のおじさんが出てきました。幽霊さんです。何年か前から霊感の強いわたしは、幽霊さんを見ることができるのです。

 わたしは授業中なのにおしゃべりをしても許されてしまいます。テスト中に大きな声を出しても周りの人はもちろん先生でさえも注意はしてきません。授業で挙手しても決してあてられることはありません。
2年前にはなぜか机の上には白くてきれいなお花が置いてありました。

白装束のおじさんはいつも同じ道を歩いています。わたしもいつも同じ通学路を歩いているのでわかります。白装束のおじさん以外にも、生気が抜けてナイフを手にしたスーツのお兄さんに、血のついたセーラー服を着たお姉さんをよく見ます。余談ですが、幽霊さんは生前の記憶から深く思い出に残った道や場所を成仏する前に徘徊しているらしいですよ。

わたしは身長や体重が全然変わりません。ずっと11歳のまんまです。成長期のはずなのに2年もの間、変化がないのです。髪の毛も焦げたままで全身が爛れています。

わたしは感情が乏しいです。周りの子たちはおしゃれをしています。お化粧して大人びてる子たちも多く、表情も明るいです。ただ、わたしはファンデーションを塗る必要がないくらい白いので大丈夫です。紅を引いたり、軽いお化粧もしてみたいのですが、わたしはなぜだか鏡にはうつらないので、それは叶いません。うつらない理由はわかりません。

わたしには家族がいません。帰る場所もありません。両親と小さな妹の慎ましやかな、だけれどとてもしあわせな4人家族でした。2年前に火事で4人とも亡くなりました。

わたしは自分の名前がわかりません。どうして周りのお友達に無視されているのかもわかりません。幽霊さんに聞いた話だと、天国に行く前にお坊さんから地上の真名とは違う別の名前をもらえるみたいです。

だんだん身体が薄くなってきました。死んでもいないのにどうしてでしょうか。焦げた髪も爛れた肌も全身が光っています。

幽霊さんから聞いた話だと、地獄に行く人は地上で善行を積んでから地獄に召喚されるみたいです。じゃあ今まで会った幽霊さんたちは悪い人だったってこと?

2年前に大規模な火災事故があったそうです。4人家族全員が亡くなったそうです。火災の原因は長女による火の不始末だそうです。

もう透明になっちゃった。結局どうして無視されていたんだろう。もしも行くなら天国がいいな。






























































ママ達には会えるのかな。。。




















































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