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8 夜の邂逅
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「わあ……!」
思わず感嘆の声が漏れる。空中に漂ういくつもの水の塊が月の光を受け、キラキラと幻想的に光っている。魔法だ。
この世界で魔法の存在は一般的なものだが、実際に派手な魔法を見る機会はあまり多くない。大半の人が魔力を持っていると言っても、ほとんどの平民が使える魔法は精々生活魔法だ。こうやってパフォーマンスに使えるほどの魔法は憧れてしまう。
美しいその光景に見惚れていたが、静かな竪琴の音と歌声が止んだ途端に、パッと水が霧散し消えてしまう。
夜空のような紫の瞳がこちらを見据え、不思議そうにまばたきを繰り返す。美しい色の目と言い、澄んだ金色の髪と言い、身形は勿論顔立ちも整っている。魔法も使えることから貴族のような雰囲気を漂わせているが、服装から見て平民なのだろう。どこかの宿屋の息子とかだろうか。
「ご、ごめんなさい。歌声が聴こえてたので、気になってしまって……」
「いえ、……こちらこそ、うるさくしてしまったようで申し訳ありません」
「あ、いえ!演奏も歌も、とても綺麗でした」
「……」
丁寧に頭を下げ目を伏せる彼に慌てて首を横に振るが、唇をきゅっと結んだままこちらを見詰めてくる。私の顔と、それから私の服とをちらちらと視線を往復させているが、どうかしたのだろうか。
私も不思議そうに首を傾げるしかできず無言を貫いていたが、口を開いた彼の言葉に思わず凍り付いた。
「……ベルグラン嬢?」
ベルグラン。ヴィオレットのファミリーネーム。つまりはフェヴァイユ王国の公爵家の名前だ。
この人は私をヴィオレットだと勘違いしている。
何故平民がベルグラン家の令嬢のことを知っているのだろう。いや、知っているのは構わないけれど、こんなドレスも着ていない姿でヴィオレットだと思ったということは、魔力の波長で判断したということなのだろうか?
でも、今の私に顔立ちを誤魔化す幻影魔法は使われていない。つまり、顔立ちを見て判断できない程度の仲だ。やはりどこかの宿屋の従業員と考えるのが自然か。以前ヴィオレッタがここへ泊まり、その際に魔力の波長を覚えた……と。とりあえずこう推測しておこう。
「……ええ。何か?」
「ああ、やはりそうでしたか。衣装が違うので、気付くのが遅れてしまいました。今日はお忍びですか?」
「そう……ですね。パルナソスで歌劇を観た帰りです。少し余韻に浸りたくて」
「歌劇……」
肯定するか否か迷ったが、つい口をついて頷いてしまった。自分がヴィオレットだと告げてしまえば、折角アリバイのために私がここに一泊した意味がなくなってしまう。内密にしてもらうよう頼む他ないだろうか。
「タミューラ劇場の……、もしかして、『アミールズにて嗤え』ですか?」
そんな私の心配も他所に、歌劇の方に食いついたらしく、青年はこちらに探りを入れるように上目遣いで見上げてくる。既にヴィオレットだと明かしてしまった以上、歌劇について漏らすことに抵抗は覚えなかった。
おずおずと、慎重に私は口を開く。
「……!え、ええ。そうです。私、主演のエミール・ルカヴァリエを以前から応援していまして」
「エミール……。そうですか」
彼は少し俯いて考え込んだ後、竪琴を手にすっくと立ち上がった。私がどぎまぎと戸惑っていると、ふっとこちらへ視線を向け、安心させるように柔らかく微笑んだ。
彼の手から竪琴がふわりと離れたかと思うと、ひとりでに曲を奏で始める。これも魔法だ。
「陶器の肌……瑠璃の宝石、月光を灯すその心こそ……」
「へ……」
芯のある美しい歌声。先程ここにたどり着いたときに聴いた儚い歌声とは違い、悠然とした気持ちのいいものだった。それは今日の昼過ぎに劇場で聴いたものにそっくりだ。そう判断しやすかったのは、その歌詞までもが歌劇そのままだったからだ。
歌いながら、彼が一歩大きく距離を詰めたかと思うと、片手は自然な動作で私の腰へと、そしてもう一方の手は私の手を取り、彼がリードしてくるりとその場で回る。
私は呆然と青年の動きに委ねたまま、体勢を崩して相手の方へと倒れ込んでしまう。
「ひゃっ!?っわ、あ、あの……っ」
これは明らかに貴族の踊りだ。この人は宿屋の息子などではないのだろうか?というか、どうして歌劇の歌詞を、それよりどうしてエミールと同じ声を?私は混乱して目を白黒させるばかりで、きっと素っ頓狂な表情で彼を見詰めているはずだ。
「……?…大丈夫、落ち着いて。私の動きに合わせて、足を出して……」
彼も負けじときょとんとした表情で見詰めてくる。何を勘違いしたのか、まるで子を見守るような温かな笑みを見せたかと思えば、そっと手を引き一歩下がり、私が立つよう促してくる。慌てて姿勢を戻し、ついでにそのまま離れようかと思ったが、腰に回された彼の腕がそれを許さない。
仕方なく彼の言う通りに足を出し、身を翻し、とても公爵令嬢のそれとは言い難い拙いダンスが完成していく。
「うん、上手」
優しく囁くと、彼がメロディーの途中から歌い始めた。しかし歌劇で聴いた歌詞ではなく、即興で作ったのか別の歌だ。段々と曲自体も変わり始め、ゆったりとしたテンポに変わる。私のダンスの拙さに合わせてくれたのだろうか。振り自体も妙なアレンジは入れずに同じステップだけを繰り返してくれているらしい。
ガサ、と木が揺れる音が聞こえた。途端に紫の双眸が僅かに鋭さを持ち、音がした方へと視線を向ける。しかしそれは一瞬で、私を安心させるためかすぐに瞳が弧を描く。その場で2人で半分ターンし、物音のした方が視界に入った。
人だ。貴族ではない平民の素朴な服装。私たちが踊る姿を興味深そうに、段々と目をキラキラさせて眺め始めた。最初は1人だったのが、2人、4人……と、次第に人数が増え始めている。堪らす頬が火照り出すのを自覚すると、ふっと青年の唇から笑みがこぼれる音がした。
「もう少し。彼らにとって今は貴女がサブリナだ」
また歌の合間に小さく囁かれる。歌劇に出てくるヒロインの名前を出して励まそうというつもりなのだろうが、こちらは当然それどころではなく、彼の足取りについていくのがやっとだ。
それを察したのか、触れ合う手からじわりと熱い何かを感じたかと思えば、私たちの周囲にぶわっと幻想的な光の粒が舞い散った。彼の魔法だ。手から伝わる熱……これが魔力なのだろうか。魔法に対して詳しくない私でもわかる、確実に多い魔力だ。
そんなことも知らない衆人はわぁっと沸いた。同時に曲調が段々と昂りつつあり、絶頂を迎えた瞬間に彼に半ば抱き寄せられる形で2人でポーズを決める。
曲も私たちもぴたりと止まり、その場に誰もいなくなったかのような静寂が訪れた後、先程よりもずっと熱狂的に観客が各々声を上げ、拍手が鳴り響く。とはいえ時間帯もあり控えめだが、代わりに温かさを感じた。
「……少し騒ぎが大きくなりすぎた。さあ、行きましょうか!」
「え?……きゃっ!?」
ぼそりと呟きが聞こえたかと思えば、膝裏に腕を差し込まれお姫様抱っこで抱え上げられる。竪琴と私を抱えた彼は、暗い紫の瞳を爛々と輝かせながら唐突に走り始め、連れ去られる私は相手にしがみつく他ないのだった。
思わず感嘆の声が漏れる。空中に漂ういくつもの水の塊が月の光を受け、キラキラと幻想的に光っている。魔法だ。
この世界で魔法の存在は一般的なものだが、実際に派手な魔法を見る機会はあまり多くない。大半の人が魔力を持っていると言っても、ほとんどの平民が使える魔法は精々生活魔法だ。こうやってパフォーマンスに使えるほどの魔法は憧れてしまう。
美しいその光景に見惚れていたが、静かな竪琴の音と歌声が止んだ途端に、パッと水が霧散し消えてしまう。
夜空のような紫の瞳がこちらを見据え、不思議そうにまばたきを繰り返す。美しい色の目と言い、澄んだ金色の髪と言い、身形は勿論顔立ちも整っている。魔法も使えることから貴族のような雰囲気を漂わせているが、服装から見て平民なのだろう。どこかの宿屋の息子とかだろうか。
「ご、ごめんなさい。歌声が聴こえてたので、気になってしまって……」
「いえ、……こちらこそ、うるさくしてしまったようで申し訳ありません」
「あ、いえ!演奏も歌も、とても綺麗でした」
「……」
丁寧に頭を下げ目を伏せる彼に慌てて首を横に振るが、唇をきゅっと結んだままこちらを見詰めてくる。私の顔と、それから私の服とをちらちらと視線を往復させているが、どうかしたのだろうか。
私も不思議そうに首を傾げるしかできず無言を貫いていたが、口を開いた彼の言葉に思わず凍り付いた。
「……ベルグラン嬢?」
ベルグラン。ヴィオレットのファミリーネーム。つまりはフェヴァイユ王国の公爵家の名前だ。
この人は私をヴィオレットだと勘違いしている。
何故平民がベルグラン家の令嬢のことを知っているのだろう。いや、知っているのは構わないけれど、こんなドレスも着ていない姿でヴィオレットだと思ったということは、魔力の波長で判断したということなのだろうか?
でも、今の私に顔立ちを誤魔化す幻影魔法は使われていない。つまり、顔立ちを見て判断できない程度の仲だ。やはりどこかの宿屋の従業員と考えるのが自然か。以前ヴィオレッタがここへ泊まり、その際に魔力の波長を覚えた……と。とりあえずこう推測しておこう。
「……ええ。何か?」
「ああ、やはりそうでしたか。衣装が違うので、気付くのが遅れてしまいました。今日はお忍びですか?」
「そう……ですね。パルナソスで歌劇を観た帰りです。少し余韻に浸りたくて」
「歌劇……」
肯定するか否か迷ったが、つい口をついて頷いてしまった。自分がヴィオレットだと告げてしまえば、折角アリバイのために私がここに一泊した意味がなくなってしまう。内密にしてもらうよう頼む他ないだろうか。
「タミューラ劇場の……、もしかして、『アミールズにて嗤え』ですか?」
そんな私の心配も他所に、歌劇の方に食いついたらしく、青年はこちらに探りを入れるように上目遣いで見上げてくる。既にヴィオレットだと明かしてしまった以上、歌劇について漏らすことに抵抗は覚えなかった。
おずおずと、慎重に私は口を開く。
「……!え、ええ。そうです。私、主演のエミール・ルカヴァリエを以前から応援していまして」
「エミール……。そうですか」
彼は少し俯いて考え込んだ後、竪琴を手にすっくと立ち上がった。私がどぎまぎと戸惑っていると、ふっとこちらへ視線を向け、安心させるように柔らかく微笑んだ。
彼の手から竪琴がふわりと離れたかと思うと、ひとりでに曲を奏で始める。これも魔法だ。
「陶器の肌……瑠璃の宝石、月光を灯すその心こそ……」
「へ……」
芯のある美しい歌声。先程ここにたどり着いたときに聴いた儚い歌声とは違い、悠然とした気持ちのいいものだった。それは今日の昼過ぎに劇場で聴いたものにそっくりだ。そう判断しやすかったのは、その歌詞までもが歌劇そのままだったからだ。
歌いながら、彼が一歩大きく距離を詰めたかと思うと、片手は自然な動作で私の腰へと、そしてもう一方の手は私の手を取り、彼がリードしてくるりとその場で回る。
私は呆然と青年の動きに委ねたまま、体勢を崩して相手の方へと倒れ込んでしまう。
「ひゃっ!?っわ、あ、あの……っ」
これは明らかに貴族の踊りだ。この人は宿屋の息子などではないのだろうか?というか、どうして歌劇の歌詞を、それよりどうしてエミールと同じ声を?私は混乱して目を白黒させるばかりで、きっと素っ頓狂な表情で彼を見詰めているはずだ。
「……?…大丈夫、落ち着いて。私の動きに合わせて、足を出して……」
彼も負けじときょとんとした表情で見詰めてくる。何を勘違いしたのか、まるで子を見守るような温かな笑みを見せたかと思えば、そっと手を引き一歩下がり、私が立つよう促してくる。慌てて姿勢を戻し、ついでにそのまま離れようかと思ったが、腰に回された彼の腕がそれを許さない。
仕方なく彼の言う通りに足を出し、身を翻し、とても公爵令嬢のそれとは言い難い拙いダンスが完成していく。
「うん、上手」
優しく囁くと、彼がメロディーの途中から歌い始めた。しかし歌劇で聴いた歌詞ではなく、即興で作ったのか別の歌だ。段々と曲自体も変わり始め、ゆったりとしたテンポに変わる。私のダンスの拙さに合わせてくれたのだろうか。振り自体も妙なアレンジは入れずに同じステップだけを繰り返してくれているらしい。
ガサ、と木が揺れる音が聞こえた。途端に紫の双眸が僅かに鋭さを持ち、音がした方へと視線を向ける。しかしそれは一瞬で、私を安心させるためかすぐに瞳が弧を描く。その場で2人で半分ターンし、物音のした方が視界に入った。
人だ。貴族ではない平民の素朴な服装。私たちが踊る姿を興味深そうに、段々と目をキラキラさせて眺め始めた。最初は1人だったのが、2人、4人……と、次第に人数が増え始めている。堪らす頬が火照り出すのを自覚すると、ふっと青年の唇から笑みがこぼれる音がした。
「もう少し。彼らにとって今は貴女がサブリナだ」
また歌の合間に小さく囁かれる。歌劇に出てくるヒロインの名前を出して励まそうというつもりなのだろうが、こちらは当然それどころではなく、彼の足取りについていくのがやっとだ。
それを察したのか、触れ合う手からじわりと熱い何かを感じたかと思えば、私たちの周囲にぶわっと幻想的な光の粒が舞い散った。彼の魔法だ。手から伝わる熱……これが魔力なのだろうか。魔法に対して詳しくない私でもわかる、確実に多い魔力だ。
そんなことも知らない衆人はわぁっと沸いた。同時に曲調が段々と昂りつつあり、絶頂を迎えた瞬間に彼に半ば抱き寄せられる形で2人でポーズを決める。
曲も私たちもぴたりと止まり、その場に誰もいなくなったかのような静寂が訪れた後、先程よりもずっと熱狂的に観客が各々声を上げ、拍手が鳴り響く。とはいえ時間帯もあり控えめだが、代わりに温かさを感じた。
「……少し騒ぎが大きくなりすぎた。さあ、行きましょうか!」
「え?……きゃっ!?」
ぼそりと呟きが聞こえたかと思えば、膝裏に腕を差し込まれお姫様抱っこで抱え上げられる。竪琴と私を抱えた彼は、暗い紫の瞳を爛々と輝かせながら唐突に走り始め、連れ去られる私は相手にしがみつく他ないのだった。
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