時を裂く

彩葉 ちよ

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「ブラッディストとは怨霊とは違う。特に増え方が」
「と言うと?」
 凛は椅子に腰掛け直して、話に熱中する素振りを見せる。
「怨霊は、不幸に死んでいった者の魂。人を傷つけるためだけに存在しているのです」
「それはわかっています」
 凛は長い髪を耳にかけた。
「そのため、死んだ者に対抗できるのは死んだ者しかいないと、魔術士の始祖は考えました。それでその始祖は、死んで魂だけを生かし、怨霊を滅ぼすためだけに戦ったのです」
「存じています」
 話が回りくどくなってきた。
「その子孫が、あなたがた魔術士なんですよ」
 小さい頃から植え付けられてきた知識だった。いまさら校長は何を言っているのか。
「それと、ブラッディストとはどんな関係があるんです?」
「魔術士とブラッディストは元は同じ人間という種族だったんですよ」
 いきなりの初耳の言葉に思わず腰を浮かせる。
「その様子だと知らなかったようですね」
「…勉強不足です」
 校長が紅茶に砂糖を入れた。あなたも飲みますか、と問われ首を横に振る。
「魔術士の始祖は首を絞めて死んだんです。ですが同じように魔術士になろうとしたブラッディストの始祖は方法を謝り、割腹して死んだ。そのときに出た大量の血が作用してその者はブラッディストになってしまった」 
「そうなんですか」
 凛は近くにあったチョコレートをつまんだ。
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