1 / 12
恐の章
玄関
しおりを挟む
私の住んでるアパートには、他の所にはない変なルールがある。
それは、毎日17時30分から10分間は玄関の鍵を開けておかないと駄目というものだ。
泥棒に入られる可能性もあるのに、そんなことをする必要はあるのか?
引っ越して早々聞かされたルールに対して質問をしたが、お隣さんも詳しくは分からないらしい。
ただ、ずーっと昔から決められている決まり事とのこと。
最初は私も受け入れて、外をしっかり確認したあとに鍵を開けていた。
そして10分経ったらいそいそと玄関まで向かい、鍵を閉める。
正直面倒くさいが、周りの人たちに合わせないと世間体に影響しそうというのも続いていた理由。
でもそんなある日、私は17時に入ってから強烈な睡魔に襲われた。
昼寝というには遅いけれど、それまでやっていた掃除の疲れが出たのかもしれない。
窓から差し込んでくる夕陽と、柔らかいソファーが心地良い睡眠へと誘ってくる。
ああ、玄関に行かないと。頭の中ではそう葛藤したが、結局負けて眠ってしまった。
目が覚めると、まだ外は明るい。時計の短針も、そこまで動いてなかった。
17時35分。私は欠伸を噛み殺しながら玄関へと向かう。ルールを守るために。
たった数分遅れただけ。その油断が、駄目だったのかもしれない。
裸足のせいで冷たいフローリングを歩いて行き、鍵を開けようとしたその時。
扉の向こう側で声が聞こえた。
「開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ……」
気が付くと私は、再びソファーで目が覚めていた。時刻は17時40分。
あれは夢だったのか? 恐らく、それは違う。
だって、玄関にこびり付く手形の跡が今もなお残っているから。
――そんな体験をしてから、私は色々と調べて分かった事がある。
この付近、そして玄関は、いわゆる神様の通り道になっている可能性が高いそうだ。
一見すると不気味だが、通る神様が近寄ってくる怪異から守ってくれるらしい。
だから感謝の意味を込め、毎日決められた時間内は鍵を開けて道を作るそう。
これが正しい情報かは分からないが、私はそれ以降ルールを忘れず守っている。
……ただ、私は一つ引っかかった事がある。
あの日、扉の向こうに居たのは 神様か、怪異か、どっちなんだろう?
それは、毎日17時30分から10分間は玄関の鍵を開けておかないと駄目というものだ。
泥棒に入られる可能性もあるのに、そんなことをする必要はあるのか?
引っ越して早々聞かされたルールに対して質問をしたが、お隣さんも詳しくは分からないらしい。
ただ、ずーっと昔から決められている決まり事とのこと。
最初は私も受け入れて、外をしっかり確認したあとに鍵を開けていた。
そして10分経ったらいそいそと玄関まで向かい、鍵を閉める。
正直面倒くさいが、周りの人たちに合わせないと世間体に影響しそうというのも続いていた理由。
でもそんなある日、私は17時に入ってから強烈な睡魔に襲われた。
昼寝というには遅いけれど、それまでやっていた掃除の疲れが出たのかもしれない。
窓から差し込んでくる夕陽と、柔らかいソファーが心地良い睡眠へと誘ってくる。
ああ、玄関に行かないと。頭の中ではそう葛藤したが、結局負けて眠ってしまった。
目が覚めると、まだ外は明るい。時計の短針も、そこまで動いてなかった。
17時35分。私は欠伸を噛み殺しながら玄関へと向かう。ルールを守るために。
たった数分遅れただけ。その油断が、駄目だったのかもしれない。
裸足のせいで冷たいフローリングを歩いて行き、鍵を開けようとしたその時。
扉の向こう側で声が聞こえた。
「開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ
開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ……」
気が付くと私は、再びソファーで目が覚めていた。時刻は17時40分。
あれは夢だったのか? 恐らく、それは違う。
だって、玄関にこびり付く手形の跡が今もなお残っているから。
――そんな体験をしてから、私は色々と調べて分かった事がある。
この付近、そして玄関は、いわゆる神様の通り道になっている可能性が高いそうだ。
一見すると不気味だが、通る神様が近寄ってくる怪異から守ってくれるらしい。
だから感謝の意味を込め、毎日決められた時間内は鍵を開けて道を作るそう。
これが正しい情報かは分からないが、私はそれ以降ルールを忘れず守っている。
……ただ、私は一つ引っかかった事がある。
あの日、扉の向こうに居たのは 神様か、怪異か、どっちなんだろう?
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
近づいてはならぬ、敬して去るべし
句ノ休(くのやすめ)
ホラー
山中、もしあなたがそれに出会ったら……
近づいてはいけない。
敬して去るべし。
山を降りろ。
六年勤めた会社を辞めた。お荷物だとはわかっていたし、むしろ清々しくもあった。
28歳のコウイチには、仕事より大切なものがあった。
田舎歩きだ。そこ大事なのが学生のときにかじった民俗学だ。廃集落、古い祠、忘れられた神々——それを訪ねることは、彼のたった一つの愉しみだった。
大学時代、民俗学の講義で准教授はこう言った。「神々は神ではない」。人が畏れ、従い、忖度したものがかみになる。その言葉がコウイチを変えた。
会社の営業で関東のあちこちを歩きまわった。コウイチは仕事よりも土地の古老の話に耳を傾けることに熱中した。
ふと見つけた資料にコウイチは目を奪われた。
「名付け得ぬ神」。
東京の西、檜原村の奥深く、コボレザワという場所にその祭祀を担った一族がいたという。山奥には祠があるらしい。だがもう六十年も前に無人になってしまっているようだ。
コウイチは訪ねることにする。
道中、奇妙な老人に出会う。一人目は気のいい古書店主。二人目は何かを知りながら口を閉ざす資料館の老人。そして三人目は——
雪深い山の中でコウイチはついに祠を見つけた。巨大な岩を背にした祠は古び、壊れていたが、まだ人が来ている痕跡があった。
不穏な気配にコウイチは振り向くが、なにもない。
あれ? 鳥の声が、まったくない。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/3/8:『ほうもんしゃ』の章を追加。2026/3/15の朝頃より公開開始予定。
2026/3/7:『こんびに』の章を追加。2026/3/14の朝頃より公開開始予定。
2026/3/6:『えれべーたー』の章を追加。2026/3/13の朝頃より公開開始予定。
2026/3/5:『まよなかのあしおと』の章を追加。2026/3/12の朝頃より公開開始予定。
2026/3/4:『ぎいぎいさま』の章を追加。2026/3/11の朝頃より公開開始予定。
2026/3/3:『やま』の章を追加。2026/3/10の朝頃より公開開始予定。
2026/3/2:『いおん』の章を追加。2026/3/9の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
しずめ
山程ある
ホラー
六つの森に守られていた村が、森を失ったとき――怪異が始まった。
フォトグラファー・那須隼人は、中学時代を過ごしたN県の六森谷町を、タウン誌の撮影依頼で再訪する。
だがそこは、かつての面影を失った“別の町”だった。
森は削られ、住宅街へと変わり、同時に不可解な失踪事件が続いている。
「谷には六つのモリサマがある。
モリサマに入ってはならない。枝の一本も切ってはならない」
古くからの戒め。
シズメの森の神に捧げられる供物〝しずめめ〟の因習。
そして写真に写り込んだ――存在しないはずの森。
三年前、この町で隼人の恋人・藤原美月は姿を消した。
森の禁忌が解かれたとき、過去と現在が交錯し、隼人は“連れ去られた理由”と向き合うことになる。
因習と人の闇が絡み合う、民俗ホラーミステリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる