しずめ

かつてN県の六森谷村には、その村域に侵さざる六つの森があった。

フォトグラファー・那須隼人は、タウン誌に掲載する写真の依頼を受け、中学の一時期を過ごしたこの町を再度訪れる。

しかし、大規模な開発によって森は削られ、田畑と木々ばかりだった風景は整然とした住宅街へと変わっており、そこはもう彼が知る町ではなかった。

さらには、町を守ってきた森の消失とともに、不可解な失踪事件や怪異が相次ぐようになっていた。

『谷には六つのモリサマがある。モリサマは村を守っている。モリサマに入ってはいけない。枝の一本も切ってはいけない』

古くから言い伝えられていた戒め。祭り。神事。
シズメの森の神への供物〝しずめめ〟の因習。

写真に写った〝そこにはないはずのない森〟


――そして三年前、隼人の恋人・藤原美月が姿を消したのもこの町でだった。

過去と現在が交錯する中、隼人は郷土史家・見学の協力を得て村の真実へと近づいていく。

森に秘された禁忌が解かれ、恋人を連れ去った運命と対峙したとき、隼人が目にするものとは――

過去に葬られた因習と、人の闇が交錯する民俗ホラーミステリー
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