ウマヤト
のちの世に「聖徳太子」と呼ばれることになる少年・ウマヤト(厩戸皇子)。
四方を山に囲まれ、|大臣《おおおみ》ウマコの張り巡らせた権謀術数に息の詰まるヤマトの宮廷。
そこから逃れるように赴いたカワチの地で、ウマヤトは武人・モノノベのモリヤと出会う。
宮廷の礼儀をあえて崩し、ウマヤトを皇子としてではなく、一人の少年として扱うモリヤ。
生駒山の壁を背にしながらも、遥か難波の海へ、大陸へと開かれたカワチのシブカワは、ウマヤトにとって人生で初めて出会った「兄」の土地であり、唯一息ができる無条件の聖域となっていく。
しかし、海外の巨大帝国・ズイの脅威に抗するため、ヤマトを「古い神話の国」から「近代技術の国」へと創り変えねばならないという現実が、ウマヤトの若い肩に重く圧し掛かる。
──あなたの魂と誇りを汚させない。他の誰でもない、己の意志で、この手で、あなたを終わらせる。
国家の近代化という重い使命を背負いながらも、ヤマトを愛しその身を捧げる少年の孤独。
彼に「世界の広さ」を教えながらも時代の奔流に消えていく無骨な古き武人。
激動の歴史の狭間で交錯する、二人の切なき絆を描き出す。
古代日本の権力闘争(丁未の乱)の裏で失われていく「神話の世界」と、避けられぬ「国家の新生」を描く歴史ファンタジー・ブロマンス小説。
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