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恐の章
悪戯書き
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あなたの名前はなぁに わたしは加奈子
「……なんだ、これ」
自分が住んでるアパートの柱に、書かれていた言葉。
随分と汚い字ではあったが、何故だか俺は簡単に読めた。
(近所に子供なんて住んでたっけ?)
悪戯をされた苛立ちもある。しかし、それよりも驚きの方が勝っていた。
隣に部屋に住んでいる方は子供を連れているが、まだ字も書けない年齢だ。
では近くの公園でよく遊んでる小学生の仕業かと問われれば、恐らく答えは違う。
(あんな高い位置に、よく書いたな)
はっきりと記されたその文字は、成人男性が背伸びをしてギリギリ届く高さだ。
わざわざあんな所に書く理由も、その内容だって訳が分からない。
すぐ下に記入でもしろという事か?自分の名前を?
こんな意味不明な落書きは、無視しておけばいずれ管理人が消すだろう。
それに俺も、袋に入っているアイスを早く冷蔵庫に入れないといけない。
そう思っていたのに、馬鹿みたいな好奇心のせいか、偶然にも買っていたからか。
新品のペンで、試し書きという名目のままに柱に書き込んだ。
あなたの名前はなぁに わたしは加奈子
永田 慎吾です。
こんな公衆の面前で本名を教えるわけがない。
変な宗教とか犯罪に巻き込まれるつもりは無いので、偽名を使う。
どうせ数日経てば管理人によって消える悪戯に、少しの情けを掛けただけ。
簡単な作業を終えたように一息ついた俺は、カツカツと階段を上がり部屋に戻った。
後日
身支度を終え、仕事場へ向かうために玄関を出る。
足元に注意しながら一歩ずつ階段を下りきって、ふと真横を見た。
そこには柱がある。特段なんの思い入れもないただの柱。
まだ覚醒し切っていない頭は、昨日の出来事を忘れていた。
「…………あ」
あなたの名前はなぁに わたしは加奈子
永田 慎吾です。
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
昨日の続きが、そこには書かれていた。
それを見た瞬間、俺は駆け足でその場から離れる。
電車に揺られながら、なるべく何も考えずに、仕事の時間を過ごして帰宅した。
アパートに近づくにつれて心臓の音が大きくなっているのが分かっていたが、帰ってくるとそこにはもう何も書かれていなかった。
消されたのか、本当は俺が見た幻覚だったのか。それは分からない。
一体誰が、何のためにやったんだろう? この町では、もはや探る術もないけれど。
「……なんだ、これ」
自分が住んでるアパートの柱に、書かれていた言葉。
随分と汚い字ではあったが、何故だか俺は簡単に読めた。
(近所に子供なんて住んでたっけ?)
悪戯をされた苛立ちもある。しかし、それよりも驚きの方が勝っていた。
隣に部屋に住んでいる方は子供を連れているが、まだ字も書けない年齢だ。
では近くの公園でよく遊んでる小学生の仕業かと問われれば、恐らく答えは違う。
(あんな高い位置に、よく書いたな)
はっきりと記されたその文字は、成人男性が背伸びをしてギリギリ届く高さだ。
わざわざあんな所に書く理由も、その内容だって訳が分からない。
すぐ下に記入でもしろという事か?自分の名前を?
こんな意味不明な落書きは、無視しておけばいずれ管理人が消すだろう。
それに俺も、袋に入っているアイスを早く冷蔵庫に入れないといけない。
そう思っていたのに、馬鹿みたいな好奇心のせいか、偶然にも買っていたからか。
新品のペンで、試し書きという名目のままに柱に書き込んだ。
あなたの名前はなぁに わたしは加奈子
永田 慎吾です。
こんな公衆の面前で本名を教えるわけがない。
変な宗教とか犯罪に巻き込まれるつもりは無いので、偽名を使う。
どうせ数日経てば管理人によって消える悪戯に、少しの情けを掛けただけ。
簡単な作業を終えたように一息ついた俺は、カツカツと階段を上がり部屋に戻った。
後日
身支度を終え、仕事場へ向かうために玄関を出る。
足元に注意しながら一歩ずつ階段を下りきって、ふと真横を見た。
そこには柱がある。特段なんの思い入れもないただの柱。
まだ覚醒し切っていない頭は、昨日の出来事を忘れていた。
「…………あ」
あなたの名前はなぁに わたしは加奈子
永田 慎吾です。
永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
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永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子永田加奈子
昨日の続きが、そこには書かれていた。
それを見た瞬間、俺は駆け足でその場から離れる。
電車に揺られながら、なるべく何も考えずに、仕事の時間を過ごして帰宅した。
アパートに近づくにつれて心臓の音が大きくなっているのが分かっていたが、帰ってくるとそこにはもう何も書かれていなかった。
消されたのか、本当は俺が見た幻覚だったのか。それは分からない。
一体誰が、何のためにやったんだろう? この町では、もはや探る術もないけれど。
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