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思い出を作ろう
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ほんのりと薄暗く調光されたその部屋は、ブラウンと白で統一された、おしゃれなリゾートホテルのようだった。――ベッドが異様に大きすぎる点を除いては。しかも、そこだけスポットライトとか当たってるし。
ヤバい。これは、ヤバいっ。
なんて思っている間に、颯太は、慣れた様子で奥に進んで行き、黒いダウンを脱いでソファの背にかけた。長袖のラガーシャツとチノパンといういつもの格好なのに、こんな場所のせいか、なんだか別人のようにも感じる。
一方で私は入り口のところで足がすくんでいた。それがなんだか、やっぱり不公平で。
「どうした?」
入り口のところで立ったままの私の肩に、戻ってきた颯太が自然に手をまわして、奥へと促した。颯太の、そういうさりげない行動に、私だけドキドキしてるのが浮き彫りになるのが、なんか、悔しい。
「……こういうとこ、良く来るの?」
「気になる?」
「そりゃ――」
気にならないわけがない――と言いかけた私の唇を、颯太の唇が封じた。
「そんなの、すぐに、気にならなく、させてやるよ」
軽く唇を重ねたまま喋るので、微妙な振動が妙な感覚を呼び起こす。
颯太の手が、私の背中に回った。
唇はくっついたまま、大きな手が服の上から、背中全体を撫でまわす。
背筋に沿って、下から撫で上げられると、腰のあたりがふわりと浮くような感覚になった。
「腕、俺の首の後ろに、回して?」
囁くようにそう言われて、初めて、私は自分が茫然と突っ立っていたことを思い出す。
言われた通り、首の後ろに腕を回した。
颯太って、こんなに背、高かったんだ。
なんて改めて考えている間に、私から離れた颯太の唇は、今度は私の耳元へ移動していく。
軽く食まれているのは、外耳や耳朶なのに、背中がぞわぞわして、思わず「ひぁっ」っと声が漏れた。
何だろう、この――くすぐったいような、それでいてふわふわした感覚。
気持ちいいのとは、違うな、と妙に冷静なもう一人の私が頭の隅で考える。
「まだ、余計なこと、考えてる?」
耳のすぐ近くで、言われて、今度は胸の奥がこそばゆくなった。
なんで、耳に刺激を受けてるのに、腰とか背中とか胸の奥とかがジンジンするわけ?
「やだ……そんな、に、耳のそばで、喋らない、で」
「へぇ、千尋は、耳がイイんだ?」
イイなんて言ってないし――と反論する前に、颯太が、外耳のあたりに鼻をこすりつけたり、耳の付け根のあたりを舐めたり、耳の後ろにキスしたりし始めたから、代わりに、開きかけた口から「あん」なんて、なんともいやらしい声が漏れた。
これ、すごく、恥ずかしい。
絶対、耳とか真っ赤になってるはず。
ほんとに、もう、どうでもいいから、早く終わってほしいっ。
いや、これは、別に、早くヤりたいわけじゃなくって――
頭の中は、自分の考えに自分で突っ込んだりして、自分でもわけがわからなくなりつつあった。
それでいて、颯太が、左耳を鼻や口で、右耳を指で攻めてくるもんだから、また声が漏れないように、口をしっかり閉じておかなければならないし。
頭の中は、独り言やら突っ込みやらで一杯になってたら、いきなり、ふわっと両脚を掬われた。
「ぁっ――?」
気がつくと、颯太は私を軽々とお姫様抱っこしていて、例の、大きなベッドに歩み寄っている。
「や――」
怖くなって声を上げると、颯太が再び、私の耳に口を寄せた。
「黙って、俺に、身を任せてろ」
耳のそばで囁けば私が大人しくなるって、すでに学習しているのも、なんかフェアじゃない。
颯太は、私をトンと、優しくベッドに下した。
至近距離で下から見上げる颯太は、意外と首が太くて、肩のラインもがっしりしている。
ラグビーをやっているんだから、当然なのかもしれないけれど、なんだかちょっと怖かった。――いや、颯太が怖いんじゃない。
これから起こるであろうことが、そうされたことでやけに現実味を帯びて迫ってきたから、私は怖気づいていたのだと思う。
だって、私、初めてだし。
「や、だ」
「止めて、欲しい?」
颯太が切ない表情で、私を見た。
こんな颯太、初めて。
そんな表情をさせているのが、私なんだって思うと、また、胸の奥がじわんと震えたような気がした。
「そうじゃ、ない、けど……」
「出来るだけ、優しくする」
「出来るだけって――」
いつものように突っ込むと、颯太が、少し困ったような顔をして見せた。
「俺、もう、千尋が欲しくて、しょうがないから――」
彼が向けた視線の先では、パンツのソノ部分が不自然に盛り上がっている。
「やだ――」
恥ずかしくなって顔を背けた私の顎を、颯太は掴んで自分の方へ向けさせた。
「悪いけど、もう、止まんねぇ」
熱に浮かされるようにそう言って、颯太がくれたのは、それまでの重ねるだけのとは違う激しいキスだった。
半分開いた唇から、乱暴に颯太の舌が割り入ってくる。
驚いた私は、無意識に颯太の胸を押し戻そうとした。けれど、そんなことで彼の身体が動じることはなく、反対に、抵抗する手を頭上で押しとめられる結果になってしまった。
中に入ってきた舌は、私の口の中を確かめるように、あちこちに動きまわる。それに押されて私の舌は、颯太の舌と追いかけっこをするように動いた。
二人の口の間からくちゅくちゅと、いやらしい音が出る。
颯太の唇は、私の唇に飽きたら、今度は耳に移動して舐めまわした。
その間にも服の上を這いまわっていた颯太の手が、ニットの下側から入り込んできて――
「ひっ――!」
指が直に脇腹に触れた時、思わず、声が漏れた。触れた場所がじんと痺れ、それが一瞬のうちに、腰から背筋あたりに伝わる。
な、なにこれ――!?
撫でられているうちに、胸の奥で生まれたじわんとした感覚が、体全身に広がり、なんだかふわぁっと気持ちが良くなってきて、やっぱり、颯太の手には魔法か超能力があるんだと、改めて思った。
耳も気持ちいいけど、こうやって、温かい手のひらで、頭や背中やお腹を撫でられるのもいい。
私は、もっと繊細な動きも感じとれるように、肩に入っていた力を少し抜いた。
そして、私がそうなるのを待っていたように、手首を押さえていた颯太の手が緩み、私のニットとシャツを胸のあたりまで捲り上げる。
ひんやりとした空気と、温かい手がお腹を撫でた。
そこから生まれる痺れは、さっきよりも大きくなってきている。
でも、悪くない。
「脱がせるよ?」
脱がせる、という言葉に、私は、はっとなった。
だめっ。
今日は、そんなつもりじゃなかったから、普通の下着だ。こんなことになるって知ってたら、上下セットのかわいいのを着てきたのに――
けれど、颯太は、私の返事を聞く前に、下着だけを残して私を裸にした。
すごく、恥ずかしい。
しかも、脱いでるの、私だけってのが、また――と、もぞもぞしていると、颯太がベッドのシーツを捲って中へ入れてくれた。
その間に、自分も脱いでいる。実に、手際がいい。
トランクス一枚になった彼がベッドの中へ入ってくる。
ひんやりとしたシーツの中で、二人ともほとんど裸で、すごく恥ずかしいはずなのに、伝わってくる肌の温かさに、なぜか、安心した。
颯太が私を胸の中に抱きいれる。
そうされているだけで、なんだか、胸の奥から幸せがこみ上げてくる。
温かくて、きもちいい。
ずっと、こうしていたい。
壊れ物を大事にするように、颯太が大きな手で背中と頭を撫でてくれる。
私は目を閉じて、颯太の手から生まれる痺れを身体全体で味わった。
付き合うって、まだどういうことか分からないけれど、颯太の、この魔法みたいな手が独り占めできるってのは、すごく幸せだなと、思う。
願わくは、ずっと、このぬるま湯のような幸せに浸っていたいと。
彼の手が、ブラの上をゆっくりと撫で始めた。先端の感覚が鋭敏になっていき、布が擦れるだけでも、甘美な刺激を脳に伝える。
固くなり始めた胸の突起を、彼の指は、ブラの上から正確に攻めた。
ほんの小さな先端を弄られているだけなのに、そこから生まれる気持ちよさは、それまでの比ではない。
優しい羽根のような刺激に少しずつ慣れてきた私の頭に、大学受験の時に憶えた四文字熟語が頭をよぎる。
隔靴掻痒――歯がゆくて、じれったい。
彼の指が、直接それに触れたら、どんなに気持ちがいいだろう。
ううん。触れて、欲しい。
でも、そんなこと、自分から口にすることは出来なくて、私は、颯太の髪に指を入れた。
「千尋――」
颯太が、私の背中にまわした手でホックをはずし、ブラをずり上げる。
露わになった突起に、彼が舌を這わせると「はぅん」と声が上がり、腰回りが痺れた。
「ここも、敏感だな」
舐めながら、話すから、息が、当たる。それも、甘い痺れを導いてくれて、気持ちいい。
口の中で颯太が小さな突起を、ころがす。
「んん……」
額のあたりも痺れてくる。
脇腹あたりを撫でていた右手が、腿あたりに下がってきた。
なんだか、アソコも、ジンジンしてくる。
「脚、開いて?」
颯太の手が、外腿から内腿へと動き、両足の閉じた部分をくすぐった。
反射的にそこに力が入る。
「や、ん――」
颯太ならもっと強引にするだろうと思ったのだけど、意外と素直に彼の手はそこから離れた。代わりに、脇腹を掠め、胸の突起に戻ってくる。唇は、首筋を舐めた後、耳を攻め始めた。
「千尋、力、抜いて」
囁きとともに、胸の上の突起をきゅっと摘まれて、腰から背中にかけてビリビリと痺れが駆け抜ける。
「ひゃ――」
私の意識がそこへ向いたその瞬間、力の緩んだ腿の間に、颯太が脚を割り入れた。そうされると、もう、脚が閉じられなくなる。
颯太の手が、再びお腹の上を通って、脚の方へ移動した。颯太の脚によって無防備に開いたままのその空間に、彼の手が伸び、腿の内側を摩る。
くすぐったさの中の甘い痺れを、私の脳はすぐに感じ取った。
「んんんー……」
声を出さないように頑張る私の耳の下を、颯太が唇で軽く食むと、引き結んでいた口から「ひぁん」と漏れた。
「我慢、するなよ。誰にも聞こえないから、好きなだけ、出していい」
「でも、――ああんっ!」
反論しようと口を開いたとたん、颯太の手が、布の上から割れ目をなぞった。
「つか、声、もっと聞かせろ」
息もつかせずに、颯太が私の耳と胸と布で覆われた大事な部分をいっぺんに攻める。
「ふぁっ――」
背中がそって、頭の中が一気に痺れた。
それが、すごく、気持ちいい。
割れ目の部分を上下に摩っていた彼の指が、布の隙間からスッと入って、すぐに出た。
ぬるっとした感覚が、私の中で新しい快感を呼び起こす。
「すごく、濡れてる」
「や、だ。……言わないで――」
颯太の視線を感じて私は両手で顔を隠す。
ほんとに、そんなに、見ないでよ。
そんな私を見て颯太は、クスッと笑う。
「かわいいな、千尋は」
私が恥ずかしがっている間に、慣れた手つきで私の下着を剥ぎ取ると、颯太は瞼に優しくキスをした。
「恥ずかしいなんて思える余裕、すぐに、失くしてやるよ」
それが合図であったかのように、颯太の左手と唇が私の胸の上を這い、右手が腰のあたりを撫で始めた。
彼が触れるところから、じわじわと心地よい痺れが生まれ、私は、目を閉じて、それを味わう。
好きな人に、触られるのって、こんなに気持ちがいいんだなあ――なんて、浸っていると……
「ひゃん!」
颯太の手が腰から股の方へ伸び、割れ目に触れた。ぬめっとした液体を、柔らかい肉の部分へ塗りつけるように、指が動く。脚のところで、颯太の手が、つるつるぬめぬめ、動くにつれて、腰のあたりがひくひくとし始めた。
頭の中をふわりと持ち上げるような不思議な感覚が、胸の奥からわき上がってくる。
「きゃっ!」
指が、小さな突起に当たったその瞬間、思いもかけない刺激に、背中が弓なりになった。
すかさず、目の前に突き出された乳首を、颯太の舌が舐める。
彼の言うとおり、もう、恥ずかしいなんて思う余裕などなく、私の頭の中は、颯太の指が触れるところから生まれる痺れや、舌で与えられる快感によって、生まれる色とりどりの刺激で一杯いっぱいになっていた。
颯太が力の入らなくなった脚の間に身体を滑り込ませる。
いつの間に最後の一枚を脱いだのか、彼のいきり立ったソレが、私の割れ目部分にあてがわれた。
「ひゃっ!!」
指とは違う、もっと大きくて滑らかなソレが、割れ目に沿ってぬるぬると滑らかに動く。
その一方で、彼の指は微妙な振動で、一番敏感な蕾を弄っている。
彼によって与えられた、刺激は、私の頭の中にどんどん溜まっていって――
「あ、だめっ、そん、なに――、あん、いゃあああああん」
まるで風船が破裂するかのように、頭の中が弾けた。
激しい運動をしたわけでもないのに、息が、切れる。
ヤバい。これは、ヤバいっ。
なんて思っている間に、颯太は、慣れた様子で奥に進んで行き、黒いダウンを脱いでソファの背にかけた。長袖のラガーシャツとチノパンといういつもの格好なのに、こんな場所のせいか、なんだか別人のようにも感じる。
一方で私は入り口のところで足がすくんでいた。それがなんだか、やっぱり不公平で。
「どうした?」
入り口のところで立ったままの私の肩に、戻ってきた颯太が自然に手をまわして、奥へと促した。颯太の、そういうさりげない行動に、私だけドキドキしてるのが浮き彫りになるのが、なんか、悔しい。
「……こういうとこ、良く来るの?」
「気になる?」
「そりゃ――」
気にならないわけがない――と言いかけた私の唇を、颯太の唇が封じた。
「そんなの、すぐに、気にならなく、させてやるよ」
軽く唇を重ねたまま喋るので、微妙な振動が妙な感覚を呼び起こす。
颯太の手が、私の背中に回った。
唇はくっついたまま、大きな手が服の上から、背中全体を撫でまわす。
背筋に沿って、下から撫で上げられると、腰のあたりがふわりと浮くような感覚になった。
「腕、俺の首の後ろに、回して?」
囁くようにそう言われて、初めて、私は自分が茫然と突っ立っていたことを思い出す。
言われた通り、首の後ろに腕を回した。
颯太って、こんなに背、高かったんだ。
なんて改めて考えている間に、私から離れた颯太の唇は、今度は私の耳元へ移動していく。
軽く食まれているのは、外耳や耳朶なのに、背中がぞわぞわして、思わず「ひぁっ」っと声が漏れた。
何だろう、この――くすぐったいような、それでいてふわふわした感覚。
気持ちいいのとは、違うな、と妙に冷静なもう一人の私が頭の隅で考える。
「まだ、余計なこと、考えてる?」
耳のすぐ近くで、言われて、今度は胸の奥がこそばゆくなった。
なんで、耳に刺激を受けてるのに、腰とか背中とか胸の奥とかがジンジンするわけ?
「やだ……そんな、に、耳のそばで、喋らない、で」
「へぇ、千尋は、耳がイイんだ?」
イイなんて言ってないし――と反論する前に、颯太が、外耳のあたりに鼻をこすりつけたり、耳の付け根のあたりを舐めたり、耳の後ろにキスしたりし始めたから、代わりに、開きかけた口から「あん」なんて、なんともいやらしい声が漏れた。
これ、すごく、恥ずかしい。
絶対、耳とか真っ赤になってるはず。
ほんとに、もう、どうでもいいから、早く終わってほしいっ。
いや、これは、別に、早くヤりたいわけじゃなくって――
頭の中は、自分の考えに自分で突っ込んだりして、自分でもわけがわからなくなりつつあった。
それでいて、颯太が、左耳を鼻や口で、右耳を指で攻めてくるもんだから、また声が漏れないように、口をしっかり閉じておかなければならないし。
頭の中は、独り言やら突っ込みやらで一杯になってたら、いきなり、ふわっと両脚を掬われた。
「ぁっ――?」
気がつくと、颯太は私を軽々とお姫様抱っこしていて、例の、大きなベッドに歩み寄っている。
「や――」
怖くなって声を上げると、颯太が再び、私の耳に口を寄せた。
「黙って、俺に、身を任せてろ」
耳のそばで囁けば私が大人しくなるって、すでに学習しているのも、なんかフェアじゃない。
颯太は、私をトンと、優しくベッドに下した。
至近距離で下から見上げる颯太は、意外と首が太くて、肩のラインもがっしりしている。
ラグビーをやっているんだから、当然なのかもしれないけれど、なんだかちょっと怖かった。――いや、颯太が怖いんじゃない。
これから起こるであろうことが、そうされたことでやけに現実味を帯びて迫ってきたから、私は怖気づいていたのだと思う。
だって、私、初めてだし。
「や、だ」
「止めて、欲しい?」
颯太が切ない表情で、私を見た。
こんな颯太、初めて。
そんな表情をさせているのが、私なんだって思うと、また、胸の奥がじわんと震えたような気がした。
「そうじゃ、ない、けど……」
「出来るだけ、優しくする」
「出来るだけって――」
いつものように突っ込むと、颯太が、少し困ったような顔をして見せた。
「俺、もう、千尋が欲しくて、しょうがないから――」
彼が向けた視線の先では、パンツのソノ部分が不自然に盛り上がっている。
「やだ――」
恥ずかしくなって顔を背けた私の顎を、颯太は掴んで自分の方へ向けさせた。
「悪いけど、もう、止まんねぇ」
熱に浮かされるようにそう言って、颯太がくれたのは、それまでの重ねるだけのとは違う激しいキスだった。
半分開いた唇から、乱暴に颯太の舌が割り入ってくる。
驚いた私は、無意識に颯太の胸を押し戻そうとした。けれど、そんなことで彼の身体が動じることはなく、反対に、抵抗する手を頭上で押しとめられる結果になってしまった。
中に入ってきた舌は、私の口の中を確かめるように、あちこちに動きまわる。それに押されて私の舌は、颯太の舌と追いかけっこをするように動いた。
二人の口の間からくちゅくちゅと、いやらしい音が出る。
颯太の唇は、私の唇に飽きたら、今度は耳に移動して舐めまわした。
その間にも服の上を這いまわっていた颯太の手が、ニットの下側から入り込んできて――
「ひっ――!」
指が直に脇腹に触れた時、思わず、声が漏れた。触れた場所がじんと痺れ、それが一瞬のうちに、腰から背筋あたりに伝わる。
な、なにこれ――!?
撫でられているうちに、胸の奥で生まれたじわんとした感覚が、体全身に広がり、なんだかふわぁっと気持ちが良くなってきて、やっぱり、颯太の手には魔法か超能力があるんだと、改めて思った。
耳も気持ちいいけど、こうやって、温かい手のひらで、頭や背中やお腹を撫でられるのもいい。
私は、もっと繊細な動きも感じとれるように、肩に入っていた力を少し抜いた。
そして、私がそうなるのを待っていたように、手首を押さえていた颯太の手が緩み、私のニットとシャツを胸のあたりまで捲り上げる。
ひんやりとした空気と、温かい手がお腹を撫でた。
そこから生まれる痺れは、さっきよりも大きくなってきている。
でも、悪くない。
「脱がせるよ?」
脱がせる、という言葉に、私は、はっとなった。
だめっ。
今日は、そんなつもりじゃなかったから、普通の下着だ。こんなことになるって知ってたら、上下セットのかわいいのを着てきたのに――
けれど、颯太は、私の返事を聞く前に、下着だけを残して私を裸にした。
すごく、恥ずかしい。
しかも、脱いでるの、私だけってのが、また――と、もぞもぞしていると、颯太がベッドのシーツを捲って中へ入れてくれた。
その間に、自分も脱いでいる。実に、手際がいい。
トランクス一枚になった彼がベッドの中へ入ってくる。
ひんやりとしたシーツの中で、二人ともほとんど裸で、すごく恥ずかしいはずなのに、伝わってくる肌の温かさに、なぜか、安心した。
颯太が私を胸の中に抱きいれる。
そうされているだけで、なんだか、胸の奥から幸せがこみ上げてくる。
温かくて、きもちいい。
ずっと、こうしていたい。
壊れ物を大事にするように、颯太が大きな手で背中と頭を撫でてくれる。
私は目を閉じて、颯太の手から生まれる痺れを身体全体で味わった。
付き合うって、まだどういうことか分からないけれど、颯太の、この魔法みたいな手が独り占めできるってのは、すごく幸せだなと、思う。
願わくは、ずっと、このぬるま湯のような幸せに浸っていたいと。
彼の手が、ブラの上をゆっくりと撫で始めた。先端の感覚が鋭敏になっていき、布が擦れるだけでも、甘美な刺激を脳に伝える。
固くなり始めた胸の突起を、彼の指は、ブラの上から正確に攻めた。
ほんの小さな先端を弄られているだけなのに、そこから生まれる気持ちよさは、それまでの比ではない。
優しい羽根のような刺激に少しずつ慣れてきた私の頭に、大学受験の時に憶えた四文字熟語が頭をよぎる。
隔靴掻痒――歯がゆくて、じれったい。
彼の指が、直接それに触れたら、どんなに気持ちがいいだろう。
ううん。触れて、欲しい。
でも、そんなこと、自分から口にすることは出来なくて、私は、颯太の髪に指を入れた。
「千尋――」
颯太が、私の背中にまわした手でホックをはずし、ブラをずり上げる。
露わになった突起に、彼が舌を這わせると「はぅん」と声が上がり、腰回りが痺れた。
「ここも、敏感だな」
舐めながら、話すから、息が、当たる。それも、甘い痺れを導いてくれて、気持ちいい。
口の中で颯太が小さな突起を、ころがす。
「んん……」
額のあたりも痺れてくる。
脇腹あたりを撫でていた右手が、腿あたりに下がってきた。
なんだか、アソコも、ジンジンしてくる。
「脚、開いて?」
颯太の手が、外腿から内腿へと動き、両足の閉じた部分をくすぐった。
反射的にそこに力が入る。
「や、ん――」
颯太ならもっと強引にするだろうと思ったのだけど、意外と素直に彼の手はそこから離れた。代わりに、脇腹を掠め、胸の突起に戻ってくる。唇は、首筋を舐めた後、耳を攻め始めた。
「千尋、力、抜いて」
囁きとともに、胸の上の突起をきゅっと摘まれて、腰から背中にかけてビリビリと痺れが駆け抜ける。
「ひゃ――」
私の意識がそこへ向いたその瞬間、力の緩んだ腿の間に、颯太が脚を割り入れた。そうされると、もう、脚が閉じられなくなる。
颯太の手が、再びお腹の上を通って、脚の方へ移動した。颯太の脚によって無防備に開いたままのその空間に、彼の手が伸び、腿の内側を摩る。
くすぐったさの中の甘い痺れを、私の脳はすぐに感じ取った。
「んんんー……」
声を出さないように頑張る私の耳の下を、颯太が唇で軽く食むと、引き結んでいた口から「ひぁん」と漏れた。
「我慢、するなよ。誰にも聞こえないから、好きなだけ、出していい」
「でも、――ああんっ!」
反論しようと口を開いたとたん、颯太の手が、布の上から割れ目をなぞった。
「つか、声、もっと聞かせろ」
息もつかせずに、颯太が私の耳と胸と布で覆われた大事な部分をいっぺんに攻める。
「ふぁっ――」
背中がそって、頭の中が一気に痺れた。
それが、すごく、気持ちいい。
割れ目の部分を上下に摩っていた彼の指が、布の隙間からスッと入って、すぐに出た。
ぬるっとした感覚が、私の中で新しい快感を呼び起こす。
「すごく、濡れてる」
「や、だ。……言わないで――」
颯太の視線を感じて私は両手で顔を隠す。
ほんとに、そんなに、見ないでよ。
そんな私を見て颯太は、クスッと笑う。
「かわいいな、千尋は」
私が恥ずかしがっている間に、慣れた手つきで私の下着を剥ぎ取ると、颯太は瞼に優しくキスをした。
「恥ずかしいなんて思える余裕、すぐに、失くしてやるよ」
それが合図であったかのように、颯太の左手と唇が私の胸の上を這い、右手が腰のあたりを撫で始めた。
彼が触れるところから、じわじわと心地よい痺れが生まれ、私は、目を閉じて、それを味わう。
好きな人に、触られるのって、こんなに気持ちがいいんだなあ――なんて、浸っていると……
「ひゃん!」
颯太の手が腰から股の方へ伸び、割れ目に触れた。ぬめっとした液体を、柔らかい肉の部分へ塗りつけるように、指が動く。脚のところで、颯太の手が、つるつるぬめぬめ、動くにつれて、腰のあたりがひくひくとし始めた。
頭の中をふわりと持ち上げるような不思議な感覚が、胸の奥からわき上がってくる。
「きゃっ!」
指が、小さな突起に当たったその瞬間、思いもかけない刺激に、背中が弓なりになった。
すかさず、目の前に突き出された乳首を、颯太の舌が舐める。
彼の言うとおり、もう、恥ずかしいなんて思う余裕などなく、私の頭の中は、颯太の指が触れるところから生まれる痺れや、舌で与えられる快感によって、生まれる色とりどりの刺激で一杯いっぱいになっていた。
颯太が力の入らなくなった脚の間に身体を滑り込ませる。
いつの間に最後の一枚を脱いだのか、彼のいきり立ったソレが、私の割れ目部分にあてがわれた。
「ひゃっ!!」
指とは違う、もっと大きくて滑らかなソレが、割れ目に沿ってぬるぬると滑らかに動く。
その一方で、彼の指は微妙な振動で、一番敏感な蕾を弄っている。
彼によって与えられた、刺激は、私の頭の中にどんどん溜まっていって――
「あ、だめっ、そん、なに――、あん、いゃあああああん」
まるで風船が破裂するかのように、頭の中が弾けた。
激しい運動をしたわけでもないのに、息が、切れる。
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王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
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