成層圏のチェン・ホー

Toshiaki・U

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11 武器を食べる(?)生き物

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 「自分の専門外なんで君に訊くが、あれで爆発しないのか? ヤマナカ博士」
 「ああ。事前のリサイクル処理、バイオ・レメディエーションが済んでいる。第二次南極戦争を終結させた、国連の非殺傷(ノン・リーサル)型生物(バイオ)兵器を覚えてるかい?」
 「カニィェーシナ、もちろん! わが同胞が好んで食べるキノコ。それと、同胞は食さないが、昆虫。確か、アリだ」
 「ご名答。シュードモナス型細菌TM15株の遺伝子を組み込んだキノコの胞子を戦場や武器庫に散布し、あらゆる銃弾や砲弾の無煙火薬、TNT高性能火薬を分解することに成功した。第二次南極戦争では、旧式の黒色火薬を使う銃弾や砲弾が増えたけどね」
 「そうだった!」
 「黒色火薬は、炭と硝石と硫黄を混ぜたもの。国連軍が、整腸のため炭を好んで食べる鹿の遺伝子を組み込んだハキリアリの大群を戦場に散布した。ハキリアリは、ダイヤモンド並みにあごが強い特別な種に遺伝子組み換えされていた」
 「バニャートナ、なるほど」
 「このハキリアリが、銃弾や砲弾に穴を開け、黒色火薬を食べつくした」
 「ハラショー! ハキリアリにとって、氷の大地で、黒色火薬が唯一の食料になったんだな」
 「いや、唯一じゃない。ハキリアリは、遺伝子操作によって築くようになったアリ塚で無煙火薬分解キノコを栽培した。それを彼らはTNT型の砲弾や弾丸に移植してキノコ畑にした。そして、何より…戦場に斃(たお)れた大勢の人間たちの遺体を…」
 「ダー、ダー。国連は人道的なのか、残忍なのか」
 「ハキリアリによる黒色火薬の摂食は、今も続いている。だから、ガン・ヒルの足元に人の背丈ぐらいのアリ塚がいくつも見えるだろう」
 「ダー。ところで、アリ塚の中のトイレから硫黄を回収してるって話は、本当か?」
 「いい質問だ。小学校の公開授業で、わが息子が手を挙げ、二酸化硫黄パウダーへのリサイクルを提案し、これを聞き及んだ俺の義父(オヤジ)が、本当に交易船団の活動に組み入れたんだ!」
 「オーッ! あなたの自慢の息子、ハラショー! テイ・ワ一族、ハラショー!」
 次第に、特殊雪上車の前方の氷床に、広大で深いクレーターが見えてきた。
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