失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン

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第21話 元聖女、いつも通りの自分を見せる

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 何とも不思議な感覚を覚えながら、セーナはいつも通りの道を歩いていた。

 いつも通りなのに時刻は大分遅く、その上本日は二度目である。
 それに、自分の隣を歩いている誰かいるということが、何よりも不思議であった。

 そこでふと初めて、ここ一月の間ほぼ自分一人で行動していたのだということに気付く。
 もちろん泊まっている宿の人とは挨拶をしたり一言二言ならば言葉を交わすし、受付嬢とも毎日話しているが、それはどちらかと言えば事務的なものだろう。
 それらを引き合いに出して、自分は一人ではないというのは、多分違う。

 今まで考えもしなかったことではあるが……何気に余裕がなかったということなのかもしれない。
 最近では随分と慣れてきたような気がしていたが、単に鈍っていたというだけのようだ。

 そう考えると、ここでパーティーの話が出てきたのは絶妙であった。
 もしかすると、あの受付嬢はそのことを分かっていたのだろうか。

 だとうすれば、さすがと言うべきところであるが――

「……ねえちょっと、あたしの目が確かなら、なんか北の門に向かってる気がするんだけど?」

 と、聞こえた声に視線を向ければ、そこには当然のようにエルザがいた。

 ただしその声を聞いたのは、ギルドの外に出て以来初である。
 ついでに言うならば、セーナの方はまだ外に出て以来口を開いていない。

 別に互いに無視をしていたとかいうわけではないのだが、何せセーナとエルザは今日が初対面だ。
 何を話せばいいのか分からず、そもそも話す必要があるのかも分からずに、どうしたものかと考えていたら、つい思考が逸れていってしまったのである。

 少し慌てながら意識を引き戻し、だが言いたいことが分からずに首を傾げた。

「はい、そうですね? エルザさんの目は何もおかしくないと思いますが……?」

「はい、じゃないでしょうが……! あんたはこれから採集に行くんじゃなかったの!? それともあたしを巻き込んで自殺でもするつもりだったってわけ……!?」

「はい……?」

 言っている意味が分からずに、さらにセーナは首を捻った。

 いや、確かに北の森は穴場、しかもここ一月の間一度も人の姿を見ることがなかったのを考えれば相当なものだ。
 他に採集出来そうな場所もなかったし、採集と言われて北へ向かうのを見たら疑問に思うのは理解出来る。

 理解出来ないのは、自殺という言葉だ。
 魔物の一匹も現れないあそこが、自殺とどう関係しているというのかが分からないのである。

 あるいは、魔物が出ないからこそ自殺の名所とでもなっているのかと一瞬思ったが、さすがにそれならば噂の一つぐらい聞いたことがあるはずだろう。
 姉達からもそんな話を聞いた覚えはないし、何となく違うような気もする。

 詳しく聞いてみたい気はしたが、どうせそろそろ北の門に着く。
 何を心配しているのかは分からないが、杞憂に過ぎないことはすぐに分かるはずだ。

「えっと、一応ちゃんと採集に行くつもりですから、心配はいりませんよ? まあ、そのことはすぐに分かるかと思います」

 周囲には沢山の人がいるし、誰が聞き耳を立てているとも限らない。
 穴場があるという話はここではしない方がいいだろう。

 そう思って言葉を濁したのだが、エルザは納得したのかしていないのか、何とも言えないような表情で、睨みつけるようにして目を細めた。

「……そう。つまりはそれが、噂の原因ってわけ? いいじゃないの、最初からそのつもりだったんだし、この目でしっかり見極めてやるわ……!」

 何やら気合を入れ直したようなエルザの様子であったが、セーナがパーティーに入れるに相応しいか見極めるつもりだったのはそれから最初からだったのではないのだろうか。
 それとも、今の会話で改めてそのつもりが強まった、とでもいうことなのか。

 どの辺にエルザが琴線に触れたのかは分からないが……まあ、価値観は人それぞれである。
 セーナも意図していなかった何かがあったのに違いない。

「……どうしてかしらね、あたしは今なにか変な勘違いをされてるような気がするわ」

「不思議ですね? 少なくともわたしは勘違いしていないと思いますが」

 そんな話をしているうちに、北の門を抜けた。

 そうして眼前に広がるのは平原だが、北の門を抜けた人達はここで三手に別れる。
 左右及び正面だ。

 まあ、正面にはいつもの森しかなく、あそこが穴場だと知っているのはセーナかそのことを教えてくれた冒険者の人だけである。
 他にもいる可能性はあるが、少なくとも今利用しているのはセーナだけであり、必然的に正面に向かうのはセーナだけであった。

「と、おや……? エルザさん?」

 ふと気が付けば、エルザの姿が隣から消えていた。
 後ろを振り返れば、門を出たすぐ傍に立ち、睨みつけるようにセーナのことを見つめている。

「どうかしましたか?」

「……何でもないわよ。ええ、既に覚悟は固めたもの。死んだって見極めてやるわ……!」

「いえ、あの……そこまで気合を入れていただくのは恐縮なのですが、ただの採集なのですからそこまでは必要ありませんよ……?」

 だが言ったところで引くつもりはないようだ。
 少し遅れて隣に並んだエルザが、行かないのかとばかりに見つめてくる。

 そこまで気合を入れたところで面白いことはなければ変わったこともないのだから、がっかりさせてしまうだけだと思うのだが……まあ、仕方あるまい。
 諦めて歩き出した。

 そして何となく話しかけづらい雰囲気のまま、歩くことしばし。
 いつも通り森に到着したセーナは、そのまま森の中へと入ろうとして……何故か、エルザに肩を掴まれた。

「えっと……あの?」

「ねえ……あんた何したの?」

「え? 何をしたと言われましても……採集はこれからするんですが……」

「そうじゃなくて。魔物。何で出ないの」

「何故片言なんです? と言いますか、何故と言われましても……っと、まあ、ここまで来たら問題ありませんか」

 周囲に人影はないし、ここまで来たのならば穴場のことを伝えてしまっても構わないだろう。
 どうせすぐに分かるのだから。

「実はここ、穴場なんですよ」

「……は? 穴場?」

「はい。魔物は全然出ませんし、そこの森で薬草とかが沢山採れるんです。冒険者になった初日に、親切な人から教えてもらいまして」

「……へえ。親切な人に、ねえ……」

 秘密を打ち明けるように、ちょっと得意気に披露したのだが、何故かエルザは胡散臭いものを見るような目で見てきた。
 どこからどう見ても、あからさまなまでに信じていない。

「むぅ……本当なんですが……」

「いえ、別に疑ってるわけじゃないんだけど……」

「そんな顔で言っても説得力がないです。まあ、別にいいですが。実物を見れば信じていただけると思いますし」

「実物って……え、ここに入るつもりなの? 本気!?」

「確かに見た目はちょっと不気味といった感じですが、実際にはそんなことないんですよ? 歩きづらそうに思えますが、意外と歩きやすいですし」

「…………はぁ。まあいいわ。覚悟は決めたんだもの。最後まで行ってやろうじゃないの」

「ですからそんな気合は必要ないんですが……」

 何故そこまで気合を入れるのか、と思ってしまうのは、ここに慣れてしまったせいだろうか。
 いや、最初に見た時もセーナはここまで警戒していなかったとは思うが……あるいは、エルフだからなのかもしれない。

 エルフは森の民とも呼ばれるほどに森と相性のいい種族とされているが、その分ちょっとした森の変化にも敏感だという。
 明らかに普通の森ではないのは確かだし、その辺を感じ取っているのかもしれない。

 まあそれでも、実際に歩いてみれば問題ないと分かるはずだ。
 これから死地にでも向かおうとでもしているかのような顔をしているエルザと共に、森の中へと足を踏み入れた。

 そうして眼前に広がるのは、いつも通りの何の変哲もない森の光景だ。
 その中を歩きながら、エルザが呆然と呟く。

「……何これ……何でこの森がこんな普通なの? ……何でこんな歩きやすいの?」

 カルチャーショックを受けたような顔をしているが、エルフにとってはそこまで有り得ない場所なのだろうか。

 と。

「あ、ほら、薬草がありましたよ」

「……確かに薬草があるわね。……何で?」

「いや、ですから、穴場なんですってば」

 そんなことを言いながら、その場にしゃがみ込むとさっと刈り取る。
 そのままの流れで魔法の鞄に入れていくのを、やはり何故か呆然とエルザが眺めていた。

「……何でそんなあっさり採れるのよ」

「まあ、慣れましたから。一月ずっと続けていれば、誰だってこのぐらいにはなれますよ。……自慢出来ることなのかは、微妙なところですが」

 所詮は採集だ。
 採集が上手いからといって自慢出来るかといえば、微妙なところだろう。

「っと、あれは確か毒消しの材料になる草でしたか」

「……そうね……毒消しの材料になる草が生えてるわね。そして、あっさり刈れたわね……」

「慣れましたから」

 そんな調子で、次々とセーナが採集していき、その姿にエルザが呆然と呟く。
 最初のうちはエルザの様子が気になっていたのだが、あまりにもずっと呆然とし続けていたためそのうち気にならなくなり……いつものように採集を続けてしまっていたことに気付いたのは、開けた場所へと辿り着いた時のことであった。

「はっ……!? す、すみません、エルザさん。つい、いつも通りに採集を……」

 いつも通りの姿を見たかったのだろうから、それでいいのかもしれないが、エルザのことを半ば放置してしまっていたのだ。
 それはいいことではないだろうと思い……だがエルザは、今までで最も呆然とした様子で、呟いた。

「…………なに、これ」

「あー……確かに、綺麗な場所ですよね、ここ。最初目にした時はわたしも見惚れちゃいましたし」

 今はさすがに慣れたものの、綺麗だと思うことに変わりはない。

 と、そこでふと思い至ったセーナは、その場を軽く見渡した。
 水辺の近くを特に重点的に眺め――

「あ、見つかりましたっ」

 そして手にしたのは、あの七色に輝く綺麗な花であった。
 綺麗なだけの花だと言われては、綺麗だというだけで十分といえば十分だろう。

「あのっ……これ、放っておいてしまったお詫びというわけでありませんが……その、お近づきの印に、ということで」

 そうして差し出した花を、エルザはやはり呆然と眺めていた。
 ここまで呆然とし続けていると大丈夫か気になってしまうが、まあ実際そうなってしまうのも分かるぐらい綺麗なのだから仕方があるまい。

「………………この花は?」

「はい、冒険者ギルドの人曰くただの綺麗なだけの花で価値などはないということなのですが……見ているだけでも楽しめるかと思いまして。しっかり根っこから引き抜きましたから、多分このまま鉢植えなどに植え替えればしばらくは楽しめるんじゃないかと思います」

「…………そう、価値がない、ね。…………そして、根っこから、ね」

 呆然と呟きながらも、しっかり受け取ってくれたので、多分悪い感触は与えなかったはずだ。
 これでどれぐらい挽回できたのだろうかと思いつつも、小さく息を吐き出す。

「あの……それで、一応わたしはいつもこんな感じで採集をしているんですが……」

「そう……いつもこんな感じで、ね。……分かったわ。それじゃ、帰りましょうか」

「……え?」

 確かにセーナが採集する姿は見せたものの、エルザのいつも通りの姿というのは見ていないのだ。
 それなのに帰るということは――

「その……わたしはやはりエルザさんのパーティーに入るのに相応しくない、ということなのでしょうか?」

 やっぱり放っておいた上に綺麗な花だけではお詫びの品として足りなかっただろうか、と思っていると、エルザはどことなく呆れたように首を横に振った。

「そうじゃないわよ。今から街に戻って、それからあたしがいつも行ってる場所に行って、ってするには、さすがにちょっと時間が遅いでしょ」

「……あっ」

 言われてみれば、完全にいつも通りにやってしまった結果、日はとうに傾いていた。
 厳密には、一応無意識でエルザのことを気にしていたのか、いつもに比べれば少し早い時間ではあるが……これから何かをやるには心もとない時間帯であることに違いはない。

「だから、続きは明日にしましょうってこと。そうね……明日は朝からギルドに集まりましょうか? それでどう?」

「あ、はいっ、分かりました。えっと、ですが、そういうことでしたら……わたしはもう少しここに残っていてもいいでしょうか?」

「別にあたしは構わないけど……何でよ?」

「それはもちろん、少しでも採集する量を増やすためです。採集依頼は、やっぱり量を稼がなければなりませんから」

「……そ。ま、好きにしたら」

「はい、そうさせていただきます。あ、ところで、一人で戻れますか? ここ見ての通り目印らしいものもありませんから……」

「あたしを何だと思ってんのよ? 森の民とも言われるエルフよ? 一度歩いた森で迷うわけがないでしょうが」

「おおー……さすがですね」

「……さあ、それはどうかしらね。ま、じゃ、そういうことで、また明日ね」

「はい。また明日です」

 そうして去っていくエルザの足取りは、迷いないものであった。
 確かにあの様子ならば、迷う心配はいるまい。
 さすがはエルフだ。

「ふーむ……それにしましても、また明日ということは、わたしは一応合格出来た、ということなのでしょうか?」

 ひたすらに採集をしていただけだと思うのだが……どの辺を見て大丈夫だと思われたのだろうか。
 ひらすらに採集をしていたという事実か、あるいは別の何かか。

 さすがに綺麗な花を渡したから、ということではないとは思うが……。

「まあ、明日わたしも彼女のパーティーに入りたいと思えましたら聞いてみるのもいいかもしれませんね……」

 だがその前にまずは、採集の続きだ。
 明日心置きなく彼女に付き合えるように、少しでも数を稼いでおかねば。
 パーティーを組めるようになればそんな心配をする必要もなくなるのかもしれないが、どうなるか分からない以上は備えておく必要がある。

 果たして明日はどうなるのだろうかと、そんなことを思いながら、とりあえずセーナは採集のために少しだけ道を戻るのであった。
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