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第315話 竜、夜空を飛ぶ
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「しかし、たくさんもらったもんじゃ」
「そうですねえ。フリンクも楽しかった?」
「きゅー♪」
「ごめんなさいね、私達まで」
「めぇー」
「あー……すぴー……」
「ぴーよー……」
ディラン達はクリニヒト王国を飛び立っていた。
手には水槽を持ち、背中にはトワイトやハバラ達が乗り、さらに羊とガレアも乗っていた。
泊ってもいいと言われていたものの、ディランが帰るなら一緒に連れて行ってくれと頼まれたのだった。
羊はリヒト達を気にしているが、ついにリヒトも限界が寝てしまったのである。
朝からこの時間まで起きていたのは奇跡に近い。
ライルほどでは無いがリヒトもお昼寝はするからである。
そしてひよこ達も羊の毛に埋もれてぐっすりだった。
「アー!」
「お前も楽しかったみたいだな」
「アー♪」
なんとなく羊の毛を羽で撫でていたグラソンを見てシルヴィアスが笑う。
「それにしてもホント多いな……まあ確かに可愛いけど」
「当たり前です。ソルさんとエレノアさんは元より、私達にも自慢の息子達です」
「ぐあ……!?」
『……♪』
「これがなあ……」
シルヴィアスがプレゼントの山を見て呆れていると、トワイトが笑顔で彼女の後頭部を掴んでいた。
呻くあぐらをかいたシルヴィアスの足にエレノアが乗って手を上げて挨拶をしていた。
「相変わらずだなあ。これじゃ結婚はトーニャに先を越されるんじゃないか?」
「だー! うるせえぞハバラ! ちょっと結婚して子供を作ったからって偉そうにするな!」
「いや、中々できないから凄いことよ?」
「くそ……敵しかいねえな……まあいいや、赤ん坊たちは寝ているし、一杯やろうぜ」
「わほぉん……」
「あ、いつの間に」
ハバラとトワイトに窘められてシルヴィアスはダル達アッシュウルフの下へ行く。
いつもは尊敬の念をもって接するが、酔っぱらいなので抱き着かれたダルは迷惑そうな声をあげていた。
そして懐から酒瓶を取り出して蓋を開けた。そしてどこからともなくコップも取り出してトワイト達へ投げた。
「ディランには申し訳ないけど、酒盛りさせてもらうぜ」
「構わん。帰ったら一杯貰うわい。いい月が出ておる、こういうのも良いじゃろう。母さん、まだ料理は残っているんじゃないか?」
「そうですね。それじゃあ、子供たちも寝ていることですし飲みましょうか♪」
「いただきます」
「確かに月見酒は悪くないな」
トワイトがカバンからソーセージやおでんといった残り物を出してディランの背中に広げる。乾杯をしてからつまみを口にする。
「いい酒だ。ワインだな」
「おでんには合わないかもしれないけれど、まあいいわよね私達だけだし」
「この、おでんというのはお野菜に味が染み込んでいいですね」
「お肉もいいけど野菜も採りたいもの。シルヴィアス、あなたも魚ばかりでしょう?」
「だな! 卵がうめえな。こいつのか?」
「こけー……」
ワインにおでんという組み合わせはなかなかに妙だが、家族だけならいいかと笑い合う。
卵を絶賛していたが、ジェニファーが頑張って数を揃えた卵の内の一個である。
「もっとお料理を作りたかったけど、次の機会にするわ。ソレイユさんもエルフ料理を作りましょうよ」
「大丈夫でしょうか……? そういえばウィズエルフのエメリさんともっと話したかったですね」
「また機会はありますよ。集落に行ってもいいですもの」
「チーズも美味いな」
「ウチのヤギのミルクから作ったチーズなんだよ。リヒト君が好きなミルクだから作ったけど、まさか陛下に食べてもらえるとはねえ……お酒も久しぶりだよ」
見事な月の下、ディランの背中ではそんな話をしながら酒盛りが続いていた。
急な参加だったが、シルヴィアスも満足そうだった。
「それで、竜の里へはいつごろ行くんだ父さん」
「む。そうじゃな、近い内には必ず行こう。リヒト達を連れて行くかどうかを迷っておる」
「危険があるなら連れて行かない方がいいでしょうね……お留守番させますか?」
「うむ。ちと考えていることがあるから、家に帰ったらそれをやろうと思う」
「?」
「なんだよ」
「まあ、お主達が居ない時にするから気にするな」
「……」
ディランがそういい、ハバラ達がトワイトへ目を向けるが特に何も言わずもくもくとお酒を飲んでいた。
顔を見合わせて肩を竦めた一同はそれ以上聞かず、酒盛りをした。
とはいえ、速度があるためすぐに村へと到着した。
「ありがとうね」
「んめぇ~」
「こちらこそ! わざわざ来ていただいて嬉しかったですよ。また遊びに行くからその時は二人と遊んでね」
「めぇ~」
「わほぉん」
ガレアと羊はダル達と顔を擦り付け合った後、村の中へ入って行った。もう真っ暗なので静かに姿が消えていく。
そのまま山の自宅へ戻り、さっとお風呂に入って就寝準備をする。
赤ちゃん達は起きず、ドラゴンパジャマのまま並んでおねむだ。
「ふふ、可愛い。おやすみ、みんな」
遊戯室で寝かせた後、トワイト達も就寝し特になにもなく次の朝を迎えた。
すると――
「あーい♪」
「あうー♪」
「きゃうー♪」
「わほぉん……!?」
「うぉふ……」
「こけー♪」
「ぴよー♪」
――陽が昇るかどうかくらいの時間に、赤ちゃん達は目を覚ましていた。
いつもの場所だと気づいた三人は暗い中で早速はしゃぎだす。
鼻提灯を作っていたダルがライルに抱き着かれて起こされ、朝の早いジェニファーやひよこ達も便乗して鳴いていた。
ヤクト達はまだ寝ていたため、びっくりして飛び起きた形だ。
「あーう♪」
「うぉふ♪」
「きゃーい♪」
「わん♪」
しかしライルやリコットが心底嬉しそうな顔で抱き着いてくるので、アッシュウルフ達は無下にせず、顔を舐めたりして構っていた。
誕生会は色々な人が参加していたのでダル達はあまり遊べていなかったため、これはこれでいいと思っている。
「ん? なんじゃ、目が覚めたのか。早いのう」
「あー♪ とーちゃ!」
「お、リヒトは父ちゃんというのが少し慣れてきたか? 一歳の誕生日で成長がみられるわい」
そこでディランが遊戯室が騒がしいと顔を出した。
するとリヒトが父ちゃんと言いながら駆けつけていた。そんなリヒトを抱っこしてディランが笑う。
「あーう!」
「きゃう!」
「む、抱っこか。おーい、トワイト、ソレイユ来てくれんか」
ライルとリコットはずるいとディランの足を掴んで引いていた。
苦笑しながらディランは母親たちを呼ぶ。
一歳になった双子は今日も元気に遊ぶのであった。
「そうですねえ。フリンクも楽しかった?」
「きゅー♪」
「ごめんなさいね、私達まで」
「めぇー」
「あー……すぴー……」
「ぴーよー……」
ディラン達はクリニヒト王国を飛び立っていた。
手には水槽を持ち、背中にはトワイトやハバラ達が乗り、さらに羊とガレアも乗っていた。
泊ってもいいと言われていたものの、ディランが帰るなら一緒に連れて行ってくれと頼まれたのだった。
羊はリヒト達を気にしているが、ついにリヒトも限界が寝てしまったのである。
朝からこの時間まで起きていたのは奇跡に近い。
ライルほどでは無いがリヒトもお昼寝はするからである。
そしてひよこ達も羊の毛に埋もれてぐっすりだった。
「アー!」
「お前も楽しかったみたいだな」
「アー♪」
なんとなく羊の毛を羽で撫でていたグラソンを見てシルヴィアスが笑う。
「それにしてもホント多いな……まあ確かに可愛いけど」
「当たり前です。ソルさんとエレノアさんは元より、私達にも自慢の息子達です」
「ぐあ……!?」
『……♪』
「これがなあ……」
シルヴィアスがプレゼントの山を見て呆れていると、トワイトが笑顔で彼女の後頭部を掴んでいた。
呻くあぐらをかいたシルヴィアスの足にエレノアが乗って手を上げて挨拶をしていた。
「相変わらずだなあ。これじゃ結婚はトーニャに先を越されるんじゃないか?」
「だー! うるせえぞハバラ! ちょっと結婚して子供を作ったからって偉そうにするな!」
「いや、中々できないから凄いことよ?」
「くそ……敵しかいねえな……まあいいや、赤ん坊たちは寝ているし、一杯やろうぜ」
「わほぉん……」
「あ、いつの間に」
ハバラとトワイトに窘められてシルヴィアスはダル達アッシュウルフの下へ行く。
いつもは尊敬の念をもって接するが、酔っぱらいなので抱き着かれたダルは迷惑そうな声をあげていた。
そして懐から酒瓶を取り出して蓋を開けた。そしてどこからともなくコップも取り出してトワイト達へ投げた。
「ディランには申し訳ないけど、酒盛りさせてもらうぜ」
「構わん。帰ったら一杯貰うわい。いい月が出ておる、こういうのも良いじゃろう。母さん、まだ料理は残っているんじゃないか?」
「そうですね。それじゃあ、子供たちも寝ていることですし飲みましょうか♪」
「いただきます」
「確かに月見酒は悪くないな」
トワイトがカバンからソーセージやおでんといった残り物を出してディランの背中に広げる。乾杯をしてからつまみを口にする。
「いい酒だ。ワインだな」
「おでんには合わないかもしれないけれど、まあいいわよね私達だけだし」
「この、おでんというのはお野菜に味が染み込んでいいですね」
「お肉もいいけど野菜も採りたいもの。シルヴィアス、あなたも魚ばかりでしょう?」
「だな! 卵がうめえな。こいつのか?」
「こけー……」
ワインにおでんという組み合わせはなかなかに妙だが、家族だけならいいかと笑い合う。
卵を絶賛していたが、ジェニファーが頑張って数を揃えた卵の内の一個である。
「もっとお料理を作りたかったけど、次の機会にするわ。ソレイユさんもエルフ料理を作りましょうよ」
「大丈夫でしょうか……? そういえばウィズエルフのエメリさんともっと話したかったですね」
「また機会はありますよ。集落に行ってもいいですもの」
「チーズも美味いな」
「ウチのヤギのミルクから作ったチーズなんだよ。リヒト君が好きなミルクだから作ったけど、まさか陛下に食べてもらえるとはねえ……お酒も久しぶりだよ」
見事な月の下、ディランの背中ではそんな話をしながら酒盛りが続いていた。
急な参加だったが、シルヴィアスも満足そうだった。
「それで、竜の里へはいつごろ行くんだ父さん」
「む。そうじゃな、近い内には必ず行こう。リヒト達を連れて行くかどうかを迷っておる」
「危険があるなら連れて行かない方がいいでしょうね……お留守番させますか?」
「うむ。ちと考えていることがあるから、家に帰ったらそれをやろうと思う」
「?」
「なんだよ」
「まあ、お主達が居ない時にするから気にするな」
「……」
ディランがそういい、ハバラ達がトワイトへ目を向けるが特に何も言わずもくもくとお酒を飲んでいた。
顔を見合わせて肩を竦めた一同はそれ以上聞かず、酒盛りをした。
とはいえ、速度があるためすぐに村へと到着した。
「ありがとうね」
「んめぇ~」
「こちらこそ! わざわざ来ていただいて嬉しかったですよ。また遊びに行くからその時は二人と遊んでね」
「めぇ~」
「わほぉん」
ガレアと羊はダル達と顔を擦り付け合った後、村の中へ入って行った。もう真っ暗なので静かに姿が消えていく。
そのまま山の自宅へ戻り、さっとお風呂に入って就寝準備をする。
赤ちゃん達は起きず、ドラゴンパジャマのまま並んでおねむだ。
「ふふ、可愛い。おやすみ、みんな」
遊戯室で寝かせた後、トワイト達も就寝し特になにもなく次の朝を迎えた。
すると――
「あーい♪」
「あうー♪」
「きゃうー♪」
「わほぉん……!?」
「うぉふ……」
「こけー♪」
「ぴよー♪」
――陽が昇るかどうかくらいの時間に、赤ちゃん達は目を覚ましていた。
いつもの場所だと気づいた三人は暗い中で早速はしゃぎだす。
鼻提灯を作っていたダルがライルに抱き着かれて起こされ、朝の早いジェニファーやひよこ達も便乗して鳴いていた。
ヤクト達はまだ寝ていたため、びっくりして飛び起きた形だ。
「あーう♪」
「うぉふ♪」
「きゃーい♪」
「わん♪」
しかしライルやリコットが心底嬉しそうな顔で抱き着いてくるので、アッシュウルフ達は無下にせず、顔を舐めたりして構っていた。
誕生会は色々な人が参加していたのでダル達はあまり遊べていなかったため、これはこれでいいと思っている。
「ん? なんじゃ、目が覚めたのか。早いのう」
「あー♪ とーちゃ!」
「お、リヒトは父ちゃんというのが少し慣れてきたか? 一歳の誕生日で成長がみられるわい」
そこでディランが遊戯室が騒がしいと顔を出した。
するとリヒトが父ちゃんと言いながら駆けつけていた。そんなリヒトを抱っこしてディランが笑う。
「あーう!」
「きゃう!」
「む、抱っこか。おーい、トワイト、ソレイユ来てくれんか」
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