老竜は死なず、ただ去る……こともなく人間の子を育てる

八神 凪

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第407話 竜、のんびり過ごす

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「今日もいい天気じゃて」
『そうですねえ』

 自宅へ戻ってから数日が経過した。
 特に訪問者も無く、一家はいつもの日常を過ごしていた。
 今日も庭でソルとお茶を飲みながらディランは庭で双子を見守っている。

「あーい!」
「ぴよー♪」
「ぷひー♪」
「あう!」
「ぴーよー」

 リヒトはトコトや子豚と追いかけっこをし、ライルはシーソーでレイタと飛ばして遊ぶ。
 ペットも増えてきたので各々を構うため、二人は一緒ではなくそれぞれで相手をするようにしていた。
 
「わほぉん……」
『相変わらずダル君は遊ばないね』
「いざという時に動けるからええわい。ルミナスとヤクトが遊んでおるしのう。ここで寝ていてもリヒトもライルもダルが好きじゃから問題ないわい」

 クッションを持ってきてベンチに寝そべってあくびをしているダルの頭に手を乗せてわしゃわしゃと撫でまわす。
 
『どうして遊ばないんですかね? リヒトを背中に乗せて歩くのはしっかりしているのに』
「多分、遊ぶ負担を減らしているのじゃろう。リヒトとライルも優しい子じゃから仲間外れにしないようみんなに構うじゃろ? そしたら負担が増える。ダルはそれを察して寝ておるのじゃ」
『おお、なるほど……! 確かにダル君は身体がリヒト達より大きいし、疲れますものね』
「うむ」
「わほぉん……」

 ソルが頭に乗ってそういうと、ダルは尻尾をパタパタと振りながらまたあくびをする。ただ寝ているだけではないと少し誇らしげであった。

「あーい……!」
「あうー!」
「落ちんようになリヒト、ライル」
「あい♪」

 そんな話をしているとリヒトは滑り台の上でディラン達に手を振っていた。
 どうやら一緒に滑る遊びにシフトしたようだ。
 二人の頭にはひよこが乗っており、足元にはグラソンとジェニファーが居た。
 ディランが注意を促すと頷いてからひと滑り。

「うぉふ!」
「あー♪」
「ぴよー♪」

 リヒトが滑ると、下で待っていたヤクトがクッションになりボヨンと跳ねた。その反動でトコトが飛び、ヤクトの頭に着地する。
 リヒトがヤクトの首に掴まると、そのまま背中に乗せて立ち上がった。

「あーうー」
「わん!」

 続けてライルが滑り、今度はルミナスがクッションになりレイタとソオンが宙を舞った。

「ぴよっ!」
「ぴー!」
「おー!」

 しかし小さい羽を使って上手く動いてルミナスの頭に着地を決めた。リヒトがそれを見て手を叩いていた。

『お見事』
「む、次はグラソンのようじゃ」
「アー!」

 双子が降りたところで続くのがグラソンだった。滑り台の上で片方の羽をバッと上げて宣言をした。

「あーい!」
「ア!」

 リヒトが下から「いいよー」と手を振ると、グラソンは腹ばいになって滑り出す。
 空気抵抗が少ないフォルムは速度が一気に上がった。

「アー!?」
「あうー」

 このままでは地面に突き刺さってしまうと驚愕するグラソン。ライルが両手を上げて「危ない」とクッションになろうとする。

「……アー!」

 この速度ではライルが吹き飛んでしまう。そう思ったグラソンは口から氷を吐き出した。

『なにをするつもりだろう……!』
「ふむ」

 ライルが危ないと見たソルがサッとフォローに走っていた。ディランも腕組みをしたまま後を追い、有事に備えていた。
 
 すると――

「アー!」

 ――滑り台の先を凍らせて上向きのスライダーを作り、グラソンは大きく空を飛んだ。

「おー!」
「あーうー♪」
『と、飛んだ!?』
「ペンギンは空を飛べんのじゃが、やるのうグラソン」
「アー♪」
『着地はできるのかな……!?』

 太陽を背にして飛んだ彼は楽し気に声を上げる。しかし、このままでは着地が難しいのではとソルが驚愕する。
 
「わほぉん」
「あーい♪」
「あーう♪」
「アー♪」

 するとダルがさっとやってきて着地に協力していた。鮮やかに着地を決めたグラソンに拍手をする。
 
「こけー!」
『なんだって……!?』
「ほう、やるのかジェニファー」

 飛べない鳥の代表みたいなニワトリであるジェニファーが対抗心を燃やして滑り台の上に立っていた。
 片羽を上げるジェニファーを見てソルがまた驚愕する。ディランは興味深げに口を開くと、彼女は滑り台を走り出した。

「あーい!」
「あうー!」

 途中から香箱座りに移行して滑っていく。
 そのまま氷の発射台に差し掛かり、ジェニファーも高く舞った。

「こけー!!」
「ぴよー!?」
「ぴよ!」
「おお」

 そのまま羽をはばたかせてゆっくりと降下してきた。
 しかしかなりの距離を飛んでいき、ひまわりが植えられている花壇で着地した。

『やるなあ』
「ウチの古株じゃからな。ひよこ達と一緒に来たのじゃ」
『そうなんですね。ダル君たちが最初だと思ってました』
「こけー♪」
「あーい♪」
「あうー♪」

 そんな話をしながら今日も平和に時が過ぎていくのであった。

『……そういえば、東の国から持ち帰った剣ですが……あれはどういった物なのですか?』
「む」

 再び双子が遊び始めたのでディランとソルはまたベンチへ戻って見守る。
 そこで周囲を確認した後、ソルは剣について話をしてきた。

『トワイトさんに触らせないようにしていましたが――』
「あれのことは忘れてくれい。もう世に出ることはあるまい」
『そうなのですか。少し気になったもので、すみません』
「構わんわい。あの時、怒鳴ったワシも悪い」

 ソルは剣を使う者だからか、興味を持っていた。だが、ディランはにべもなく「もう世に出ない」と強調した。
 
『(もう無いというのであれば私から言うことはもうないが……なにか気になるな……)』

 ソルはそんなことを考えながらディランと双子を見るのだった。
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