現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く

八神 凪

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勇者、部活をする?

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 「それじゃ、夕方にな。母さん、すまないけど二人を頼むよ」
 「任せなさいって! 気を付けていくのよ!」
 「「はーい」」
 「行ってらっしゃいシュウ兄ちゃん」
 「待ってるぜー! ふあ……」

 俺と結愛は母ちゃんに二人を任せて家を出ると、真理愛と合流して学校へと向かう。危うくトランプ地獄になる前に真理愛を家に帰したので今朝はすんなり起きることができていた。

 「おはよう修ちゃんー!」
 「おう。それじゃ行くか」

 と、言ったところで珍しく表に出ていた真理愛の母親が俺に耳打ちしてくる。

 「おはよう修君。悪かったわね、真理愛がお邪魔したわ」
 「いや、いつものことだしな」
 「言うわねー。それで修君の家でなにやってたの? しっぽりムフフなやつ?」
 「それ、母親が言うことじゃないだろ!?」
 「えー、早くおばさんの息子になってよー。男の子も欲しかったけど出来なかったし」
 「知るか!? 彼氏ができたら可能性はあるだろ」
 「まあねえ、あの子可愛いし? ……ムラムラするんじゃないの……?」
 
 嫌な笑みを浮かべながら真理愛の母親が俺の肩に手を置いた瞬間、

 「なにしてるの? お母さん、修ちゃん?」
 「いや、なんでもないよ。行くぞ!」
 「いってらっしゃーい♪」

 とりあえず胸中でくたばれと呪詛を放ちながら真理愛と結愛を連れて学校へと向かう。

 「なんだったのー?」
 「気にしなくていい」
 「まあ、真理愛ちゃんは聞かない方がいいと思うよ。実践しそうだし……」

 聞いていたのか妹よ……

 まあ、そんな朝の疲れる対応を終え、程なくして教室へと辿り着くと先に来ていた霧夜に声をかけられた。

 「よう、修。昨日は大変だったな。まあ俺もびっくりしたけど……。二人はどうしてるんだ?」
 「おはよう、霧夜。質問が多いぞ? とりあえず放課後まではウチに居るよ。若杉さんもだけど、割とすんなり受け入れてくれて助かった」
 「魔法を見せられたらなあ……修だけじゃなくて、エリクだっけ? あいつも使ったし、面白そうな話だから受け入れるしかねえって」

 得意気に言う霧夜に苦笑しながら鞄を机にひっかけていると、霧夜がそのまま話を続ける。

 「俺、昨日思ったんだ。もし向こうから魔王が攻めてくるなら、それに対抗するために色々やるべきじゃないかって」
 「はあ? いきなり何を言い出すんだよ。色々やるって言っても、魔族に対抗できるのは俺とスメ……い、いや、俺だけだぞ」

 危うくドラ猫のことを喋るところだった……あいつら、特にスメラギは八塚の家猫なので正体を明かしてお互い気まずくなることを防ぐためあえて言っていない。
 うっかりをしないで済んだと思っていると、霧夜は興奮気味に拳を握って言う。

 「ここはひとつ、部活的なものを作るべきだと思う! この前の誘拐事件みたいに怪しい噂や場所を調査して先手を打つんだ。ま、結局のところ修やあの二人に解決を任せることになると思うけど、八塚が誘拐されたみたいに後手に回る前に調査しておけば少しは安心じゃないか?」
 「ふむ……」

 確かに言いたいことは分かる。分かるが――

 「お前達が巻き込まれてどうにかなったらそれはそれで後悔するから止めとこうぜ? 誘拐よりも酷い目に合うかもしれない」
 「まあまあ、率先して調査するんじゃなくて、学校で噂を聞くくらいだったらいいだろ? 集まる場所も欲しいから部活ってことにして……ああ、顧問は本庄先生とかで」
 「それはお前が本庄先生と話したいだけだろうが……」

 そんな中二病的な話を朝からし、昼に真理愛と八塚が来て霧夜はふたりにもその話をすると――

 「いいわね、私を誘拐した奴らにはお返しをしてやりたいし。お父さんに言って、学校に専用の部室を作ってもらおうかしら? あの二人も学校に入れるようにして……」
 「うんうん! わたし学校の人にいっぱい話を聞くよ? ……あなた、その時間なにをしていましたか? とか、ウチの修ちゃんがね、とか言うの」
 「そりゃ探偵だろ!? というか危ない目にあったのにやる気なんだな八塚」
 「まあね。お金はあるんだから活用しないと? パワーイズマネー?」
 「ようわからんが……」

 何故だか俺以外ははしゃいでいる様子でため息を吐く。まあ、先生が止めてくれるだろうと、そこは気にしないで、まずは放課後だなと思いながら俺は母ちゃんの作った弁当を口に入れる。
 フィオとエリクの家と金銭周りがなんとかなればいいけど……
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