現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く

八神 凪

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探索する男子

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 「サラリーマンなんてここじゃいくらでも見かけるからねえ、犯行時刻は夜中2時だろ? 活気がなくなる時間帯だからなあ」
 「そうですよね、ありがとうございます」

 「例のキャバ嬢事件で少し客足が減っちまって困るよ。犯人がサラリーマンつったってねえ、居酒屋にはいくらでも来るぜ」

 「どうだそっちは?」
 「ダメだな、羽須のやつは本当に運が良かった……いや、悪かったんだろうな」

 ――繁華街を探索しながら、俺達は散策しつつ通りや店のオープン作業をしている人たちに犯人について聞き込みを行っていた。
 期待できるものじゃないと宇田川さんが言っていたけどまさにその通りで有力な情報はまるでなく、スメラギの髭レーダーも静かなままだ。

 「犯行時間が遅すぎるのと、サラリーマンってのが広範囲過ぎて分からないもんだな」
 「俺が期待できないといった意味が解ったろ? せめて会社とな名前を公開できたらいいんだが犯人に警戒される恐れが高い。だから若杉さんが会社と自宅へ行ってから活用することになるだろうぜ」
 「公開捜査まではまだ早いってことか」
 「まあ、昨日の今日だしな」

 そんな霧夜と宇田川さんの会話を後ろで聞きながらエリクと並んでスメラギレーダーの経過を観察する。
 
 「なにも反応なしか」
 <先ほどと違い動かなくなった、これはスリートを待つ方がいいかもしれないな>
 「流石に朝だし、犯人がウロウロしている訳も無いか」
 「宇田川さんの言うように若杉さんを待つのがいいだろうな。ただ気になるのは現場の血痕が飛び散っていないことだ」
 「髭が反応したし、向こう側の人間が結界を張って犯行を行った……?」

 エリクの言葉に俺は顎に手を当てて考える。

 「そのメリットはなんだ? 生贄にするためだとしてもこんなに目立つ殺し方は意味がないだろ? 前みたいに誘拐したほうがリスクは低い。なら協力したか? といっても殺人犯に協力する必要も思い当たらないし」
 <どちらにせよ見つけて吐かせるしかないな。向こう側と関わりがあろうとなかろうと殺人があったことは事実だ、犯人は捕まえねばな>
 「元はドラゴンなのに人間の心配するんだな?」

 スメラギが前足を舐めながら言うと、エリクが意外だといった感じで頭を撫でる。

 <お嬢に世話をしてもらっているし、いつお前達の誰かに毒牙がかかるかわからんと思えば芽を摘んでいた方がいいだろう。なんだかんだで勇者にも世話になっているしな>
 「そうだな。ならそのためにも頼むぜ」
 <うむ>
 「何を頼むんですか? 出前?」
 「そりゃお前、犯人捜しの……って、うわあ!?」
 「うおおお!?」

 俺とエリクがその場を飛びのいて声をかけてきた人物に目をやると、そこには――

 「お前は羽須!? どうしてこんなところに居るんだ!?」
 「フフフ……そりゃあ私は新聞部ですからね! 犯人は現場に戻ると言います、なので現場にやってきたんですよ!」
 「それだとお前が犯人みたいだけどな? いや、危ないだろ……お前は犯人とぶつかっているんだ、ウロウロしてたら狙われるって」
 
 すると羽須は不敵な笑みを浮かべて勝ち誇ったように口を開く。

 「大丈夫、街頭の下とはいえ向こうはすぐに走り去りましたからね! パンツは見られたかもしれませんが!」
 「お前の汚いパンツになんざ興味ねえよ!?」
 「にゃにおー!? 女子高生のおパンツに興味がないとはそれでも男子高校生ですか! ほら、汚いかどうかとくとご覧あれ!」
 「痴女か! 犯人がだよ! こら、スカートをひらひらさせるな!」
 「では神緒君はパンツに興味があるということでいいですね?」
 「やかましいわ!」
 「ふぁ!?」
 
 とりあえず頭を引っぱたいて黙らせ、俺は宇田川さんを呼んで強制送還の儀に移ることにした。

 「またパトカーにっ!? 私がなにをしたというんですかぁぁぁ!」
 「今からなにかされる可能性があるのにそんな調子でいいわけねえだろ……」

 霧夜の呆れた呟きの後、羽須を乗せたパトカーは発進し彼女の自宅へと向かっていく。怖いもの知らずとはこのことだなと思っていると、不意に腹が減ったことに気づいた。

 「……もう昼か、宇田川さん飯にしようぜ」
 「そうするか。……っと、若杉さんから電話だ」

 俺達を手で制して電話を取ると、一言二言会話を交わしてすぐに電話を切り、俺達に情報を伝えてくれる。

 「……名刺の男は先週末くらいから会社に来ていないらしい。今から若杉さんと男の上司が家へ行くそうだ。これでなにか分かるといいんだがな」
 
 現状できることは探索くらいしかない。
 俺達は昼ご飯を食べた後、再度繁華街を探索するも手掛かりらしきものは見つからず、その日は徒労に終わる。

 そして翌日。
 
 宇田川さんから最悪の報せを受けることに――
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