現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く

八神 凪

文字の大きさ
99 / 115

最後の作戦へ

しおりを挟む

 なんだかんだで7匹の猫……もといドラゴンが揃い、当初の目的は達成することが出来た。
 では次のアクションは? ということになるんだけど、まずは一度状況の整理が必要なので八塚やフィオ、エリク達を集めて話をする必要がある。

 「まさかこんなに早く見つかるとはね」
 「結愛ちゃんも大活躍だったんですよ! 魔法で大蝙蝠を倒したって!」
 「まさかあの警察署で戦ったやつか!??」
 「みたいですよ宇田川さん。なんか母ちゃんの杖を使って魔法が使えるようになったみたいでさ」
 「結愛ちゃんも大魔法使いの娘ってことか……」
 「まあな」

 霧夜が肩を竦めてそう言い、俺が笑う。
 月曜日の放課後、俺は関係者に連絡を取って部室に集まっていた。
 若杉さん、宇田川さんを筆頭に俺と霧夜に真理愛、そして八塚とスメラギで、後ほどフィオ、エリク、ブランダが来る予定となっている。

 <むう、ついに全員揃ったのか>
 「まさかこんな短期間でいけるとは……修のお母さんの作戦がハマったってことね」

 不敵な笑みを見せる八塚に、俺は苦笑しながら返す。

 「みたいだな。公園でスメラギが活躍したのも良かったな」
 <そうだろうそうだろう……聖剣さえなければ元の姿だしな>
 「えー、スメラギさんは猫でも可愛いよ」
 
 「こんにちはー」
 「来たぜシュウ兄ちゃん、霧夜さん!」
 「久しぶりだなエリク、フィオちゃん! 生活はどうだ?」
 「向こうの世界より快適ですから、問題ありませんよ!」

 真理愛がスメラギを抱っこして撫でまわしていたところでフィオ達もやってきて賑やかになる。その後ろで退院したブランダが気まずそうに立っていた。

 「ブランダの調子はもういいのか?」
 「あ、は、はい……その、その節は申し訳ありませんでした……」
 「私を誘拐したこと?」

 開口一番、頭を下げながら謝罪を口にしたブランダに八塚が片目を瞑り、手を上げて口を開く。
 直接的な被害は誘拐された八塚だけで、後は結愛はお菓子を盗られたか。

 まあ、フィオ達と同じで利用された側の人間ということと、魔力を吸われるという裏切りも受けているのでここに居ても俺は構わないと考えている。それは八塚も同じようで、

 「ま、いいわ。最終的に修君に出会えたし、向こうの世界への足掛かりができるようになったから」
 「ありがとうございます……」
 「あんたもいい人に出会えたんでしょ? 知ってるわよ」
 「う……!?」

 そう言ってニヤニヤと宇田川さんを見ると、二人は顔を赤くして頬を掻いたり俯いたりしている。

 「一緒に住んでいると聞いたけど?」
 「あ、ああ……あんまり言わないでくれよ……? ブランダのところに俺が行っているだけだ!」
 「まあ、護衛ってことで行ってもらっているよ」
 「あーそう言う名目か」
 「うう……宇田川さん、優しいですし……」
 「確かにブランダさん美人だしな……年上女性……ごくり……」
 「霧夜、本庄先生はどうした?」
 「もう若杉さんのだろ……!!」
 「まあね」
 「くっそーーー!!」

 献身的な宇田川さんにブランダも満更でもない様子で頬に手を当てて呟く。他の警官も彼女が居る部屋の近くに待機しているのでそういうことはしていないだろう。若杉さんにノックアウトされた霧夜は放っておこう。
 
 「……だけど、向こう側に通じることになったら帰ることになるわ。どうするかは任せるけど、一応言っておくわね?」
 「……っ」
 「な……!?」

 そんなバカップルな空気の中、冷静な顔で八塚がそんなことを言い出したので場の空気が凍り付く。
 
 「お、おい、八塚、今言わなくてもいいだろ」
 「どうして? もうドラゴン猫は揃ったし、後は『扉』を開くだけなのよ? フィオもエリクも、向こうへ帰ったらこっちへ来ることもない……いや、来れないかもしれないじゃない」
 「それは……」
 「……そうだけどよ」
 「怜ちゃんどうしたの? なんだか怖いよ……?」
 「そう? あ、先生も来たみたいね。それじゃ今後のことを話しましょう」
 「あ、ああ……」
 「すまない、遅くなった。……どうした? 随分暗いじゃないか」
 「なんでもないよ麗香。さて、それじゃ情報を聞かせてくれるかい?」

 本庄先生が入って不思議そうな顔をするが、それを若杉さんがやんわりと口を開いてなにごとも無かったように話を始めて打ち合わせが始まる。
 
 肝は『扉』がどこで開くのかという場所、条件、魔力量は? といった話だ。
 場所はフィオ達が出てきた場所が有力なのでそこを使う。条件と魔力量は恐らくイコールでそれに加え、母ちゃんの言う通りドラゴン達が必要と考えられる。
 こればかりは行ってからのお楽しみと思うしかないだろう、多分聖剣の力を使うはず。
 それと別世界の勇者である仁さんが協力者を連れてくる手はずになっているので、母ちゃんか親父が連絡を取っているはずだ。

 それにしても、だ。
 
 「向こうへ戻ったらすぐに国王に直訴かしら? ドラゴン達が元の姿に戻ったら魔王も倒せるかもしれないし、早く向こうへ行きたいわね」
 「こっちに魔族か刺客を送ってくる可能性はないか?」
 「その前にこっちが『扉』を開けばいいわ! フィオとエリクの仇を取らないと!」
 「いや、死んでねえから……」
 「あはは、張り切っていますね怜さん」

 妙に八塚が張り切っているのが気になる。よく考えたらまだ記憶が戻っていないはずだからそこまで向こうに執着する必要はないはずだが……
 なんだろう、なにかが引っかかっているような――

 「どうしたの修ちゃん?」
 「おう!? びっくりした、真理愛か。どうした?」
 「頑張ろうね!」
 「……そうだな。ってお前は留守番だぞ」
 「私も行きたいよー……」

 涙目で縋りつく真理愛を引きはがしていると、八塚が俺に顔を向けて口を開く。

 「真理愛も役に立つかもしれないじゃない。愛する修君と一緒じゃないのは可哀想よ」
 「いやいや、一般人の真理愛を連れて行くつもりは無いぞ? 若杉さんや宇田川さんだって来ないだろう」
 「ブランダが行くなら俺は行くぞ?」
 「圭さん……!」
 「はいはい、ごちそうさまでした。……まあ、修君がそう言うなら。それじゃ帰るわよスメラギ」
 <承知した。またな真理愛、シュウ>
 「ああ。それじゃあな」
 「ばいばーい怜ちゃん、スメラギさん!」
 「ええ、今週の休みにでも決行したいわね」
 「……」

 スメラギを連れた八塚が扉を開け去っていく。うっすらと笑みを浮かべながら。
 八塚……いや、カレン、もしかして記憶が戻っているのか?
しおりを挟む
感想 225

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...