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第七章:荒れる王都
その118:反撃のために
しおりを挟む「うっ……うっ……」
「昨日まであんなに元気だったのに……」
「わたしは短い間でしたけど……悔しいです……」
一夜明け、俺達は集団葬儀の場に紛れていた。
コギーとギリィの二人は救助を試みるも息を引き取ってしまい、他に親族もいないらしいので彼らの友人として参列しているのだ。
綺麗な状態だったのは幸いだったのか……このまま埋めれば家族仲良くあの世で暮らせると思いたい。
「……泣くな」
「だってぇ……コギーちゃんが……コギーちゃんがぁ……」
昨日からファムはずっと泣き止まず、一度疲れて寝たが朝からずっとこうだ。
流石に泣きすぎなため心配になり、頭を撫でる。
「お別れよファム……」
「うう……」
ルーンベルやイスラも涙を流し見送っていた。
棺の蓋が閉じられ、埋められるその時、俺は肩をぐいっと引かれた。
「……ちょっといいか?」
「ああ」
ファム達に任せて俺は型を引いた人物、ヴァルカンと共に少し離れた場所に移動。
しばし沈黙の後、振り返ったヤツが渋い顔で言う。
「お前、冥王なんだろ? ガキの……コギーの魂を呼び戻すことはできねぇのか?」
「……冥王とは言ってもあの世に行けるわけではない。そもそも、この肩書もメギストスがつけたものだからな」
「なんとかしろってんだ! お前くらいの能力がありゃできんだろ!?」
「そう言われてもな……なんとかしたいのはやまやまだが……」
ヴァルカンが俺に食って掛かるが、そんな能力は――
(あるわ。ザガム、あなたには力が――)
「っつ……」
「どうした?」
「いや……」
あの女の声が響き、俺は額を抑えて呻く。
できるだと? そう思った瞬間、メモリーが姿を現した。
「……ザガム、あなたには冥界へ行ってもらうわこの町の人達を助けにね」
「お前まで……。そんなことができるのか?」
「多分ね。確か、自分を仮死状態にして冥界の門を抜けるなんて話を昔聞いたことがあるわ。それは選ばれた者にしかできない――」
やけに神妙な顔でもっともらしく言う。
冥王である俺が知らないのに、どうしてメモリーが知っているのだろうか?
……そんな都合のいい話があるわけがない。仮死状態になった俺を始末するつもりかもしれないのだ。
だが――
「自分を仮死状態に追い込むやり方は分かる。だが、あのワイバーンの部隊が戻って来てまた町を蹂躙するのではないか? 撃退せねばならん。それにお前達を信用するのは難しい」
「……心配すんな、俺の名誉にかけてしねえよ。完全なお前を倒してこそだからな。それにあのワイバーン野郎どもは俺がぶっ殺す。大魔王様は人間とは距離を取れと言うが、今回はそれに背かせてもらう」
「お前も裏切り者扱いになるぞ。ヤツはやるときは必ずやる」
「ふん、そんときゃお前の屋敷においてもらうぜ」
「断る」
「そこは任せろとか言えよてめぇ!?」
ふん、しかしやらなければコギーとギリィは死ぬ。
可能性があるならやるべきだろう。
「……よし」
「どこへ行くんだ?」
「少し話をしてくる。行くぞ、あのワイバーンと男達も引き渡さないと」
俺は墓地の管理者と話をし、国王の下へと向かう。
ファムやルーンベル、ヴァルカン達も引き連れてだ。
◆ ◇ ◆
「こ、これはザガム殿! 今、城は混乱しております、またになりませんか?」
「いや、今だ。捕虜を連れてきたと言えば通してくれるだろう」
「……! しばしお待ちを!」
門番はヴァルカンが抱えているワイバーンと、イザールが連れている騎士二人を見せると喉を鳴らして城の中へ戻っていく。
「……本当になんとかなるんですか? コギーちゃん達を生き返らせるなんて……」
「蘇生魔法なんて夢のような魔法もどこにあるかわからないわ。どうするつもり?」
「まあ焦るな。とりあえず国王たちに話をするぞ」
ファムの頭に手を乗せ、門番の案内で、庭へ通された。
とりあえず、期待は薄いが蘇生できる可能性があると、埋めずに置いてもらってきている。
イスラの氷結魔法で棺桶を凍らせ、腐敗しないようにしておいた。
損傷が酷い者は、回復魔法で傷を癒しておいたので、いざ蘇った時にショック死はすまい。
「来たか、ザガム」
「ああ。とんでもない目にあったな」
「いや、お前が飛び立つのを見ていた。助かった、礼を言う」
「国王様に頭を下げさせるとは……」
国王自らが頭を下げ、イスラが驚愕する。
まあ、正体を知っているからな。
ともあれ、いつものバカげた笑いをせず、国王は少々やつれた顔で話を続ける。
「……国境付近の砦も強襲されたらしい。ワイバーンの襲来の直前に伝令が戻って来たのだが、一足遅かった。相手はヒズリーン帝国で、あの鎧の紋章で確実なものとなった」
「これからどうする?」
「砦は恐らく落とされているだろう。ここに進軍する間の町もどうなっているか分からん。故に、こちらからも打って出ることに決めた。もう準備はできていて、後は出撃するのみだ」
「ワイバーンの部隊はどうする?」
俺の問いに国王は首を振って答える。
「今の戦力ではあの高さに対抗が出来ん。町の者は地下室などに隠れてもらい、地上部隊を相殺する。それで諦めてくれれば御の字だろうな。お前は出向いてくれるか?」
「そうしたいところだが――」
俺は死亡者の復活について話しをする。
けが人は多いが、死者はなんとか100名いかない程度で済んでいること、もしかすると復活できる可能性があることを。
そのため、俺が仮死状態になる必要があると伝えてやる。
「痛いですな、ザガム殿の戦力は申し訳ないがアテにしていたので」
「ザップ、仕方あるまい。町の人間も大事だ」
「……そこで、一つ提案がある。この二人を使ってくれ。俺の『友人』で強さは俺に匹敵する。仲の良い者が亡くなってな、是非自分の手で始末をつけたいというのだ」
「ザガムの友人……ま、まさか……」
「考えているとおりのはずだ。どうだ?」
「……頼む。帝国の非道ぶりは先の通り。一般人を巻き込むことも辞さんような奴らだ、分からせてやる必要がある」
「任せろ、ぶちのめしてやるぜ……!!」
ヴァルカンが拳を合わせて憤り、俺達は頷く。
さて、戦いはファム達やヴァルカンに任せるとして、問題は俺か――
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