異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)

八神 凪

文字の大きさ
16 / 43
World 1

1-10 変形は男のロマン

しおりを挟む
「おいおい!? でけぇなんてもんじゃねえぞアレ!?」

「この距離であの大きさ……ゆうに10メートルは越えているわね……」
 俺と綾香が目視でジャンボグリーンスライムとやらを確認し戦慄する。
 あんなのに踏みつぶされたら一発でアウトだ!

「ははははは早く逃げましょう!? ジャンボスライムの動きは遅いみたいですし!」

<ジャンボ「グリーン」スライムですよ雌豚>

「いや、今そんなこと言ってる場合じゃないからな!? よし、急ぐぞ!」

 不穏な言葉が聞こえたが今は突っ込んでいる場合じゃない。
 俺達三人は急いで町へと走り出す。とりあえず町まで逃げれば……町まで……。

 あれ?

「ちょちょちょ、ちょっと待て! このまま町まで逃げたらあいつはどうなるんだ?」

<お答えしますマイマスター。あの規模の魔物が町へ突っ込んできた場合、家屋の7割は破損。住んでいた人々はスライムに飲まれ溶かされることでしょう。服だけが溶けるとか甘い事は言いません。すべからくスライムの養分になることでしょう。ホホホ……>

 怖っ!? ということは俺達狙いなら町へ戻るのは被害を増やすだけ……。

「ど、どうしよう陽!? まだ死にたくないよ!?」

 おお、焦っている綾香を見るのは久々だな……いつもこうなら可愛いんだが。などと言うと別のベクトルで、アプローチをかけてくるので口が裂けても言わないが。

「ローラ、何か良い手は無いか?」

 ゆっくりと、しかし確実に歩を進めてくるジャンボグリーンスライムを見ながらコントローラーへ話しかける。

<その言葉を待っていました。では、奥の手を使いましょう>

「お、奥の手ですか……? だ、大丈夫なんですか……?」

<牛おっぱいは魔法の準備でもしていなさい、この奥の手は貧乳と陽さんだけしか使えないのですから>

「並はあるわよ!?」
「うわーん!!」

「ええい話がややこしくなる! 早く奥の手を教えてくれ!」

<畏まりました。ではコントローラーのボタンを今から教える順番に押してください>

「わ、分かったわ」
 色々思うところはありそうだが、綾香も死にたくはないだろう。大人しく言うことを聞いていた。
 これで嘘だったら多分壊すな。

<上上下下左……>

「やめろぉ!? それは嘘だな……?」

<流石です。では……上、下、L1、R2、左、右、L2、R1の順でお願いします>

 こいつは……。ええい、やるしかないか!

「「上、下、L1、R2、左、右、L2、R1……」」

 綾香と二人でカチャカチャとコントローラーを操作すると、音声が鳴り響きその形を変えていく!

<コマンド確認。アルティメットモードへ移行します>

「「おおー!」」

 カシャン! ガキィィン!

<お待たせしました、コントローラーアルティメットモードです>

 俺達の手にはどういう変形を行ったのか分からないくらいまったく別の形……そう、剣の刃が無い状態の部分を握っていた。

「何か剣っぽいな? ここからどうするんだ?」

「刃が無いと戦えないわよ?」

<焦るな貧乳。それでは、目を瞑って理想とする刃の形を念じてください>

「ん……こうか……」

「後で覚えてなさいよ……ん……」

「わわ!? す、すごいです……!」

<成功です。目を開けてください>

「おお! 何だこれ! カッコいい!」

 俺の剣は刀を模した、反りのある刃ができていた。光っているのはもしかして……。

「これは魔力の刃か?」

「あ、そういうことね」
 綾香の剣はクレイモアとかバスタードソードみたいな大型の刃だった。

<その通りです陽さん。これならあのジャンスラはすぐに倒せるでしょう>

「い、今略……」

<シャラップ>

「ひい!?」

「よし、これならいけそうだ! フィリア、魔法で雑魚の相手を頼むぜ! うおおおお!」

「あ、待ってよ陽!」

「≪ライトニング≫!」

 進路上の雑魚を魔法で倒してくれたので、俺達はそのままジャンボグリーンスライムへ斬りかかる!

 ジュエェェェェアアア!!

 同胞を殺された怒りか、スライムが咆哮をあげる!(どうやって鳴くんだ?)

「せい!」

 ブジャアア

 少し浅かったか!? スライムの体の一部を切り取ったがまだまだ元気だ。

<どこかにコアがあるはずです。それを探してください>

「了解! こっちも! とおおおお!」
 綾香の縦斬りがキレイに決まり、体の三分の一をえぐり取っていた。
 分裂をするかと思ったけど、斬った端から消滅しているのでスライムの体はどんどん小さくなっていく。

「これで終りだ!!」

 ジュェア!?

 横薙ぎでスライムを真っ二つにすると上下ともに消滅した。それと同時に魔力の刃が消える。

「ふう、何とかなったか……これすごいな!」
「そうね、これがあったら刺客もすぐに……」

 言い終わらない内に綾香が顔から倒れこむ。
 え? どうしたんだ?

「お、おい! 綾香! ……あ……」
 助け起こそうとした俺も綾香に覆いかぶさる形で倒れこんでしまった。起き上がろうとしても指一本動かせない。

「はあ、はあ……陽ぅ……」

「だ、大丈夫か! どこか痛むのか!?」

「陽が……上に……えへへ……」

 頭以外は無事みたいだな。

「ハルさぁーん! アヤカさーん! ふへ!?」
 急に姿を消した俺達を探しにフィリアが来て変な声を上げていた。

「おい、ローラ……これはどういうことだ?」

<お答えします、マイマスター。このアルティメットモードは魔力を消費して刃を形成するモードなのですが……>

「それはさっき言ってたわよね?」

<ええ、ただ使っている間、どんどん消費していくので今のお二人の魔力量ではこの時間の戦闘に耐えられなかった……そういうことです>

「何だと!? じゃあ俺達はどうなるんだ?」

<このままじっとしていれば徐々に魔力が回復しますから待ちましょう>

「なんてこと……あ!? ちょ、スライム!? スライムがスカートの中に!? 取って! とってぇ!?」
 どうやら雑魚がまだ残っていたらしく、綾香のスカートへ侵入したらしい。

「何てうらや……いや、すまん俺も指すら動かせないんだ」

「フィリアー! お願い何とかしてぇ!」
 するとフィリアがスッと綾香の耳元へ顔を近づけ、何事か話しかけていた。

「(ハルさんとの添い寝権、わたしにもいただけますか?)」

「(!? ひ、卑怯な……! 私が身動き取れないことをいいことに……!)」

「(そうですか……残念です……下着は諦めてもらうしかありませんね)」

「(くっ!? し、仕方ない……とりあえずお試しで一回。陽が嫌がれば無し。それでどう?)」

「(分かりましたあ♪)」

「えい! えい!」

 ピギュウ……

 フィリアが★ステッキでスライムを滅していく。これくらいなら何とかなるらしい。

「……早く魔力かいふくしねぇかな……」

 段々と日が暮れていく中、綾香の上でそんな当たり前のことを呟くしかできなかった。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件

Y.
ファンタジー
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。 火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。 ――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。 「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」 「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」 「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」 彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった! 魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。 着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。 世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。 胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...