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第104話 それはちょっと……
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「はあ、まさかカイ様に惚れていたとは」
「驚いたよな……」
『今から話し合いが行われるってー』
イルカイヤーで聞いていたものの、一応、クレアとフリンクから聞いた形にしている。
さて、王子の話は割と驚愕だった。世間は狭いというかなんというか。
城の人間と話せることを聞いた時点で演技だろうというのはなんとなく分かっていた。後は理由を聞くだけだと思っていたが、早くケリがついたのは良かった。
「ま、後は陛下達の話じゃ。ワシらは戻るとしようか。ミドリとレンのことを話し合わねばならん」
「父さん達はどこかの町に住むんだよな?」
「そうねえ。なるべく近くの町で町長をやってもらえればいいと思っているわ」
前に言っていたことを婆様が口にする。まあ、元気でやってくれれば俺に不満はない。離れて暮らすことになるかもだけど、やはり村が落ち着くしな。
「では、父上帰りますか」
「そうだなアオヤ。陛下に挨拶はしてあるし、大丈夫だろう」
「よーし、帰りますわよプラーボ、クリンちゃん!」
『がう』
すっかり熊親子と仲良くなったヴィリジャがプラーボの背中を撫でながら微笑んでいた。クリンは婆様が抱っこしている。毛が抜けそうなくらい撫でているので後で回収せねば。
「もうお帰りで?」
「ええ、陛下達はこれからが重要でしょうし」
ついていてくれた騎士さんが頷くとそのまま出口まで案内してくれ――
「帰ろうとしている!? 待ちたまえ!?」
「え?」
一仕事終えたなって感じで門を抜けようとしたその時、 馬を駆ってライオネス王子が追いかけてきた。
家族全員が首を傾げている中、俺達の前に回り込み、馬上から王子が話してくる。
「私の話が進展したのに結果を聞かずに帰るのか!?」
「いや、後は陛下と王子の問題かと……?」
「サーナ!? いや、それより戻ってくれ。レンに話したいことがある」
「私、ですか?」
自分を指差して尋ねると王子は深く頷いた。そのまま回れ右をして城へ戻される。
プラーボとクリンは騎士達が庭で見てくれるとのことで、親族含めて全員、城内へと入った。
「……姉ちゃんは?」
「今は視察で別の領地にいる。大丈夫だ」
「それはよかった」
サーナがほっかむりを外して安堵する。実の妹にまで見つかると面倒だと思われているのは不憫ではあるが自業自得というやつか。
そして案内されたのは少し広い大部屋だった。応接室かな?
「戻って来たか」
「はい。帰ろうとしておりました」
「帰っ……!? ま、まあ、確かに待てとは言っていなかったが……え? 本気でか」
「受勲も終わったのでもうよいかと……」
爺様と陛下が顔を見合わせて『マジか』みたいな表情になっていた。二人とも大人なので文句を言ったりはしない。
『それでレンにお話しってなんなのー?』
「おお、フリンク殿。それです。まずは座ってくれ――」
フリンクに促されて陛下が語りだす。一番の礼はクレアとフリンクで、真相を引き出したことだろう。
令嬢などだとご機嫌取りになったり突っ込んで聞けないため、フリンクとクレアならではと言ったところである。
次に俺の元凶を取り除いたこと。ローク様とサーラに症状は聞いていて、治療は難しいと諦めていたらしい。
サーラはアレだが能力は高い人物なので彼女が難しいと判断して王子は諦めていた。
「……だが、レン君がそれを取り除いてくれた」
「偶然関わっただけですけどね。それで他にはなにか?」
「うむ。君とクレアさんは結婚すると聞いている」
「わたしもですよ!?」
「……サーナもか。ひとまず、カイさんには打診をするが、OKを貰った場合、合同で結婚式をやらないかと思って」
「恐れ多い!? い、いえ、さすがに遠慮させてください。父さんが貴族になったとはいえ、王族と同じ場にいるのは恐縮します……」
「なら君にも爵位を……」
「軽率ぅ……」
まだカイさんには想いを伝えていないのだから気が早いと説得。ひとまず提案は辞退する方向で話を進めておいた。
「そうか……神様の加護を持っていて精霊様と一緒に結婚式をするのはいいかと思ったのだが。命の恩人でもあるし」
「王子が一人しか娶らないのに、私が二人と、というのも印象が悪そうかなと……」
「モテモテでいいじゃないの?」
「王妃様がそれを言いますか……」
自由な王族だ。
平和な証拠なのかもしれないけど。その後も色々と計画を話してくれたが、おおらかなクレアも『これはやりすぎでは』と漏らしたので丁重にお断りをした。
「結婚式をしないならお礼はなにがいいのか……」
「あまり気にしないでもらえると。困った時に助けてもらうとかどうです?」
「む、そんなことでいいのか? 国としては今すぐにでも礼をしたいが……」
と陛下は渋い口調で言うも、特に欲しいものもない。
後は家に帰ってゆっくり休めれば両親の件も解決だしな。
「また会おう」
「クリンちゃんまたねえ」
『くおーん』
「必ず結婚式には来てくれ!」
「ちゃんと告白してからですよー」
そんな調子で俺達は城を後にした。
後日談だが、カイさんはライオネス王子の求婚を受けたようだ。サーラは俺に気があるはずと言っていたけど、それならもっと尋ねてくるはずさ。
『ふああ……疲れたねえ。早く帰ってお魚を食べたいよ』
「爺ちゃんの屋敷に帰り着いたら海へひとっ走り行くか」
『あ、いいねー』
「ワシも行きたいのう」
『へい、爺ちゃん! 乗ってく?』
「よし……!」
「よしじゃねえよ!?」
まあそんなわけで両親の両親のところへ行ったと思ったら王族の悩み解決までやってしまった。
物語とかでありそうなひと悶着もなく、比較的穏やかに終わった。
大変……かどうかはわからないけど、これからまた少し生活が変わるだろう。
……特に、結婚をするなら金が必要だ。畑仕事以外になにか探さないといけないなと城を振り返りながらそう思うのだった。
「驚いたよな……」
『今から話し合いが行われるってー』
イルカイヤーで聞いていたものの、一応、クレアとフリンクから聞いた形にしている。
さて、王子の話は割と驚愕だった。世間は狭いというかなんというか。
城の人間と話せることを聞いた時点で演技だろうというのはなんとなく分かっていた。後は理由を聞くだけだと思っていたが、早くケリがついたのは良かった。
「ま、後は陛下達の話じゃ。ワシらは戻るとしようか。ミドリとレンのことを話し合わねばならん」
「父さん達はどこかの町に住むんだよな?」
「そうねえ。なるべく近くの町で町長をやってもらえればいいと思っているわ」
前に言っていたことを婆様が口にする。まあ、元気でやってくれれば俺に不満はない。離れて暮らすことになるかもだけど、やはり村が落ち着くしな。
「では、父上帰りますか」
「そうだなアオヤ。陛下に挨拶はしてあるし、大丈夫だろう」
「よーし、帰りますわよプラーボ、クリンちゃん!」
『がう』
すっかり熊親子と仲良くなったヴィリジャがプラーボの背中を撫でながら微笑んでいた。クリンは婆様が抱っこしている。毛が抜けそうなくらい撫でているので後で回収せねば。
「もうお帰りで?」
「ええ、陛下達はこれからが重要でしょうし」
ついていてくれた騎士さんが頷くとそのまま出口まで案内してくれ――
「帰ろうとしている!? 待ちたまえ!?」
「え?」
一仕事終えたなって感じで門を抜けようとしたその時、 馬を駆ってライオネス王子が追いかけてきた。
家族全員が首を傾げている中、俺達の前に回り込み、馬上から王子が話してくる。
「私の話が進展したのに結果を聞かずに帰るのか!?」
「いや、後は陛下と王子の問題かと……?」
「サーナ!? いや、それより戻ってくれ。レンに話したいことがある」
「私、ですか?」
自分を指差して尋ねると王子は深く頷いた。そのまま回れ右をして城へ戻される。
プラーボとクリンは騎士達が庭で見てくれるとのことで、親族含めて全員、城内へと入った。
「……姉ちゃんは?」
「今は視察で別の領地にいる。大丈夫だ」
「それはよかった」
サーナがほっかむりを外して安堵する。実の妹にまで見つかると面倒だと思われているのは不憫ではあるが自業自得というやつか。
そして案内されたのは少し広い大部屋だった。応接室かな?
「戻って来たか」
「はい。帰ろうとしておりました」
「帰っ……!? ま、まあ、確かに待てとは言っていなかったが……え? 本気でか」
「受勲も終わったのでもうよいかと……」
爺様と陛下が顔を見合わせて『マジか』みたいな表情になっていた。二人とも大人なので文句を言ったりはしない。
『それでレンにお話しってなんなのー?』
「おお、フリンク殿。それです。まずは座ってくれ――」
フリンクに促されて陛下が語りだす。一番の礼はクレアとフリンクで、真相を引き出したことだろう。
令嬢などだとご機嫌取りになったり突っ込んで聞けないため、フリンクとクレアならではと言ったところである。
次に俺の元凶を取り除いたこと。ローク様とサーラに症状は聞いていて、治療は難しいと諦めていたらしい。
サーラはアレだが能力は高い人物なので彼女が難しいと判断して王子は諦めていた。
「……だが、レン君がそれを取り除いてくれた」
「偶然関わっただけですけどね。それで他にはなにか?」
「うむ。君とクレアさんは結婚すると聞いている」
「わたしもですよ!?」
「……サーナもか。ひとまず、カイさんには打診をするが、OKを貰った場合、合同で結婚式をやらないかと思って」
「恐れ多い!? い、いえ、さすがに遠慮させてください。父さんが貴族になったとはいえ、王族と同じ場にいるのは恐縮します……」
「なら君にも爵位を……」
「軽率ぅ……」
まだカイさんには想いを伝えていないのだから気が早いと説得。ひとまず提案は辞退する方向で話を進めておいた。
「そうか……神様の加護を持っていて精霊様と一緒に結婚式をするのはいいかと思ったのだが。命の恩人でもあるし」
「王子が一人しか娶らないのに、私が二人と、というのも印象が悪そうかなと……」
「モテモテでいいじゃないの?」
「王妃様がそれを言いますか……」
自由な王族だ。
平和な証拠なのかもしれないけど。その後も色々と計画を話してくれたが、おおらかなクレアも『これはやりすぎでは』と漏らしたので丁重にお断りをした。
「結婚式をしないならお礼はなにがいいのか……」
「あまり気にしないでもらえると。困った時に助けてもらうとかどうです?」
「む、そんなことでいいのか? 国としては今すぐにでも礼をしたいが……」
と陛下は渋い口調で言うも、特に欲しいものもない。
後は家に帰ってゆっくり休めれば両親の件も解決だしな。
「また会おう」
「クリンちゃんまたねえ」
『くおーん』
「必ず結婚式には来てくれ!」
「ちゃんと告白してからですよー」
そんな調子で俺達は城を後にした。
後日談だが、カイさんはライオネス王子の求婚を受けたようだ。サーラは俺に気があるはずと言っていたけど、それならもっと尋ねてくるはずさ。
『ふああ……疲れたねえ。早く帰ってお魚を食べたいよ』
「爺ちゃんの屋敷に帰り着いたら海へひとっ走り行くか」
『あ、いいねー』
「ワシも行きたいのう」
『へい、爺ちゃん! 乗ってく?』
「よし……!」
「よしじゃねえよ!?」
まあそんなわけで両親の両親のところへ行ったと思ったら王族の悩み解決までやってしまった。
物語とかでありそうなひと悶着もなく、比較的穏やかに終わった。
大変……かどうかはわからないけど、これからまた少し生活が変わるだろう。
……特に、結婚をするなら金が必要だ。畑仕事以外になにか探さないといけないなと城を振り返りながらそう思うのだった。
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