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第三章
第79話 ここが再出発の場所
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「お、でかい山が見えてきたぞ、もしかしてあれがザラン山か?」
「……」
「そ、そうね……」
<メンタル低下傾向にあると思われます。アウラ様はこのまま気ぜ……睡眠を取ってもらいましょう>
――なんだかんだで行軍は進み、現在九日目となっていた。
丘陵を越えた後はだだっ広い草原になり、林といった程度の場所も通って来た。
商人や冒険者が使う街道があるので道はそれほど悪くない。
だが、人数の多さと魔兵機《ゾルダート》の小回りの利かなさという悪条件が重なり、かなり遅れての到着となっている。
幸いグライアード兵には見つかっていないけど、デッドリーベアとかいう妙にでかい熊や集団で襲ってきたグロースホーネットといった魔物には遭遇していたのも遅れた原因としては大きい。
「疲れた……」
「頑張れシャル、あと一息だ」
「うん……」
熊はヴァイスが追い払えるけど蜂のように空を飛んでいる相手はそうもいかない。
町の人を守るため、騎士やガエイン爺さん、シャルといった戦闘要員が迎撃にあたっていた。そのため、いつも元気なシャルもコクピット内でグロッキーになっているというわけだ。
アウラ様は普通に疲労だと思う。
<村人もいずれ集合するみたいですし、早く到着したいですね>
「だな。一旦腰を落ち着ければみんなも活気を取り戻すだろ」
途中でいくつかあった村にも経緯を説明していて、サクヤの言う通りいずれアウラ様の立ち上げる拠点へ来るとの回答があったそうだ。
まあ、人数が増えると責任も重くなっていくのでアウラ様は知らず心労を受けていたのかもしれない。
「町の人たちも限界が近いから慎重に行くぞ」
<はい>
「まあ、それでもサクヤのメディカルチェックだっけ? あれのおかげで病気の人が悪化せずに済んだのは大きいけどね」
<薬は現地の方々のものなので、私は知識を出しただけですが>
シャルの言うメディカルチェックで熱が上がっている子や馬の体力が落ちているなどといった管理をしていたので早期発見、早期治療を徹底していた。
ちなみに採れる薬草などから成分を分析し、お手製の薬を作るなども。もちろん町民には医者も居たのでその人に調合してもらった。
「お医者さん、驚いていたわよねえ」
「もっと教えてくれって張り切ってたよな」
<落ち着いて素材を持ってきてくれれば分析は可能です。ともかく行きましょう>
「ああ」
正直、この長旅で俺も知らないヴァイスの機能がいくらか明らかになった。メディカルチェックに放熱による外気を吸って暖房にするエアコンのような機能といった生活に必要なものが。
こういう地上で遭難した時のため用らしいが、あったっけかなというのが正直なところだ。タブレットのマニュアルを見ると書いていたので俺が忘れていただけのようだ。
「電子レンジとかも胴体周りに収納されていたのはなんの魔法なんだろうなあ……」
<……>
「あれいいわよね。すぐ温まるし」
現代アイテムを見てはしゃいでいたシャルがそのことを思い出して少し持ち直していた。
そんなことを考えながら見える山へと足を運び――
◆ ◇ ◆
「到着じゃ……!!」
「「「「うおおおおおおおお!!!」」」
ガエイン爺さんが高いところに上って腕組みをしながら完遂したことを町の人達に告げた。男衆は感極まって泣きながら抱き合い、女性は呆れながら笑っていた。
「やったぜ父ちゃん……!!」
「おお、息子よ! よく頑張ったな!」
そんな中、子供たちが耐えたことも称賛に値する。
我儘はいくつかあったけど、町が破壊される惨状を目の当たりにしているせいか年上の子が年下の子をなだめるといったこともあり、概ね余裕があったと言える。
「大きい兄ちゃん、これからどうするんだ?」
「今日からこの辺りが俺達の縄張りになる。家とか建てるぞ」
「おー! あたしお部屋欲しいー!」
「はは、土地はあるから好きに作ればいいさ。俺とあっちのでかいのが手伝うからな」
俺が少し遠くに居るビッダー機に手を上げると、向こうの手を上げて返してくれた。それを見た子供たちが拳を握っていう。
「かっけえよな! 俺もそのでかいのに乗ってグライアードの奴等と戦いてえよ。町を取り返すんだ!」
「お、威勢がいいな。でも大きくなってからだぞ? 今は親父さんやお母さんの手伝いを頑張るんだ。そしたら部屋が広い家を作ってやる」
「「らじゃー!!」」
子供たちはここまで疲れなど無かったかのようにはしゃぎ回る。そこでシャルがコクピットから顔を出して周囲を確認していた。
「……緩やかな傾斜に手ごろな崖がいくつかあるわね。すぐに攻められない場所を選んでいるのはさすが師匠ってところかしら」
「ああ。地形探索をしたが500メートルくらいのところに洞窟があるみたいだ。浅かったら倉庫やシェルターにできるかもしれない」
<とりあえず陽はまだ高いのでマスターたちは地ならし。町の方や騎士様はキャンプというところでしょうか>
「そうじゃな。ワシはその辺の木を切り倒してくるわい。その後、家を建てられるようにしてくれ」
話が聞こえていたらしいガエイン爺さんが斧を肩に担いでニヤリと笑う。元気な爺さんだぜ。
そこでアウラ様が目を覚ました。
「ふあ……!? い、いつの間にか眠ってました!? こ、ここは!?」
「到着したわよお姉さま。旅はここで終わり……ここがあたし達の拠点になるのよ」
「シャル……そう、ついに到着したのですね」
シートベルトを外してからアウラ様がコクピットから山の風景を見てそう呟く。
そう、旅は終わり。
ここから彼女達の本当の戦いが始まる。抵抗、そして反攻をするための。
……俺はいつか元の世界に戻れるのだろうか? それとも、このままか?
いずれにせよ、俺はできることをやるだけか。そう思いながら二人と同じ景色を見るのだった。
「……」
「そ、そうね……」
<メンタル低下傾向にあると思われます。アウラ様はこのまま気ぜ……睡眠を取ってもらいましょう>
――なんだかんだで行軍は進み、現在九日目となっていた。
丘陵を越えた後はだだっ広い草原になり、林といった程度の場所も通って来た。
商人や冒険者が使う街道があるので道はそれほど悪くない。
だが、人数の多さと魔兵機《ゾルダート》の小回りの利かなさという悪条件が重なり、かなり遅れての到着となっている。
幸いグライアード兵には見つかっていないけど、デッドリーベアとかいう妙にでかい熊や集団で襲ってきたグロースホーネットといった魔物には遭遇していたのも遅れた原因としては大きい。
「疲れた……」
「頑張れシャル、あと一息だ」
「うん……」
熊はヴァイスが追い払えるけど蜂のように空を飛んでいる相手はそうもいかない。
町の人を守るため、騎士やガエイン爺さん、シャルといった戦闘要員が迎撃にあたっていた。そのため、いつも元気なシャルもコクピット内でグロッキーになっているというわけだ。
アウラ様は普通に疲労だと思う。
<村人もいずれ集合するみたいですし、早く到着したいですね>
「だな。一旦腰を落ち着ければみんなも活気を取り戻すだろ」
途中でいくつかあった村にも経緯を説明していて、サクヤの言う通りいずれアウラ様の立ち上げる拠点へ来るとの回答があったそうだ。
まあ、人数が増えると責任も重くなっていくのでアウラ様は知らず心労を受けていたのかもしれない。
「町の人たちも限界が近いから慎重に行くぞ」
<はい>
「まあ、それでもサクヤのメディカルチェックだっけ? あれのおかげで病気の人が悪化せずに済んだのは大きいけどね」
<薬は現地の方々のものなので、私は知識を出しただけですが>
シャルの言うメディカルチェックで熱が上がっている子や馬の体力が落ちているなどといった管理をしていたので早期発見、早期治療を徹底していた。
ちなみに採れる薬草などから成分を分析し、お手製の薬を作るなども。もちろん町民には医者も居たのでその人に調合してもらった。
「お医者さん、驚いていたわよねえ」
「もっと教えてくれって張り切ってたよな」
<落ち着いて素材を持ってきてくれれば分析は可能です。ともかく行きましょう>
「ああ」
正直、この長旅で俺も知らないヴァイスの機能がいくらか明らかになった。メディカルチェックに放熱による外気を吸って暖房にするエアコンのような機能といった生活に必要なものが。
こういう地上で遭難した時のため用らしいが、あったっけかなというのが正直なところだ。タブレットのマニュアルを見ると書いていたので俺が忘れていただけのようだ。
「電子レンジとかも胴体周りに収納されていたのはなんの魔法なんだろうなあ……」
<……>
「あれいいわよね。すぐ温まるし」
現代アイテムを見てはしゃいでいたシャルがそのことを思い出して少し持ち直していた。
そんなことを考えながら見える山へと足を運び――
◆ ◇ ◆
「到着じゃ……!!」
「「「「うおおおおおおおお!!!」」」
ガエイン爺さんが高いところに上って腕組みをしながら完遂したことを町の人達に告げた。男衆は感極まって泣きながら抱き合い、女性は呆れながら笑っていた。
「やったぜ父ちゃん……!!」
「おお、息子よ! よく頑張ったな!」
そんな中、子供たちが耐えたことも称賛に値する。
我儘はいくつかあったけど、町が破壊される惨状を目の当たりにしているせいか年上の子が年下の子をなだめるといったこともあり、概ね余裕があったと言える。
「大きい兄ちゃん、これからどうするんだ?」
「今日からこの辺りが俺達の縄張りになる。家とか建てるぞ」
「おー! あたしお部屋欲しいー!」
「はは、土地はあるから好きに作ればいいさ。俺とあっちのでかいのが手伝うからな」
俺が少し遠くに居るビッダー機に手を上げると、向こうの手を上げて返してくれた。それを見た子供たちが拳を握っていう。
「かっけえよな! 俺もそのでかいのに乗ってグライアードの奴等と戦いてえよ。町を取り返すんだ!」
「お、威勢がいいな。でも大きくなってからだぞ? 今は親父さんやお母さんの手伝いを頑張るんだ。そしたら部屋が広い家を作ってやる」
「「らじゃー!!」」
子供たちはここまで疲れなど無かったかのようにはしゃぎ回る。そこでシャルがコクピットから顔を出して周囲を確認していた。
「……緩やかな傾斜に手ごろな崖がいくつかあるわね。すぐに攻められない場所を選んでいるのはさすが師匠ってところかしら」
「ああ。地形探索をしたが500メートルくらいのところに洞窟があるみたいだ。浅かったら倉庫やシェルターにできるかもしれない」
<とりあえず陽はまだ高いのでマスターたちは地ならし。町の方や騎士様はキャンプというところでしょうか>
「そうじゃな。ワシはその辺の木を切り倒してくるわい。その後、家を建てられるようにしてくれ」
話が聞こえていたらしいガエイン爺さんが斧を肩に担いでニヤリと笑う。元気な爺さんだぜ。
そこでアウラ様が目を覚ました。
「ふあ……!? い、いつの間にか眠ってました!? こ、ここは!?」
「到着したわよお姉さま。旅はここで終わり……ここがあたし達の拠点になるのよ」
「シャル……そう、ついに到着したのですね」
シートベルトを外してからアウラ様がコクピットから山の風景を見てそう呟く。
そう、旅は終わり。
ここから彼女達の本当の戦いが始まる。抵抗、そして反攻をするための。
……俺はいつか元の世界に戻れるのだろうか? それとも、このままか?
いずれにせよ、俺はできることをやるだけか。そう思いながら二人と同じ景色を見るのだった。
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