俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~

八神 凪

文字の大きさ
75 / 81

その75 終結するために集結を

しおりを挟む

 「スミタカか……直っておるぞ」

 急ぎドワーフの集落に到着した俺達は柴犬精霊に案内されて工房へと向かうと、真っ白に燃え尽きたグランガスさんが椅子に座り、神具の杖を差し出してきた。

 「大変な作業だったんだな……」
 「いや、ちょっと足が滑って転んだ表紙に炉の火が袖に移ってな、いい感じで燃えただけだ」
 「それはそれで大変だったと思うんですけど……」
 「みゃー」

 キサラギが呆れたような声を出してグランガスさんの足に前足を置いたのを見て、成長なと俺は嬉しく思う。

 「それじゃスミタカはこれを湖の精霊に渡しに行くの?」
 「いや、これはベゼルさんにお願いしよう。グランガスさん、全種族と人間に対抗するため会合をするからついて来てくれ」
 「そうか、悠長にしている暇がないと思っていたからワシからも進言するつもりだった。承知した、リュッカ達もか?」
 「ああ。この後にオーガ村へも行く」
 <策は考えているが、物量で来られたら厳しいぞ? ドワーフもそれなりに数は多いし、万が一押し切られたら俺だけでは対処できん>
 「そこは同意見だ、他の種族ができることを確認したいし、とりあえず行こう。ベゼルさん、ディーネにこれを持って言ってくれ」
 「分かった。私もすぐに追いかけるから、最長老たちを頼む」

 真剣な顔で言うベゼルさんに頷くと、すぐに踵を返して湖へと向かう。ミネッタさんの話を聞き、人間の襲来に対して緊張しているのだろう、腕に血管が浮かぶほど力が入っているのが見て取れた。

 「それじゃシュネ、柴犬精霊、巨木に行こう。親父達の無念を晴らさないと」
 「ボクも行きますよ、夫婦は一蓮托生ですもんね!」
 「まだ結婚してないからな? ……ネーラ達も行くつもりか?」
 「もちろんよ、だって私達の問題だし、スミタカ達にだけ任せるわけにはいかないわ。それに――」

 ネーラは素早く弓を構えて矢を放つと、食料にもなる鳥を射落としていた。

 「戦力としてはそこそこ使えるわよ?」
 「まあ、捕まってもあんなことやこんなことをされるくらいでしょうし、女は大丈夫ですよ。できれば初めてはスミタカさんに貰って欲しいですが?」
 「こんなところでそんな話はやめろ!? くそ、どうなっても知らないからな……! いくぞ!」
 <待て>
 「うおお!?」

 歩き出そうとしたところで、柴犬精霊が前足で俺の肩を抑えてきてバランスを崩す。

 「なんだよ!?」
 <その、柴犬精霊と呼ぶのはやめてくれないか? 俺は一応、精霊でお犬様と言われているのだが>
 「ああ、そうなのか。すまない、それじゃシュネ、お犬様、行こうか」
 <……待て>
 「ぬあ!?」

 踵を返して歩き出そうとしたところで、また肩に前足を置かれ、どっかの国民的ゲームの父親みたいな声が出てしまった。

 「もう、なんだよ。早くいくぞ」
 <うむ、こやつに名前があって俺に無いのは不公平だと思わないか? 同じ精霊なのに>
 「え? なんだ、名前が欲しいのか?」
 「お犬様可愛いですね! ほらほら~♪」
 <わふん……こ、こら、やめろ人間の娘……!? そうじゃない、不公平だと言っているのだ>
 「同じことだと思うけどなあ……なら名前考えるか……」
 「あ、それじゃボクつけていいですか! お犬様を見た時から考えていたんですよ!」

 真弓が首を撫でながら歓喜の声でそんなことを言い出したので、俺は一応聞いてみることにする。

 「どんな名前だ?」
 「ポチです!」
 「却下だ」
 <悪くないのではないか?>
 <ふふ、あなたは知らないでしょうけど――>

 と、シュネが説明し、大きく首と尻尾を垂れるお犬様に、真弓は『冗談ですよ』と笑いながら撫でまわし、機嫌を取った後にもう一度名前を言う。

 「お犬様の名前は……‟ヤマト”これでどうですか!」
 <ヤマト……なにか意味があるのか?>
 「ああ、俺達が住んでいる国の古い呼び名だな。他には戦艦とかにつけられていたりするからカッコいい。あ、戦艦ってのは武装した船な」
 <創世記の国の名か、それに戦艦も雄々しい感じがする。気に入った! 今日から俺はヤマトだ。さあ、乗れ一瞬で駆けつけてやる>
 「よし、それじゃ出発だ!」

 今度こそ俺達は会合場所へと向かうのだった――

 ◆ ◇ ◆

 「スティーブさん、依頼主はなんと?」
 「まあ、相変わらずですねえ。亜人……というかエルフを連れてこいとのたまわっていますよ」
 「そうですか……まあ、確かにお金にはなりますが……」
 「とりあえず、アレについては私が何とかします。例のものは?」
 「ああ、一応用意できたがあれを島に持っていくのか? 大丈夫なのかよ」

 商人風の男が身震いをしながらスティーブへと声をかけると、手を前に突き出してからニヤリと笑う。

 「なんの問題もありませんね、むしろ手土産としては完璧でしょう? とりあえずあの結界を取り払わねばこちらの計画にも支障がでます。早く動くことが肝要なのですよ」
 「まあ、こっちは金さえ貰えればなんでもいいですがね」

 商人風の男はそう言って笑うと部屋から出て行き、気配が消えた後スティーブは椅子から立ち上がりって窓の外を見ながらひとり呟く。

 「……さて、そろそろ島の住人に顔合わせをしないといけませんね。準備は完全に整いました、本当の依頼者に報いるとしますか」
しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...