最強の滅竜士(ドラゴンバスター)と呼ばれた俺、チビドラゴンを拾って生活が一変する

八神 凪

文字の大きさ
90 / 116

その90 一般人VSドラゴン

しおりを挟む
「寝ている相手なんてラッキーだぜ……」

 ヒュージは剣を抜くと寝ているドラゴンの方へゆっくりと近づいていく。
 首を獲ればドラゴンだとしても絶命する。そして自分の持つ剣はドラゴンを倒したことがあるため倒せることに自信があった。

「俺が見たヤツよりも小さいな。へへ、こりゃ美味しいな……!」

 呼吸をするたび体が動くドラゴン。薄緑色をした鱗と、羽についている鋭い爪は近づくに連れてその存在を確固たるものにしていく。
 しかし、ヒュージが以前倒した個体よりも小さく、細いと感じていた。

「前のは羽が生えていなかったからな。それでもかなり強かったが……」

 小声でそんなことを口にしながら剣を握る手に力を込める。両手持ちなら確実に首を落とせる。

「悪いが死んでくれ……!」

 ヒュージが笑みを浮かべて剣を振った。その瞬間、嫌な気配を感じてその場から飛びのいた。

「うお……!?」

 先ほどまでヒュージが立っていた場所にドラゴンの尻尾があった。先端は尖っており、剣を振り下ろしていたら首に刺さっていた。

【グルルルル……】
「野郎……」

 ドラゴンはゆっくり目を開けてヒュージを確認する。いつから気づいていたのか? 彼は「誘いこまれた」と気づき苛立ちを覚えた。

「ぜってぇ殺す……!」
【……グォァァァァァ!】
「くっ……!?」

 激高して怒鳴りつけたヒュージに対し、ドラゴンはまるで昼寝を邪魔したのはそっちだと言わんばかりの咆哮を上げた。
 ヒュージはその声に一瞬怯むも、勇敢に立ち向かう。

「うおおおお!」
【グガァァァ!!】

 ドラゴンも立ち上がり戦闘体勢となった。腕はなく、翼と足のみの個体である。
 ヒュージの剣はまっすぐ、狙いをつけた頭に振り下ろされた。

【グオァ!】
「チィ……!」

 フラメやアースドラゴンのように的が大きくないためするりと剣を回避された。しかしヒュージは一撃では終わらず、そのまま踏み込んで下から切り上げた。

「……! 手ごたえあり! ……うお!?」

 羽と胴体の付け根を切り裂き赤い血がしたたり落ちる。攻撃が通ったことに笑みを浮かべた彼に、ドラゴンが少し浮いて前足で蹴りを繰り出した。
 咄嗟に剣でガードをしながら、ヒュージはバックジャンプで威力を殺す。
 それでも衝撃はかなりのもので木に激突してようやく止まった。

「げほ……!? やるじゃねえか……!」
【グルォォォ!】
「そいつは前のやつで見たぜ!」

 ドラゴンは木を背にしたヒュージに向けて口を開けると、喉の奥から炎が吐き出された。
 ヒュージはすぐに身をかわして側面からドラゴンの首を狙う。

【!】
「うらァァァ!」

 すぐに首を曲げられないドラゴンが気づいた時にはすでに剣が首に触れていた。
 
 しかし――

「硬……い!?」

 ――鱗の表面に食い込んだが切り落とすことはできなかった。

「力を込めて……! ぐあ!?」
【グギャァァァ!】

 驚愕するヒュージのことなどお構いなしにドラゴンが暴れ出した。
 その場で尻もちをついたその時、ドラゴンの前足がヒュージの胴体を掴む。
 すぐに力を入れられ、メキメキと上半身が嫌な音を立てた。

「がぁぁぁ!? ……くそがぁぁぁ!」
【ぐぎゃ!?】
「く、ううう……」

 持っていた剣で足の付け根を刺して拘束から逃れる。ダメージは大きく、ヒュージはその場で嘔吐をした。

「ダメージを取っていけば……!」

 予想以上に抵抗をみせると悪態をつきながらドラゴンへの攻撃を再び開始。
 足を負傷したドラゴンは動きが鈍くなり、一撃は軽いもののいつもの動きができるようになってきた。

「よし……!!」
【グゥゥゥ……】

 だが、次の瞬間ドラゴンは羽を大きく動かして突風を起こした。
 怯むヒュージの前で、ドラゴンは空へと舞い上がっていく。

「飛んだ……! だけど用意はしているんだ!」

 空を飛んでいたと聞いていたので弓矢の用意は当然している。剣を収めて弓矢取り出してから矢を放つ。

【ゴォァァァァ!】
「まずい……!? うあああ!?」

 もちろんドラゴンには分かっていたらしく、炎を吐いて矢ごとヒュージを燃やしにきた。
 矢は燃え尽き、放ったヒュージも左半身にやけどを負った。

「ぐ、……ポーション……を」

 傷口にポーションをふりかけると、傷口にぶくぶくと泡が発生して腕のやけどが治まっていった。少し高い位置にいるドラゴンに瓶を投げつけてさらに挑発をする。

「降りてきやがれ!!」
【グゴォァァァ!】

 ヒュージは移動しながら矢を放つが、剣の通る高さに降りてくることはなかった。賢い生き物なため空に居ると有利が取れると判断したようである。

「チッ……空を飛ばれると流石に無理か……」

 木の間に隠れながら様子を伺い、チャンスを待つ。まだ慌てるほどじゃないと息を整えていた。
 大口をたたくだけあり、一歩も引かず戦っているがラッヘと違い経験の差が浮き出ている形になった。

【……】
「探しているのか? ……おい、こっちだ!」

 ヒュージが剣を再び抜いて石を投げつける。
 その行動に、ドラゴンは激高して炎を吐いて攻撃を仕掛けて来た。だがヒュージは隠れながら挑発を続ける。

「どうした? 当たらないぜ! ……!」
【グオォォォ……!】

 そこでドラゴンは自らの手で引き裂こうと急降下を始める。ヒュージはここぞとばかりに狙いを定めて剣を振った。

「うりゃぁぁぁぁ!」
【ギャオォォォン!】

 互いの攻撃が交錯した。
 ヒュージの剣は鱗を裂いたが刃が欠けた。一方のドラゴンは彼の鎧をひしゃげさせる。

「うごぁ……!?」
【ギィエァァァ……】

 ドラゴン素材の鎧の上からなのに強い衝撃をうけて顔が歪む。もし違う鎧であれば胸が抉られていたかもしれない。

「こ、こいつは強ぇ……! 地上ならやれそうだが――」

 直後、ヒュージはそのあたりの茂みに身を潜めてやり過ごすことにした。これは自分だけの手では負えない、と。

【……】

 やがてドラゴンは空を旋回した後どこかへ飛んでいき、ことなきを得ることができた。

「……逃がしちまったが、まあ大丈夫だろ。空の対抗策を考えねえと――」

 ヒュージは踵を返して町へと向かう。
 引き際を間違えなかったヒュージは賢かったといえる。だが、ドラゴンもまた賢いのだ――
しおりを挟む
感想 217

あなたにおすすめの小説

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...