The Three copper coin's Tawdry Tales 「異邦人の書」

まるこめX

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混血の放浪者 6-5 完

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地平線に陽が差し始める。昇った太陽は、その緑の大地の美しさを湛え、鮮やかに照らした。
放浪者は一人、身支度を済ませ村の入り口に立っていた。

まだ人々は寝静まって居る時刻、遠くの空はまだ夜の静けさを湛えていた。

「美しいな……この村の景色がこんなに綺麗だったとはな」

「そうだね、おじさん……ぼくこんな綺麗な景色を見るのはじめてだ」

放浪者は驚き振り向いた。そこには少年が立っていたのだ、その眼差しから、引き留めに来た様子ではない事は想像できた。

「……ダヤン、起きて居たのか」

「おじさん、旅に出るんだよね。忘れ物だよ、はい……これ」

それは、決戦の地で放浪者が脱ぎ捨てたマントであった。放浪者は少年からそれを受け取り。不思議そうに尋ねたのであった。

「これは……。どこで、これを」

「今朝ナジカ様に会いに行ったんだ、祠にね……そしたら、それが風に乗って飛んできたんだ。きっと、ナジカ様が忘れ物を見つけてくれたんだよ。おじさんにとって大事なものでしょう?」

「あぁ、そうだ……。そうか、ありがとう」

放浪者はマントを羽織り、フードを被った。この村から一歩出れば、ハーフオークとしての因縁はついて回る。それは変わらぬ事なのだ。

ただ変わった事と言えば、放浪者にとって。ハーフオークとして分け隔てなく接してくれる場所が出来た事であった。それは放浪者にとってこの上なく喜ばしい事であり、何よりも得難いものであった。

ダヤンは何か言いたげに口を動かしたが、言い出せずに居た……。放浪者は静かにそれを待ち、少年が投げかけるのを待った。

「おじさん、あのねッ……ぼく、いつか旅に出る!ぼくは、まだ弱いけど……きっといつかおじさんの隣に立てるようにがんばるから……父さんのように、強い男にぼくはなるから……」

「……」

ダヤンは震える口で必死に紡いだ、その決意表明に放浪者は静かに聞いていた。
涙を堪えるのに必死で、やはり引き留めたいと思って居る自分が居るのだろう。だが少年はそれでも語りきったのだ。

「その時は……おじさんの仲間に!ぼくを仲間にしてください!」

少年は笑顔で言い放った。その声は澄んだ空より青く、それでいて清らかだった。
放浪者はその成長に驚いていたのだ、そして困惑もした……だが、だからこそ、応える事にしたのだ。

「……カホールだ」

「……えッ?」

「おれの名前はカホールだ。仲間なら、名前を知っておいて貰わねばなるまい」

放浪者は、少年の肩に手を置いた。その眼差しを向け、意志を込めて頷いた。少年はその意志に笑顔で答え、大きく頷いたのだった。

放浪者は村の門をくぐる、ひるがえったマントの靡きは、風を後ろに送り、少年を撫でた風は、その髪を揺らした。
地平線へ向け歩む放浪者の後ろ姿に、少年は手を振り叫んだ。

「おじさーんッ!!」

その声が届くかは分からない、だが少年は、めいいっぱい叫んだのだった。その声は遠く、疾く遠く。

放浪者の背中を後押ししていた。その旅に希望を添えて。

「カホール!!いつかまた……!!!!」

遠く、その地平線と一つになるまで、少年はその背を見送った。

その天に、陽の光を。

地平線に、剣を携え。

放浪者は、新たな旅路を往く。

― 混血の放浪者 完 ー
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感想 2

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みんなの感想(2件)

人の心無いんか?

お疲れ様よー。まるこめ。
見事に駆け抜けましたな!
内容については・・・下手に書くとネタバレになるなww
次回作?新章?もよろしく!
まだ温めてるものあるでしょ?
この勢いで突っ走りましょう!
だからよ・・・止まるんじゃねぇぞ・・・

解除
人の心無いんか?

忌み嫌われるハーフオークの男が荒れ果てた大地で助けたのは一人の少年だった。
その運命的な出会いで導かれたのは死にゆく森林村。
徐々に色褪せてゆく村で起きる事件とは!?
まるこめXが”僕とは違い”多彩な風景描写で描くは、ダークな純ファンタジー。
この先の展開は乞うご期待!
完走しろよ!まるこめ~。

2024.03.20 まるこめX

ありがとうございます、初めての執筆なので至らぬ点やお目汚しもあるかと思いますが、何卒温かく見守って下されば幸いです。

解除

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