2 / 9
日常
しおりを挟む
「―――――― !」
目を開けると、自分の家の天井が見える。天井をにらみながら荒い呼吸を整える。
そして、落ち着いたころ体を起こし、顔の冷や汗を拭う。
「・・・すっごい夢を見たな・・・」
少年こと優馬は独り言のようにつぶやく。近くの机の上に置いてある置時計を見ると、六時前だった。普段より一時間も早く起きてしまった。
優馬はベッドから降りて机の上にある一冊のノートを開く。ノートには、夢に出てきた出来事を綴ったノートである。
優馬は夢の出来事を良く覚えている。たまにノートに書いた夢が現実になることがある。
優馬のノートは、日付と夢内容で一ページに細かく書かれている。
優馬は夢を見た日には夢の出来事を書くようにしている。根拠はないが、夢のことをノートに書いて整理したいのだろう。
優馬は今日見た夢の出来事を書き終えて、一階のダイニングに降りる。
「・・おはよう」
「おはよう。今日は早いじゃない。学校でなんかあるの?」
ダイニングに入ると弁当と朝食の準備をしていた母がいた。
「別に、夢見が悪くて早く目がさめちゃったよ」
椅子に座って机の上に置いてあるテレビのリモコンを持ってテレビをつける。
テレビからは笑顔に振る舞う女性の天気キャスト。
『今日は全国的に晴れ!絶好の洗濯日和になるでしょう!』
そう聞いて、優馬は外の様子を見る。カーテンから光が差し込んでいる。雀の囀り、車の走る音が聞こえてくる。所々、蝉の鳴き声が聞こえてくる。夏休みまであと二日だ。
外の様子を見ていると、目の前にサラダとトーストと目玉焼きと牛乳を母が用意してくれた。
お箸を持って
「いただきます」
いつもとかわらない生活。
食べ終わると、自分の部屋に戻って学校に行く支度をする。
時間に余裕をもって、家に出た。
「あれ?優くん今日早いじゃない!今日ってなんかあった?」
「母さんと同じこというな。今日はたまたまだ、ちょっと夢見が悪くて目が覚めただけだ」
優馬の母と同様な反応を見せたのは幼馴染の九条ひかる。焦げ茶色の長髪に赤のカチューシャがよく似合う。ひかるとは家が隣同士で学校が同じということもあり、一緒に登校をしている。
いつもひかるは優馬が来るのを待っていた。
「ね、どんな夢を見たの?」
興味津々に再び問いだすひかるに、優馬は横目でちらっとひかるを見る。夏ということもあり肌の露出が多い。ひかるの開襟シャツから胸元が見え、顔が沸騰したように熱くなり
とっさに目を逸らした。
「あー。俺と見知らない女の子がいてさ、どこかの建物の屋上の外側に立っていて。なんか話しながら、いきなり建物から飛び降りたんだ。」
「へぇー、なんか怖いね」
「ちょっと怖かった。起きた時冷や汗出たよ」
「いつもは、ドラゴンと戦っている夢とか、悪者を捕まえる夢とか見ているもんね。」
「そうだな。てか、なんで俺の見ている夢を覚えているんだよ」
「優くんの見ている夢は、ハラハラして面白いんだもん。忘れられないよ」
ひかるは無垢な笑みを見せる。優馬は照れたように顔を赤くして逸らし、早歩きで先を歩く。後ろから待ってよと言うひかるの声が聞こえる。
優馬はひかるのことが好きだ。幼馴染として。
優馬とひかるは、家が隣同士ということもあり、家族ぐるみの付き合いで幼稚園のとき、よく遊んだ。小学校ときはいっしょに宿題をしたり、夏休みの自由研究を二人で作って、発表をした。中学のときは、受験で進路に悩んだときは相談に乗ったり、励ましあった。
そして、一緒の高校に入学することができた。
というのも、ひかるは、中学の時は常に上位の成績を取っていた。先生からも偏差値の高い高校を推薦で行けれるんじゃないかって言われたみたいだ。
なのに、それを断って、優馬が受験しようとしていた、隣町の高校を一緒に受験した。
優馬はなんで「俺と同じところを受けようと思ったんだ」と思っていた。まだ聞けずにいる。
高校の校舎が見えてきた。正門を通って靴箱にはたくさんの生徒がそれぞれ教室に向かっている。優馬は上履きに履き替えるころに、息を切らしたながら詰め寄るひかる。
「優くん、歩くの早いよー」
「わ、わりぃ・・・・」
今にも疲れで崩れそうなひかるに、申し訳さそうにあやまる。
「わたしを置いてくなんてひどいよ」
「だから、わりぃって」
上目使いで睨む。そのやり方は反則だと心の中でつぶやき、何かが折れて
「今度、昼飯おごってやるよ」
優馬が交じりに言うと、光は満面の笑みで
「ありがとう。それじゃ、またね」
「うん」
光は2年C組。優馬は2年A組でクラスは別々である。
ひかりは手を振って教室へと向かった。
優馬は手を振りかえして見送る
自分の教室に向かおうとした時に、いきなり後ろから飛びかかってきた。
「おっはよう!優馬」
「孝司うるさい、あと重い」
優馬に飛びかかったのは、同じクラスの山根孝司。体育の時にたまたま余り者同士で組まされただけで、特に仲がいいわけではない。なのに、
「めっちゃねみーんだよー。このまま教室まで運んでよ。優馬」
「眠いという割にはテンション高いじゃん。あと、俺の話しを聞け」
優馬より五センチくらい高い孝司は、広原の肩に腕を回しまま動こうとしない。
仕方なく、優馬はそのままの状態で教室に向かった。
これが広原優馬の日常生活。
ひかると登校して
孝司にからまれる。
いっけん、どこにでもある平和で高校生活を謳歌しているようにみえるが、優馬にとってこれがつまらなかった。夢の世界は現実のない刺激があり、自分が主人公になれた気持ちになる。それに比べれば現在は、何の面白いこともなく、刺激がない日々に飽きてきた。夢のような刺激がほしかった。
今でもそう思ってる。
目を開けると、自分の家の天井が見える。天井をにらみながら荒い呼吸を整える。
そして、落ち着いたころ体を起こし、顔の冷や汗を拭う。
「・・・すっごい夢を見たな・・・」
少年こと優馬は独り言のようにつぶやく。近くの机の上に置いてある置時計を見ると、六時前だった。普段より一時間も早く起きてしまった。
優馬はベッドから降りて机の上にある一冊のノートを開く。ノートには、夢に出てきた出来事を綴ったノートである。
優馬は夢の出来事を良く覚えている。たまにノートに書いた夢が現実になることがある。
優馬のノートは、日付と夢内容で一ページに細かく書かれている。
優馬は夢を見た日には夢の出来事を書くようにしている。根拠はないが、夢のことをノートに書いて整理したいのだろう。
優馬は今日見た夢の出来事を書き終えて、一階のダイニングに降りる。
「・・おはよう」
「おはよう。今日は早いじゃない。学校でなんかあるの?」
ダイニングに入ると弁当と朝食の準備をしていた母がいた。
「別に、夢見が悪くて早く目がさめちゃったよ」
椅子に座って机の上に置いてあるテレビのリモコンを持ってテレビをつける。
テレビからは笑顔に振る舞う女性の天気キャスト。
『今日は全国的に晴れ!絶好の洗濯日和になるでしょう!』
そう聞いて、優馬は外の様子を見る。カーテンから光が差し込んでいる。雀の囀り、車の走る音が聞こえてくる。所々、蝉の鳴き声が聞こえてくる。夏休みまであと二日だ。
外の様子を見ていると、目の前にサラダとトーストと目玉焼きと牛乳を母が用意してくれた。
お箸を持って
「いただきます」
いつもとかわらない生活。
食べ終わると、自分の部屋に戻って学校に行く支度をする。
時間に余裕をもって、家に出た。
「あれ?優くん今日早いじゃない!今日ってなんかあった?」
「母さんと同じこというな。今日はたまたまだ、ちょっと夢見が悪くて目が覚めただけだ」
優馬の母と同様な反応を見せたのは幼馴染の九条ひかる。焦げ茶色の長髪に赤のカチューシャがよく似合う。ひかるとは家が隣同士で学校が同じということもあり、一緒に登校をしている。
いつもひかるは優馬が来るのを待っていた。
「ね、どんな夢を見たの?」
興味津々に再び問いだすひかるに、優馬は横目でちらっとひかるを見る。夏ということもあり肌の露出が多い。ひかるの開襟シャツから胸元が見え、顔が沸騰したように熱くなり
とっさに目を逸らした。
「あー。俺と見知らない女の子がいてさ、どこかの建物の屋上の外側に立っていて。なんか話しながら、いきなり建物から飛び降りたんだ。」
「へぇー、なんか怖いね」
「ちょっと怖かった。起きた時冷や汗出たよ」
「いつもは、ドラゴンと戦っている夢とか、悪者を捕まえる夢とか見ているもんね。」
「そうだな。てか、なんで俺の見ている夢を覚えているんだよ」
「優くんの見ている夢は、ハラハラして面白いんだもん。忘れられないよ」
ひかるは無垢な笑みを見せる。優馬は照れたように顔を赤くして逸らし、早歩きで先を歩く。後ろから待ってよと言うひかるの声が聞こえる。
優馬はひかるのことが好きだ。幼馴染として。
優馬とひかるは、家が隣同士ということもあり、家族ぐるみの付き合いで幼稚園のとき、よく遊んだ。小学校ときはいっしょに宿題をしたり、夏休みの自由研究を二人で作って、発表をした。中学のときは、受験で進路に悩んだときは相談に乗ったり、励ましあった。
そして、一緒の高校に入学することができた。
というのも、ひかるは、中学の時は常に上位の成績を取っていた。先生からも偏差値の高い高校を推薦で行けれるんじゃないかって言われたみたいだ。
なのに、それを断って、優馬が受験しようとしていた、隣町の高校を一緒に受験した。
優馬はなんで「俺と同じところを受けようと思ったんだ」と思っていた。まだ聞けずにいる。
高校の校舎が見えてきた。正門を通って靴箱にはたくさんの生徒がそれぞれ教室に向かっている。優馬は上履きに履き替えるころに、息を切らしたながら詰め寄るひかる。
「優くん、歩くの早いよー」
「わ、わりぃ・・・・」
今にも疲れで崩れそうなひかるに、申し訳さそうにあやまる。
「わたしを置いてくなんてひどいよ」
「だから、わりぃって」
上目使いで睨む。そのやり方は反則だと心の中でつぶやき、何かが折れて
「今度、昼飯おごってやるよ」
優馬が交じりに言うと、光は満面の笑みで
「ありがとう。それじゃ、またね」
「うん」
光は2年C組。優馬は2年A組でクラスは別々である。
ひかりは手を振って教室へと向かった。
優馬は手を振りかえして見送る
自分の教室に向かおうとした時に、いきなり後ろから飛びかかってきた。
「おっはよう!優馬」
「孝司うるさい、あと重い」
優馬に飛びかかったのは、同じクラスの山根孝司。体育の時にたまたま余り者同士で組まされただけで、特に仲がいいわけではない。なのに、
「めっちゃねみーんだよー。このまま教室まで運んでよ。優馬」
「眠いという割にはテンション高いじゃん。あと、俺の話しを聞け」
優馬より五センチくらい高い孝司は、広原の肩に腕を回しまま動こうとしない。
仕方なく、優馬はそのままの状態で教室に向かった。
これが広原優馬の日常生活。
ひかると登校して
孝司にからまれる。
いっけん、どこにでもある平和で高校生活を謳歌しているようにみえるが、優馬にとってこれがつまらなかった。夢の世界は現実のない刺激があり、自分が主人公になれた気持ちになる。それに比べれば現在は、何の面白いこともなく、刺激がない日々に飽きてきた。夢のような刺激がほしかった。
今でもそう思ってる。
0
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる