お隣どうしの桜と海

八月灯香

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あっという間に年末

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去年はインフルエンザにかかってしまい、年末年始の年を跨ぐ不思議な感覚を味わえなかったから、今年は手洗いうがい徹底して電車でヤバそうなのがいるのを警戒してマスクも持ち歩いた。

そのおかげもあってか今年は軽い風邪も引く事なく年の瀬を迎えることができた。


「去年は本当に最悪な年越しだったから今年は存分に楽しんでやる」


そう、去年は家族とお隣に看護されて年末年始は終わった。
なので2年分俺は年を越すという意気込みだ。


母さんが年越しそばを作ってくれたのをお隣と一緒に啜っている。
菜奈ちゃんが海老を揚げてきてくれたから蕎麦に海老が乗ってて豪華で更に美味しい。

「は~~~超美味しい、これが無いと年末って気がしない。」

「海君去年は食べれなかったもんねぇ。」

大人達はこの後酒飲んで年越すってウキウキしてる。
大人達は晩酌タイムになると本当にいつもみんな笑顔になってるな。

「ほいじゃ、去年はおせわになりました、今年もよろしくお願いします。おやすみー」

12時を越したのでそう言うとグンナーおじさんから投げキッスが来たので返して部屋に戻った。

暫くして、桜が桜の部屋から俺の部屋に入って来たけど明日一緒に出掛けるからお休みのチューだけして自分の部屋に戻って行った。

なんかちょっと寂しくなって桜の部屋に行ったら、俺が部屋に来たことが嬉しかったのか何回もチューしてきた。


桜の隣で今年もこうやってしてたい。
これからもずっとこうしてられたらいいな。




今年は近場の寺じゃなくて二人で電車乗ってデカい寺に来た。
観光地としても人気の場所だからインバウンドが凄くて来てる半数以上が海外の人なんじゃないかと思える。
人が多すぎて桜も目立たない。
着物の女の子もいっぱいいるなー、寒いけど賑やかでテンションあがる。

駅から寺に向かう途中、人力車の客引きにも声をかけられた、乗ったことないからいつか乗りたい。

「うおー、凄い人」

寺に近づくとより人口密度が更に増す。
警備の人が人の流れが止まらないように誘導してる。
年始からご苦労様です…

毎年テレビでもこの人混みを中継してる大きな寺。

俺が何十人も入れそうなでっかい提灯が門の所にぶら下がってて、みんなそこで写真撮ってるから桜と一緒に撮って家族に送った。

本殿まで続く道の両脇に店がギッチリ建ち並んでるし、出店もいっぱいあるからウロウロするだけでも楽しい。

線香立てるでっかい香炉では沢山の人が頭に煙をかけてるからついでに俺もかけた。
ちょっとでも頭よくならねーかな。
桜は頭もういいからいらないけどなんか流れ的にかけといた。

スマホで後で調べたら身を清める為にやるんだな、アレ。

本殿までの道は人の行列で詰まっているようにみえたけど、ど真ん中で参拝するのにこだわらなかったからなのか、朝早くにきたのもあって昼前迄には済ませる事ができた。

おみくじ引いたら大吉だった。
大吉なのに失せ物は出る、旅はやめておけ、商売は欲を出すなときた……これ本当に大吉!?

ただ待ち人の所に「今の人を大切にせよ」ってあったからそれは信じようと思った。


人が多すぎて時々俺が流されて何度もはぐれそうになってしまった。
その度に桜が捕まえてくれたけど、あんまりに何度もはぐれそうになるから最終的には服の何処か掴んでてって言われてしまった。

「桜、人形焼買っていい?」

ペットボトルのお茶買って、こし餡の人形焼買ったり、団子買ったりして分けながら食べ歩いた。
桜と二人だといろんなの食べれていいな。

「あ!海君!おーい!」

海苔巻いた焼き立ての手焼き煎餅齧ったところで後ろから聞き馴染んだ声がした。

「お、矢作、あけましておめでと。」

振り返ると学校での俺の冬の暖房器具こと矢作だった。

「え!?海君!?」

矢作の隣にいた女の子が声をあげる。
おお、生えなちゃん!?
新年初デートか。

厚底のスニーカー履いてるけど、矢作よりちょっと背が低い。

「めちゃくちゃ偶然だなー。
あけましておめでとう。
ソールバルグさんもあけましておめでとうございます。

こちら僕の彼女の橋本えなちゃん。」

えなちゃん、俺の顔ガン見してんな。
両手を口元に当てながら目をキラキラさせてる…
さては脳内で腐女子爆発させてるだろ…

「え?え?え?海君本物!?
わー!ヤバいね!海君!写真より可愛い…初めまして…!!!
いつも奨真君から海君の写真みせてもらってて!!
何これお年玉貰った気分すぎる…!!
あっ…海君あのね、あの、私奨真君に怒られちゃって、あの事ずっと謝りたくて…!!」

えなちゃんが両手の指で空中に何かのシルエットを描いた。

矢作に怒られ…………?
あの事…………?なに?あ…パンツ?パン……紐パン………

俺は一瞬で顔が熱くなった。

「海君ごめんね、えなちゃん本当反省してるから…」

「い…いい………」

かろうじて首を横に振った。

「海君耳まで赤くなってるの最高に可愛い…」

えなちゃんやめて…ウブだから紐パン思い出して赤くなってるわけじゃない。

隣にいるのと結果俺もノリノリで使った事を思い出してしまって居た堪れなくなってんの…。

「ねぇねぇ、奨真君…海君のお隣のファンタジーキャラはどなた?」

ボソボソとえなちゃんが矢作に聞いた。

えなちゃんの興味は桜に移っている。
よし、いいぞ、このまま俺から意識逸れろ!
俺はなんとか深呼吸して顔の熱を冷まそうと試みた。

「海君の隣の家に住んでて、海君の幼馴染のシグルド・ソールバルグ・桜さん。」

「海君の幼馴染…え…奨真君三角関係…こんな美形…これは奨真君勝てない…」

えなちゃんが頭の中で妄想を展開させ始めている…
体格差がとか奨真君寝取られとかなんとかボソボソ言ってる…

「海君には王子様がもういたんだぁ…奨真君には私がいるから落ち込まないでね…」

「いやえなちゃんほんと違うから。
ずーーーーっと言ってるけど、僕と海君はできてないから。
僕は君と付き合ってる筈だから。」

矢作が桜見てびっくりした顔してるからなんだと思って振り返ったらちょっと笑顔になってる。
え!?何処でそんな…?
矢作も桜の笑顔はあんまり見たこと無いとか言ってたもんな…

「奨真君やばい!マジの王子様!」

えなちゃんが矢作掴んでゆさぶってる。

そいで本当にお前女の子いる所だと全然喋らなくなるのな…

俺の同級生だろうがなんだろうが、桜はこういう女子がいる場面にでくわすと、不機嫌にはならないけどまぁ喋らない。
喋りかけられても日本語わからないふりしてたりする。
相手の気を引かないようにだと思うんだけど無になってるから女の子達も話しかけたくても空気の読める子ならアタックしない。

今年もよろしくって解散して、桜は上機嫌だった。

「海の王子様だって。」

年始早々桜の機嫌が良くてよかったけど、改めて言われると恥ずかしさが湧き起こってくる。

「…やめて………」


新年明けて初詣に行って神聖な気持ちになったのに帰って家族が寝静まってから姫始めしよって言われて速攻でスケベをキメてしまった…。

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