お隣どうしの桜と海

八月灯香

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お隣同士の海と桜 ふうふ編

青池さんと。

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青池さんとは月に2回くらい、多くて3回とか会う様になった。

外で会うと青池さんは畏まった高そうな服じゃなくて、シンプルなトップスに普通のデニムとか砕けた服装で来てくれる。

俺にあわせてくれてるんだなっていうのがわかる。

「ファッションって着る服で体型とかの見た目って変わるの面白いよね。
もともと服すごい好きなんだ。」

海君これ似合うと思って持って来ちゃった。
ってお下がりをくれたりもする。

青池さんは裏表が無くて素直に好感が持てた。


グンナーおじさんの作品はストールとかネクタイ、バッグの生地の織物のパターンに使われたりするみたいで製品できたらサンプルくれるって神山さんが言ってたから楽しみだなと思った。

ただ神山さんに会うと相変わらず緊張してしまう。
大きな人だからっていうんじゃなくて、視線が鋭い感じがするんだよな。
だから打ち合わせでもグンナーおじさんと桜に呼ばれない限りは行かない。

「あの人猛獣みたいな空気出すよね。」

最初クリスが家でラフなスウェット着てるの見た時そんなのも着るんだっておったまげたって青池さんが笑った。

青池さんは高級店じゃなくて、敷居が低くて美味しい居酒屋とかをいっぱい知ってて「クリス連れて来てもいいんだけど、声かけられたりはしないけど、どこ行っても目立ちすぎるんだよ。
たまにはこういう店で友達と飲みたいんだよなー」ってよく言ってる。

そして俺と青池さんが飲んで解散する頃に桜と時々、神山さんが青池さんを迎えにくる。

過保護さ加減は桜の方が上だな。

「二人で飲んでフラついてたら絶対やばいのが近づいて来るから。」

だってよ、心配しすぎかなと思うけど青池さんは美人だし確実にターゲットなりそう。

七時半に店で待ち合わせて、今日は青池さんの友達が一人来るって言ってた。

「下村宏也っつってゲイ友達なんだ、クリスより付き合い長くて仲良いから紹介させて。」

って言ってたらすぐに一人シュッとした感じの人が入って来た。

「待たせちゃった?ごめんね~!」

と言って青池さんの隣におさまった。
明るそうな人だ。

青池さんと下村さんは二人揃ってビール、俺はハイボールを注文した。
ビール飲めなくは無いんだけど一口目の後がちょっと苦手なんだよな。

「はじめまして、下村宏也ですー。
蓮から弟できたって聞いてたんだ。」

「はじめまして、夏野海です。」

「海君かんわいいね、俺可愛い子も大好き。」

下村さんがニコニコして俺を見ている。
その様子を見て青池さんが鼻に皺を寄せた。

「あーあーあー、まって宏也君、そういう紹介じゃない。
お手つきしようとしたらダメだよ。
海君パートナー居るし、なんならパートナークリスと同じタイプだから。」

下村さんがそれを聞いてバッと青池さんを見た。

「何…怖…あんな人二人も居る訳ないじゃん。」

「宏也君、水泳のソールバルグ選手ってわかる?」

「知ってるよぉ、金メダル獲った男前じゃん。」

「海君ソールバルグ選手のパートナー。」

下村さんが目を見開いて俺を見た。

「え?本当に?」

「はい。」

「いやいやいや、待ってどうやって出逢うんだよそれ…いや、でも蓮の出会いパターン見ちゃってるしな…」

「親同士がもともと仲良くて、俺が産まれた時にはもう隣に住んでました。」

「なんそれ…」

ビールとハイボールが運ばれて来て、青池さんと下村さんが店のおすすめメニューを色々頼んでくれた。
モツ煮込みがめちゃくちゃ美味しい。
焼き鳥の塩もタレも美味しい!今度桜連れてこよう。

神山さんと青池さんが出逢ってから付き合うまでの話とか聞いたり、俺と桜が結婚する迄の話したりしたら、下村さんがなんか悟りを開いたみたいな顔になってた。

「なんかもう二人ともさぁ、なんでそんなめちゃくちゃな男に捕まってんのって。
まともなのと出逢ってよ…。
相手が美形なのはいいけどせめて中身は人間にしてくれないかな…。
独占欲が怖すぎるって…。

海君なんか産まれた時から狙われてるじゃんソレぇ!

蓮なんか神山さんの前の男は違った意味でめちゃくちゃだったけど…」

青池さんが過去に付き合ってた男の人は3年も既婚なの黙ってた上に子供も居て奥さんの顔が蓮さんに似てて引いたって下村さんが言ってた。

青池さんと下村さんが出掛けた先で妊娠した奥さんと一緒に居たのをたまたま見かけて発覚したって。

その人怖…青池さんの事も家族の事も考えて無いじゃん…

「本当あん時の事思い出しただけでもどん引くわ。」

「あれは特殊だわ~。」

「言っとくけど神山さんも別の意味で特殊だわ。」

下村さんはポロッと言った一言で神山さんがピスタチオ指で粉々にしたの目にしちゃって今でも神山さんの事怖いって言ってた。

「この人素手で人をミンチに出来ちゃう人だなって思ったね…。
ん?でもまって、話聞いてる限り海君ソールバルグ選手以外誰とも付き合った事ないの!?
ノンケだったっぽいのによくそこにいったね…」

本当に…エロの好奇心が勝ってつい…
っていうかアレは矢作のせいでもあるな。

「そうなんですよー、アダルト動画大量に見てたくせに女の子の身長に固執してたら童貞喪失し損ねて桜と結婚しちゃったから、桜が許さない限りは童貞ホルダーですね。」

「あのタイプは外でのそういうのは絶対お許し出ないねー、クリスもそうだと思うもん。
嗅覚も野生的だからなんかあったらすぐ察知するし。
前に会食で俺にエロ目的で触ろうとしたジジイにめちゃくちゃ圧かけてたし。」

神山さんは青池さんが付き合ってた人が使ってたであろう物を全部捨てて買い替えてったって…どっからともなくその人が使ったなって物見つけては壊したりしてたって聞いたけど俺にそういう相手居たとしたらおそらく桜もそういう事しそうだなぁ…

「桜が喪失するなら自分以外認めないって言われたんですけど、ガタイのいいアスリートの尻なんてチンコ捻じ切られそうで怖くて無理です…」

「あーっはっはっは!!!
海君俺の尻貸してあげよっかぁ!?」

下村さんが笑った後でちょっとだけ本気でいいよ感出して来る。

「桜以外の生き物とエロい事禁止令出てるのでやめときます…」

「関係持ったらしばかれるの宏也君だから五体満足でいたかったらやめときな。」

「蓮のその言い方マジのやつじゃん怖い~~~~!」

3人で笑いながら話してたら時間はあっと言う間にすぎて行った。

「ねぇ、俺も蓮も相当のむけど海君もめちゃくちゃ酒強くない?」

「そうなんだよ、海君俺の飲みに潰れずについてこれるから楽しくてさ~。」

「強い酒チャンポンしちゃうとダメなんですけどね。一回だけ二日酔いになりました。」


尻でスマホが震える。
画面見たら『そろそろ迎えに行く』って桜からのメッセージだった。

「あ、そろそろうちの来ちゃうみたいです。」

「もう10時半なってるじゃん。」

「はや。
はー、海君よかったらまた俺とも飲んでよ。楽しかったぁ。」

「是非是非!」

会計を済ませて店の外に出ると桜が待ってた。

「ソールバルグ君、海君お借りしました。
凄く楽しかったですー、どうもありがとうございました。
海君またね!」

と青池さんがにこやかに桜に挨拶して、下村さんは「マジもん…」と驚いていた。
二人はもうちょっと飲んでから解散するって。

近くの駐車場に車停めてあるから、ちょっとだけ手を繋いであるく。

「楽しかった?」

って桜が優しく聞いて来る。

桜の話はああやってするとやばい人じゃんって言われるけど、俺にはこうやって果てしなく優しい。
俺が桜を隣の家の桜から好きな人になったのだって、桜が俺を大切に愛してくれてるからだ。

「楽しかった!
下村さんも面白くていい人だった。
あのお店料理美味しかったから今度二人でこよ。」

桜と繋いだ手をちょっと強く握って言うと、桜は嬉しそうに笑った。

最近は外でも桜と手を繋げる様になった。

これもずっと忍耐強く桜がトレーニングしてくれたからだなって思ってる。

ちょっと前に誰かが隠し撮りした写真がSNSにあげたらしくてガンちゃんから載せられてるぞって連絡来た。

なんかもうそんなのどうでもいいやって今は思ってる。

世の中にはいろんな人が居て、いろんな人間関係がある。

俺が大切にするべきなのは誰かということを見誤らない様にしていかないといけないんだよな。

桜と俺が一緒に居ることは恥ずかしい事でもなんでもない。
第三者から何を言われても俺と桜には関係ない。

だからいつでもどこでだって手を繋ぐ。

それが俺と桜の在り方。

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