ZOMBIE POP!

BALLON

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7話     出陣用意―急

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「あぁ、足ならあるぜ。ぴったりなのがよぉ」

紅一こういちがニヤリとしながら答えた。答えながら掲げた人差し指には、チャリンと何かがかかっていた。

「足?何だよそれ」

あおいがよく見ると、紅一の人差し指にはキーホルダーにつながった鍵がかかっていた。

「あぁ、無くしてた家の鍵か」

「ちげぇわまだ見つかってねぇよ。こいつは軽トラの鍵」

まだ見つかってないんだ……ん?軽トラ?

「軽トラ?」

「そっ。軽トラ。すぐそこの駐車場に止めてある。2人乗りだけど」

えっ、車乗ろうとしてる?

「家の車庫に入ってたやつは親父が出勤に使ったからな、軽トラの方がゴツいしいいだろ。詰めれば3人くらい入るよきっと」

「お前免許……運転できるの?」

「何とかするよ」

紅一はもう出発の準備をしながら答える。

「じゃあ俺に運転させて。実家で爺ちゃんに運転させられたことあるからちょっとは分かるよ」

蒼は一瞬運転していいのか迷ったが、こんな状況で咎める人もいないだろうと諦めた。

「へぇ!じゃあ頼む。いやー助かったわ。結構不安だったから。」

ヘラヘラしながら不安だったらしい。コイツほんとに──



3人はテーブルに集まり計画を立てた。現在午後四時。日が落ちるまでには決着をつけたい。

計画はこうだ。

①まず軽トラで中学校まで向かう。

10分そこらの距離しかないので何とかなるだろう。走行音にゾンビが寄ってくるのではと疑念を伝えると、桃が

「反応はするけど深追いはしてこないと思う。ドローンだとそうだった。ゾンビは何より人間の声と姿に反応する」

とのことだったので、中学校に着いたら布で車の窓を隠して、荷台のドローンを飛ばすことにした。

②中学校でドローンを使い、校内、校舎周辺のゾンビを誘導する。

③紅一と蒼の二人が校内に突入し、ゆきを救出し帰宅。

一通り決めた後、最後の準備をする。

紅一は革ジャンやら膝サポーターだのを蒼に渡す。

「アイツら映画よろしく噛みついてくるからな。危ねぇ時はコイツに噛み付かせろ」

そう言って紅一は前腕につけたサポーターを指す。そして長物を何本かもって玄関の方へ歩いていった。

ももも工具箱やらロープやらを持って忙しそうに準備していた。



家から駐車場までにいた数匹のゾンビを、桃の華麗なドローン捌きで誘導し、道が安全になってから軽トラに乗りこむ。

ドローンのコントローラーを覗いたところ、真ん中についた液晶からドローンのカメラが捉える映像を見られるようだ。

これを自作する中学3年生とは恐ろしい。と蒼は思った。

軽トラに乗りこむと桃は工具を取り出し、ハンドルから何かを取り外した。

「よし!エアバッグ取ったから、安心してゾンビね飛ばしていいよ。」

桃はニコニコしながら蒼に言う。蒼は苦笑いするしかない。

「冗談。でも万が一そういう事があったら、動けなくなるのが今は一番危ないから。気をつけてね!」

「うん。ありがとう。」

「うし、じゃあ行くか!」

助手席に座る紅一が言う。

「しゅっぱ~つ!」

紅一の膝の上に乗る桃が楽しそうに言う。


今行くぞ。雪。


蒼はシリンダーに差し込んだキーを回した。
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