7 / 7
7話 出陣用意―急
しおりを挟む
「あぁ、足ならあるぜ。ぴったりなのがよぉ」
紅一がニヤリとしながら答えた。答えながら掲げた人差し指には、チャリンと何かがかかっていた。
「足?何だよそれ」
蒼がよく見ると、紅一の人差し指にはキーホルダーにつながった鍵がかかっていた。
「あぁ、無くしてた家の鍵か」
「ちげぇわまだ見つかってねぇよ。こいつは軽トラの鍵」
まだ見つかってないんだ……ん?軽トラ?
「軽トラ?」
「そっ。軽トラ。すぐそこの駐車場に止めてある。2人乗りだけど」
えっ、車乗ろうとしてる?
「家の車庫に入ってたやつは親父が出勤に使ったからな、軽トラの方がゴツいしいいだろ。詰めれば3人くらい入るよきっと」
「お前免許……運転できるの?」
「何とかするよ」
紅一はもう出発の準備をしながら答える。
「じゃあ俺に運転させて。実家で爺ちゃんに運転させられたことあるからちょっとは分かるよ」
蒼は一瞬運転していいのか迷ったが、こんな状況で咎める人もいないだろうと諦めた。
「へぇ!じゃあ頼む。いやー助かったわ。結構不安だったから。」
ヘラヘラしながら不安だったらしい。コイツほんとに──
3人はテーブルに集まり計画を立てた。現在午後四時。日が落ちるまでには決着をつけたい。
計画はこうだ。
①まず軽トラで中学校まで向かう。
10分そこらの距離しかないので何とかなるだろう。走行音にゾンビが寄ってくるのではと疑念を伝えると、桃が
「反応はするけど深追いはしてこないと思う。ドローンだとそうだった。ゾンビは何より人間の声と姿に反応する」
とのことだったので、中学校に着いたら布で車の窓を隠して、荷台のドローンを飛ばすことにした。
②中学校でドローンを使い、校内、校舎周辺のゾンビを誘導する。
③紅一と蒼の二人が校内に突入し、雪を救出し帰宅。
一通り決めた後、最後の準備をする。
紅一は革ジャンやら膝サポーターだのを蒼に渡す。
「アイツら映画よろしく噛みついてくるからな。危ねぇ時はコイツに噛み付かせろ」
そう言って紅一は前腕につけたサポーターを指す。そして長物を何本かもって玄関の方へ歩いていった。
桃も工具箱やらロープやらを持って忙しそうに準備していた。
家から駐車場までにいた数匹のゾンビを、桃の華麗なドローン捌きで誘導し、道が安全になってから軽トラに乗りこむ。
ドローンのコントローラーを覗いたところ、真ん中についた液晶からドローンのカメラが捉える映像を見られるようだ。
これを自作する中学3年生とは恐ろしい。と蒼は思った。
軽トラに乗りこむと桃は工具を取り出し、ハンドルから何かを取り外した。
「よし!エアバッグ取ったから、安心してゾンビ撥ね飛ばしていいよ。」
桃はニコニコしながら蒼に言う。蒼は苦笑いするしかない。
「冗談。でも万が一そういう事があったら、動けなくなるのが今は一番危ないから。気をつけてね!」
「うん。ありがとう。」
「うし、じゃあ行くか!」
助手席に座る紅一が言う。
「しゅっぱ~つ!」
紅一の膝の上に乗る桃が楽しそうに言う。
今行くぞ。雪。
蒼はシリンダーに差し込んだキーを回した。
紅一がニヤリとしながら答えた。答えながら掲げた人差し指には、チャリンと何かがかかっていた。
「足?何だよそれ」
蒼がよく見ると、紅一の人差し指にはキーホルダーにつながった鍵がかかっていた。
「あぁ、無くしてた家の鍵か」
「ちげぇわまだ見つかってねぇよ。こいつは軽トラの鍵」
まだ見つかってないんだ……ん?軽トラ?
「軽トラ?」
「そっ。軽トラ。すぐそこの駐車場に止めてある。2人乗りだけど」
えっ、車乗ろうとしてる?
「家の車庫に入ってたやつは親父が出勤に使ったからな、軽トラの方がゴツいしいいだろ。詰めれば3人くらい入るよきっと」
「お前免許……運転できるの?」
「何とかするよ」
紅一はもう出発の準備をしながら答える。
「じゃあ俺に運転させて。実家で爺ちゃんに運転させられたことあるからちょっとは分かるよ」
蒼は一瞬運転していいのか迷ったが、こんな状況で咎める人もいないだろうと諦めた。
「へぇ!じゃあ頼む。いやー助かったわ。結構不安だったから。」
ヘラヘラしながら不安だったらしい。コイツほんとに──
3人はテーブルに集まり計画を立てた。現在午後四時。日が落ちるまでには決着をつけたい。
計画はこうだ。
①まず軽トラで中学校まで向かう。
10分そこらの距離しかないので何とかなるだろう。走行音にゾンビが寄ってくるのではと疑念を伝えると、桃が
「反応はするけど深追いはしてこないと思う。ドローンだとそうだった。ゾンビは何より人間の声と姿に反応する」
とのことだったので、中学校に着いたら布で車の窓を隠して、荷台のドローンを飛ばすことにした。
②中学校でドローンを使い、校内、校舎周辺のゾンビを誘導する。
③紅一と蒼の二人が校内に突入し、雪を救出し帰宅。
一通り決めた後、最後の準備をする。
紅一は革ジャンやら膝サポーターだのを蒼に渡す。
「アイツら映画よろしく噛みついてくるからな。危ねぇ時はコイツに噛み付かせろ」
そう言って紅一は前腕につけたサポーターを指す。そして長物を何本かもって玄関の方へ歩いていった。
桃も工具箱やらロープやらを持って忙しそうに準備していた。
家から駐車場までにいた数匹のゾンビを、桃の華麗なドローン捌きで誘導し、道が安全になってから軽トラに乗りこむ。
ドローンのコントローラーを覗いたところ、真ん中についた液晶からドローンのカメラが捉える映像を見られるようだ。
これを自作する中学3年生とは恐ろしい。と蒼は思った。
軽トラに乗りこむと桃は工具を取り出し、ハンドルから何かを取り外した。
「よし!エアバッグ取ったから、安心してゾンビ撥ね飛ばしていいよ。」
桃はニコニコしながら蒼に言う。蒼は苦笑いするしかない。
「冗談。でも万が一そういう事があったら、動けなくなるのが今は一番危ないから。気をつけてね!」
「うん。ありがとう。」
「うし、じゃあ行くか!」
助手席に座る紅一が言う。
「しゅっぱ~つ!」
紅一の膝の上に乗る桃が楽しそうに言う。
今行くぞ。雪。
蒼はシリンダーに差し込んだキーを回した。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜
妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。
男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。
現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。
そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。
しかし、ただの転生では終わらなかった――
彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。
無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。
護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、
毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく……
個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。
――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。
そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。
「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」
恋も戦場も、手加減なんてしてられない。
逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる