私がガチなのは内緒である

ありきた

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1章 私がガチなのは内緒である

10話 穏やかな時間

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 散歩を終えて帰宅した私たちは、シャワーを浴びて汗を流し、お昼ご飯を食べてのんびりとしたひとときを過ごしていた。
 ちなみに、萌恵ちゃんは宣言通りスキンシップ数割増しで甘えてくる。現在進行形で。

「ん~、真菜からいい匂いがする」

 私の太ももに頭を預けた状態で、萌恵ちゃんが声を弾ませる。

「同じ匂いだと思うけど」

 シャンプーもボディソープも共用だし。
 ただ、萌恵ちゃんは人工的ではない甘く爽やかな香りを放っている。
 なんなら、人混みの中で萌恵ちゃんの香りを嗅ぎ分ける自信すらある。さすがに本人には言えないけども。

「落ち着くなぁ。寝ろと言われたらこのまま寝れちゃうよ」

「寝ないでね、足が痺れるから」

 とは言っても、本当は足が砕け散ろうとも萌恵ちゃんに膝枕をし続けたいんだけどね。
 萌恵ちゃんへの恋心を悟られないようにするためには、自分を客観視して発言や行動を自重することがなにより重要だ。
 愛してる! 結婚して! という明らかな告白はダメ。
 萌恵ちゃんの汗を集めて味わいたい! なんてことは論外。
 関係を壊さないために必須となる配慮。恋愛感情と変態的な欲求を抑えるのは、もはや呼吸と同じレベルで実行している。
 意識しすぎて表情が強張ったり不安が脳内を埋め尽くすようでは、萌恵ちゃんとの時間を満足に楽しめない。
 もちろん、洗濯担当の特権で萌恵ちゃんの下着を夜中にちょっとだけ拝借する際も、細心の注意を払いつつも楽しむことを最優先している。
 改めて考えると、私ってかなり気持ち悪いな……。
 なにがなんでも、秘密は守り通さないといけない。

***

 結局、ダラダラと過ごすだけで一日が終わった。
 学生としては嘆くべきなのかもしれないけど、不思議と満ち足りた気分で床に就いている。
 萌恵ちゃんと一緒だったら、なにもしなくても幸福を感じられそうだ。
 自分だけだったら切ないなぁと思って隣を見ると、視線に気付いた萌恵ちゃんが優しく微笑んだ。気持ちが通じ合ったみたいで嬉しい。
 これぐらいなら大丈夫かな、と手を握ってみる。
 すると、当然のように握り返してくれた。
 たまには積極的になっても、罰は当たらないようだ。
 いつもより少しだけ距離を詰めて、萌恵ちゃんの体温を感じながら瞳を閉じる。

「おやすみ、萌恵ちゃん」

 今度は返事がなく、代わりにかわいらしい寝息が聞こえてきた。
 私も徐々に意識が薄れ――るどころか生殺し状態で興奮しすぎて眠気が吹っ飛び、明け方になるまで羊を数え続ける羽目になる。
 調子に乗って密着しすぎると体に毒だと、身をもって知った。
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