私がガチなのは内緒である

ありきた

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1章 私がガチなのは内緒である

16話 授業に集中していない件

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 よほどの進学校でもない限り、高校に入ってすぐハイレベルな内容になるということはない。
 うちの学校も例に漏れず、いまのところは難なくついていける。
 だからというわけではないんだけど、私は半ば上の空で授業を受けていた。
 二限目の数学、頭の中は萌恵ちゃんのことでいっぱいだ。
 私の席は真ん中の列の最後尾。名簿順なので、目の前には萌恵ちゃんがいる。
 目を閉じて感覚を研ぎ澄まし、意識を集中させて嗅覚を働かせると、萌恵ちゃんのいい匂いが鼻孔に飛び込む。
 限りなく気持ち悪い行為だということは自分でも分かっているが、反省するつもりは毛頭ない。
 長くてふわふわな髪は、ハーフアップに結われている。
 本人は私みたいな直毛がいいと漏らしているけど、緩やかなウェーブのかかった金髪は西洋のお姫様みたいで実によく似合っていると思う。
 彼女は金髪で胸が大きくテンションが高いため、初対面の相手からはギャルっぽいと思われがちだ。
 まぁ、真面目に授業を聞いて真剣に理解しようと取り組む姿勢を見ればすぐさま印象が変わるわけだけど。
 一緒に宿題をやるときも、萌恵ちゃんは『答えを教えてほしい』とは決して言わない。解き方やヒント以上のことは聞こうとせず、きちんと自分で努力して答えを導き出す。
 私の調子が悪いときは自分のこと以上に心配してくれるし、つらいことがあったら優しく慰めてくれる。
 子どものときに隣町で迷子になった際は、ボロボロになるまで走り回って私を見つけ出してくれた。
 あぁ、萌恵ちゃんと結婚したい。
 もっともっと親睦を深めれば、いつかは恋人になれるのだろうか。
 もしかしたらずっと親友止まりで、萌恵ちゃんは普通の恋をして、他の誰かに……。

「はぁ」

 重い溜息が漏れる。
 萌恵ちゃんが幸せならそれが一番――なんてふうには、やっぱり思えない。
 そもそも、萌恵ちゃんを幸せにできるのは私だけだ。うん、そうに違いない!
 いつか必ず、他でもないこの私が、萌恵ちゃんを幸せにしてみせる!

***

 本日の反省。
 改めて決意を固められたことはさておき。
 授業、ほとんど覚えてないです。先生ごめんなさい。
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