私がガチなのは内緒である

ありきた

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2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である

3話 一目瞭然

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 私は決して人付き合いの得意な人間ではない。
 にもかかわらず学校生活が楽しいと感じられるのは、萌恵ちゃんと一緒にいられること以外にも理由がある。
 私が在籍する一年一組はクラス全体の仲がよく、かなり雰囲気のいい環境だ。
 料理上手な子や運動が得意な子がチヤホヤされたりはするけど、逆に苦手だからと虐げられるようなことは絶対にない。
 教室に入って席に着き、近くにいたクラスメイトに「おはよう」とあいさつする。

「桜野さん、もしかして此木さんに告白した?」

「ぅえっ!?」

 え、なに? 学生兼名探偵だったりするの?
 完全に予想外な相手に真実を見抜かれ、驚愕を隠せない。

「だってすごく嬉しそうだし。桜野さんっていつも爽やかに微笑んでる感じだけど、今日は満面の笑顔だから」

「す、すごいね、これから名探偵って呼んでいい?」

「ってことはやっぱり! おめでとう! やっと告ったんだね!」

「へ? やっとって……え?」

 分からないことだらけで困惑していると、周りからわらわらと人が集まってきた。

「思ったより早かったじゃん。おめでと」

「桜野さん、おめでとう! 幸せになってね!」

「此木ちゃんもおめでとー!」

 あちこちから祝福の声が上がる。
 萌恵ちゃんはただ純粋に「ありがと!」と返しているけど、私は未だに混乱が収まらない。
 もちろん祝ってもらえるのは嬉しい。
 だけど、みんな私が萌恵ちゃんに片想いしているのを知っていたような様子だ。

「もしかして、バレてた?」

 私がそう訊ねると、みんなまったくの同時に首を縦に振った。
 詳しく話を聞いてみたところ、どうやら萌恵ちゃん以外は私の熱烈な視線や態度から入学初日にしてすでに勘付いていたらしい。
 放課後もやけにみんな帰るのが早いと思っていたら、私と萌恵ちゃんが気兼ねなく話せるよう舞台を整えていたとのこと。
 同じクラスでガチっぽい雰囲気なのが私と萌恵ちゃんだけだったので、恋バナに事欠く学校生活における格好の的だったようだ。
 見せ物扱いされているわけじゃないのは分かっているけど、片想いが周知の事実だったと考えると恥ずかしくて悶絶しそうになる。

***

 付き合い始めたと知るや否や、私と萌恵ちゃんは怒涛の質問責めに遭った。
 休み時間のたびに話の中心となるのは、いままでにない体験だ。
 のろけ話も興味津々な態度で聞いてくれるので、いつになく饒舌になってしまった。
 そして、あっという間に放課後。
 美咲ちゃんと芽衣ちゃんが仲睦まじく肩を並べて一組に姿を現す。
 クラスメイトいわく、この二人も密かに注目されているらしい。
 柔和で温厚な美咲ちゃんと、強気そうな印象の芽衣ちゃん。一見すると正反対なイメージなので、周りが興味を持つのも分かる。

「真菜、告白成功したのね。おめでとう!」

 芽衣ちゃんが開口一番にそう言った。

「……私って、相当顔に出やすい?」

「ええ、かなりね。まさに『顔に書いてある』って感じよ」

「お二人とも、本当におめでとうございますっ」

 芽衣ちゃんはともかく、美咲ちゃんですら気付いていた様子だ。
 恋愛に疎い人にすら悟られるぐらい表情に出てたってこと?

「ありがと! んふふっ、今日はいっぱいお祝いされて嬉しいな~! ね、真菜?」

「う、うん、そうだね」

 みんなから祝われて感謝の気持ちで胸がいっぱいだけど、やっぱりものすごく恥ずかしい。
 だって、言うなれば『私は萌恵ちゃんが大好き!』って宣言しながら生活してたってことだよね?
 ラブレターを顔に貼り付けていたようなものだと考えたら……うわぁああああああっ、恥ずかしいっ!

***

 今日はいつもより早めに切り上げて、ショッピングモールに向かう。
 美咲ちゃんと芽衣ちゃんの厚意で、私と萌恵ちゃんの交際祝いとしてタピオカドリンクを奢ってもらうことになった。
 私が終始羞恥に身悶えていたのは、言うまでもない。
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