恋愛、はじめました

ありきた

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17話 気持ちの確認

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 恥ずかしながら、わたしは性欲が強い。授業中にエッチな妄想を繰り広げることも多々ある。
 仮につぐみさんから迫られるようなことになれば、まず間違いなく、躊躇なく受け入れるだろう。
 経験がないので上手くできる自信はないけど、キスより先の行為に及びたいという意思はとてつもなく強い。
 ここで問題なのは、つぐみさんにその意思があるのかどうか。
 ほんのわずかでも、そういった行為を望んでくれているのだろうか。
 まったく意識していないかもしれないし、エッチなことに抵抗があるかもしれない。
 一度不安に思い始めるとキリがないので、思い切って本人に確認してみることにした。

「つぐみさんは、わたしとエッチしてくれますか?」

 廊下での談笑中、辺りに人がいないのを確認し、この上なくストレートに訊ねる。
 授業中に考えていた時は「わたしとエッチしたいですか?」と問うつもりだったけど、その言い方だと自意識過剰っぽい気がしたので、わずかに文面を変えてみた。

「え、エッチって……えっと、つまり、その……せ、性行為、ってこと、だよね?」

 つぐみさんは羞恥で耳まで真っ赤になり、振り絞るような声で言葉を紡ぐ。
 こういう表情や声音も私の情欲を掻き立てるんだけど、それは置いておくとして。

「はい、性行為です」

 いつになく真剣な声で、ハッキリと答える。

「わ、わたし、きっと下手くそだよ?」

「わたしも知識だけで経験はないので、下手くそだと思います。最初はお互いに戸惑ったり、焦ったりするかもしれません。それでも、わたしはつぐみさんと、いまよりも深い関係になりたいです」

 包み隠さず本音を伝えると、つぐみさんの頬がさらに紅潮する。
 彼女は気合を入れるかのように、自分の頬を手のひらでパンッと叩いた。

「ありがとう、美夢ちゃん。わたしも、同じ気持ち……美夢ちゃんと、エッチしたい!」

 つぐみさんはわたしの目をしっかりと見据え、迷いのない声で言い放った。

「つぐみさん……嬉しいですっ」

 自分の気持ちを受け入れてもらえた。
同じ気持ちだと言ってくれた。
 喜びのあまり、わたしは思わずつぐみさんをギュッと抱きしめる。

***

 しばらく抱きしめ合った後、名残惜しくも抱擁を解き、ふと思い出す。
 いまが短い休み時間の最中であり、ここが廊下であることに。
 最初に周囲の確認をしたとはいえ、話に集中するあまり、途中から周りが見えていなかった。
 授業開始が近付いて生徒が教室に戻り始めたいま、廊下には生徒の姿が増え、あちこちから視線が向けられている。
 決して悪意的なものは感じられないものの、先ほどの会話はもう、二人だけの秘密ではなくなったと考えるべきだろう。

「ど、どうしようっ、わわ、わたし、とんでもないことを大声で……っ」

「だっ、大丈夫ですよつぐみさん! わたしだってエッチしたい気持ちは尋常じゃなく強いですから!」

「みっ、美夢ちゃん!? そんなこと人前で言っちゃダメだよ!」

 フォローするつもりが、動揺のあまり本心をそのまま叫んでしまった。
 気持ちを確かめ合うだけに留まらず、みんなの前で意思表示することになるとは。
 予期せぬ注目を浴びて恥ずかしいけど、拍手や声援を送ってくれる生徒もいて……祝福されているみたいで、そこはかとなく嬉しい。
 リンゴのように顔を赤らめているつぐみさんには、場所の選択を誤ったことについて、後できちんと謝っておこう。
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