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ありきた

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21話 わたしたちの長い夜③

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「つぐみさん、大好きですっ」

 耳元でそう告げてから、おもむろにつぐみさんの唇を奪う。

「ちゅっ、美夢ちゃん、好き、んっ、大好きっ」

 キスをしながら、つぐみさんも愛を囁いてくれる。
 心底嬉しくなったわたしは、意を決して大胆な行動に出ることにした。
 組み敷いている側の優位性を活かし、徐々に体を後方へとずらしながら、首筋、肩、鎖骨へとキスを落とす。
 つぐみさんの腕を軽く持ち上げ、露になった腋に舌を這わせた後、ここにもしっかりキスをする。
 わたしの舌や唇が触れるたびに、かわいらしい嬌声が上がる。

「み、美夢ちゃん、待って。わたしも……わたしも、美夢ちゃんに、したいっ」

 つぐみさんはわたしの体をギュッと抱きしめ、半ば強引に動きを止めた。
 脚を絡めながら体の位置を入れ替え、今度はわたしが押し倒される形になる。
 宣言通り、つぐみさんはわたしがしたのと同じように、首筋や肩にチュッと唇を這わせてくれた。
 くすぐったくもある気持ちよさに身を委ねていると、胸の先端に唇が擦れる。これまでよりも一段階上の刺激に、わたしの体は耐えることができなかった。
 無意識のうちにつぐみさんを強く抱き寄せ、ビクンッと跳ねる腰を落ち着かせようと太ももに力を込める。
 その直後、反射的とはいえ自分の行動が失敗だったと気付く。
 太ももに力を込めたことにより、間にあるつぐみさんの左脚が、わたしの最も敏感な場所に押し付けられることとなった。
 鮮烈な快感が全身に伝播し、わたしは再び情けないほどに呆気なく果ててしまう。

「くぅ、んっ……つ、つぐみしゃん、つ、つぎは、いっしょに……」

 滑舌が怪しくなってはいるものの、かろうじて伝わったと信じたい。
 わたしは意思を示すように両脚を広げ、つぐみさんに目で訴えかける。
 すると、つぐみさんは笑顔でうなずき、望んでいた通りの行動を取ってくれた。

 経験はなくても知識だけは豊富なわたしも、経験はもちろんエッチなことについてなにも知らないつぐみさんも、難しいことはなにも考えず、ただ本能に身を委ねる。
 大きな嬌声が漏れそうになれば、キスをして口を塞ぐ。
 言葉を紡ぐ余裕が生まれれば、大好きな人の名前を呼ぶ。

 夜が更けて町全体が寝静まり、やがて窓の外が明るくなり始めるまで、わたしたちは片時も離れず触れ合っていた。
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