浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

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第1章

第20話《義弟になるかもしれない男》

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いや流石に見間違いだよな?寝てないから目がかすんでいたのかも…。
だってあいつの歴代の彼氏は皆イケメンのαだったし、好きなアイドルも鷲田タクトという王子系の正統派イケメンだ。目の前にいる彼は断じて妹のタイプではない。

「いや、重ね重ね申し訳ない!!俺は相田長介!20歳βだ!」
数分後、電話を終えたらしい彼がまた無許可で俺の隣にドカッと座る。


「…あの、うちの妹、霧下つばめって言うんだけど…もしかして君達付き合ってるの…?」

違うとは思うけど、念のために聞いてみる。
(どうか、否定してくれ…。)
だが、無慈悲にも彼は最悪のワードで肯定してきた。

「なんと!義兄さんでしたか!!妹さんを俺にください!!」
「あっ、はい…」

完璧なお辞儀で頭を下げてくる丸坊主でサングラスな全身ヒョウ柄服の何もかもがデカい男…。
これが俺の義弟になるかもってこと…?

「いやぁ、先程は義兄さんとは知らず、失礼しました!!実は俺、明日のミスターコンに出場するんですが、片っ端から男性Ωに花嫁役を頼んでまわるも全滅で!それでちょうどいい所に義兄さんがいらっしゃったんですよ!」

色々と情報量が多い。話の全部が気になる…。
とりあえず一つ一つ気になるところから聞いていこう。

「聞きたい事は色々あるけど…まず、君ミスターコンの出場者なんだ?」
「はい!サイトに載ってますよ!ほら!」

信じられない気持ちでいる俺に相田くんはヒョウ柄カバーのスマホを取り出し、俺にミスターコン出場者の一覧を見せつける。

「ほんとだ…。自分で立候補したの?」

「はい!実は俺、妹さんに条件を出されたんです!『私、今まで男運が悪すぎて周りに心配をかけちゃって、兄達を心から安心させたい。だからいつか結婚するなら何らかの形で信頼できる男だって示してほしい。』って!」

あの彼氏以外眼中に無い妹が、そこまで俺たちの事も考えてるなんて予想外だ…。

「それがミスターコン優勝ってこと?」
「そうっす!ミスターコンで優勝すれば就職でも有利になるし、こんな俺でも妹さんのためにここまで頑張れるってところを見せたいっす。」

確かに昔、妹がαにヤリ捨てされた時は兄だけじゃなく俺も心配した。
毎日のように部屋に籠ってすすり泣く妹の姿に、兄はちょっとしたトラウマになっていた。

それからというもの、妹が選ぶ彼氏はいつも性格がヤバい奴ばかりで、そこに中身はともかく見た目がヤバすぎる相田くんを今の彼氏として紹介されたら、兄はひっくり返るだろう。


(でもそんな妹や俺たちのために、ミスターコンという大きい大会に挑戦する事で覚悟を示そうとする相田君は相当良い奴なんじゃないか…?)

多分妹も兄を文化祭に誘ったのはコンテストを通して相田くんの人となりを見せたかったからなんだろう。

それはそれとして鷲田タクト君のことは大はしゃぎで見に行くだろうけど。



「でもなんで一次審査の相手男性Ω限定で声かけてるの?別に女性でもいいんじゃない?」
「あ!俺、妹さんに私以外の女と密着したら殺すって釘刺されてるんで!!」
「…そっか…。それは大変だね…。」

(コンテストには優勝してほしいけど、それはそれなんだな…。)
つばめは彼氏に一途だが、その分束縛癖が激しい所があるからな。

「でも俺流石にドレスは着たくないな…。一応男だし…。」
「そんなぁ!あ!じゃあ俺紋付き袴で行くんで、義兄さんは白無垢で行きましょう!!」

審査内容『タキシード』なのに…??本当に優勝する気ある…?


いや、待てよ。こういう奴は女性には振り向かれなくても、同性受けは絶対いいよな。

文化祭なんだからお祭り気分でなんとなくコンテストを見に来る男性客も多いはずだ。
丸坊主でひげ面でガタイが良くて元気溌剌、気も良さそうで気取らない破天荒な性格。

さらにミスターコンで唯一のβだというところもやり方によっては逆転優勝への一抹の可能性を感じる。

世界のバース性の割合は9割以上がβ性だ。
ただ、スペック的にどうしてもこういう大会で優勝したりするのはα。
どこのコンテストでも、βが活躍することはない。


そこをなんとなく面白くないと思っているβ男性の客の心理を利用できないか…?
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