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リーシャ、頑張り中。
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気がついたら、舞台当日までもう2週間を切っていた。
1ヶ月以上も付き合いがあれば、それなりに人慣れしてきて、役者さんたちともあまり緊張せず普通に会話が出来るようになった。
むしろ相手側の方が緊張している位だ。
私なんか貴族としては下の方なのだけど、自分がもし爵位もない一般庶民だったなら、なんか失礼をしてないか気になって落ち着かないだろうからなあ。
でも、不特定多数(10人にも満たないけど)と目を見て話が出来る、これはヒッキーとしてかなりの成長ぶりではなかろうか。
ダークもルーシーも成長してないと言うが、私だってやるときはやるのだ。
芝居も自分が言いやすいセリフになったせいか感情移入しやすくなったし、ムーンシャドー先生(ルーシー)には、
「予想していた以上にまともな演技でわたくしかなり意外でございます」
と褒めてくれた。
いや、褒められてるのかしら。
まあいい。
ただ、いつまでも相手役のクレイトンさんが、私との絡みで顔を赤らめるのがツラい。
『僕のような不細工なオッサンに、君のような若くて目の覚めるような美人が好きになる訳がない!これ以上からかうのは止めてくれ』
『人の好みなんて十人十色ではございませんか!私がローエン様を好きになったのはいつでも他者を思いやれる優しいお心なのです。私が本気か嘘をついてるか、目を見て頂ければ分かる筈です!』
『ナタリア嬢………』
そっと近づきクレイトンさんと目を合わせる、と台本にはあるのだが、どうしても直視せずに目を逸らされる。
「おいクレイトン、そこはぐっと目を見て抱き締めるってあんだろうよ。おめえプロだろうが」
演出家が注文をつけるが、
「至近距離で見ると神々しくて目をやられるんだ!今だって30センチ未満の距離でリーシャさんがいるんだぞ!」
と逆ギレしている。
やめれ。
神々しいのはウチの旦那様だけだ。
みんなも仕方ないって顔で頷くのやめれ。
つうかウチのダークだって初めてのデートで至近距離になったけど、結構平気だったわよ。
………まあ主に私が強引に距離を詰めたようなものだったけれど。
ああ、気絶はされたけど、あれはファーストキスの衝撃でだもんなあ。
「私の緊張をほぐすためにお褒めの言葉を頂けるのは嬉しいですが、見に来てくださるお客様の為にも頑張りましょう!」
私はサラサラっと自分への痒くなるような誉め言葉は聞き流すスキルを発動させた。
私に対して「綺麗」だの「女神」「妖精」「傾国の美貌」とありとあらゆる誉め言葉を駆使しても、全然喜ばないどころかむしろとても嫌がるという事が、暫く経つとようやく皆にも伝わったようで、そう言うサブいぼワードは会話に出てこなくなったのはいいのだが、こちらから話しかけるとまだ赤面されたり挙動不審になられる事もあるのが困りモノだ。
こんな地味顔に赤面されても。
私が調子に乗ったらえらい事じゃないか。
まあ美人として振る舞う事に何のメリットもないのでやらないけども。
ダークだけが美人だと思ってくれたらそれで御の字なのである。
まあ一部こういう問題はあるが、私の最初で最後のお芝居挑戦は予想以上に上手く行っている。
相変わらずダークの家庭内ストーカーは続いてるが、芝居が終わってまた家にいるようになれば落ち着くだろう。
仕事も諸事情で、と暫くお休みさせてもらってるし、復帰したらバリバリお願いしますとライラに言われました、とルーシーがオイルマッサージをしながら言ってたので、また忙しくなる予定だ。
今は芝居の事だけやっていれはいいのである意味楽ちんである。
◇ ◇ ◇
「………レイモンド王子、本日もお泊まりでございますか?」
「はい。よろしくおねがいします。このあいだのトリのカラアゲというのはとてもおいしかったです」
レイモンド王子が少ししかめっ面を穏やかなものに変えて告げる。
今夜は唐揚げにしろと言いたい訳だね。
ジュリアに耳打ちしておく。
レイモンド王子はあれから稽古のためと称し週に2度は泊まりがけでやって来て、日帰りでも週に1、2回しっかり晩ごはんを食べて帰っていく。
ほぼ1日起きに自宅に王子が家にいる暮らしと言うのも、慣れてしまうと単に子供の友達が遊びに来てる感覚である。
本当はマズイとは思うのだが、レイモンド王子も、
「このやしきのなかではふつうにせっしてもらえるとぼくもきがらくなのです。
カイルたちとおなじように、なにかまちがったことをしたらしかってください」
などと殊勝なことを言ってきたので、手も洗わずにおやつを食べようとした子供たちと一緒に叱ったし、海岸に打ち上げられた材木のように居間で力尽きて昼寝をしてる子供たちとまとめて子供部屋のベッドにポイしたりと、徐々に扱いが雑に………フランクになっている。
本人が良いと言ってるのだから良かろう。
何だか嬉しそうだし。
少し分かりづらいけど、ダークやルーシーで表情筋が乏しい人の観察力は鍛えられたのだ。
しかし、サリーからの報告だと、子供たちの芝居の方も、最初のストーリーからキャラクター設定までちょっと変えたらしい。
「フンババ踊りは入れてないでしょうね?」
とストーリーアレンジを提案したブレナンに問い質すと、
「あれはもんがいふしゅつ。おおぜいのひとのところでやったらいけない」
「分かってるならいいのよ。………でも何でお話とキャラクターを変えたの?」
「でてくるのがいいこばかりでつまらないから」
「なるほど」
まあウチの子供たちは日頃のごっこ遊びで私より演じる事には長けているものね。
「結局どういう話になったの?」
「………ないしょ。とーさまとかーさまはとうじつのおたのしみ。がんばる」
「そうなのね。楽しみにしてるわ」
そして、忙しい日が過ぎるのは早く、あっという間に【演劇フェスタ】の当日がやって来た。
1ヶ月以上も付き合いがあれば、それなりに人慣れしてきて、役者さんたちともあまり緊張せず普通に会話が出来るようになった。
むしろ相手側の方が緊張している位だ。
私なんか貴族としては下の方なのだけど、自分がもし爵位もない一般庶民だったなら、なんか失礼をしてないか気になって落ち着かないだろうからなあ。
でも、不特定多数(10人にも満たないけど)と目を見て話が出来る、これはヒッキーとしてかなりの成長ぶりではなかろうか。
ダークもルーシーも成長してないと言うが、私だってやるときはやるのだ。
芝居も自分が言いやすいセリフになったせいか感情移入しやすくなったし、ムーンシャドー先生(ルーシー)には、
「予想していた以上にまともな演技でわたくしかなり意外でございます」
と褒めてくれた。
いや、褒められてるのかしら。
まあいい。
ただ、いつまでも相手役のクレイトンさんが、私との絡みで顔を赤らめるのがツラい。
『僕のような不細工なオッサンに、君のような若くて目の覚めるような美人が好きになる訳がない!これ以上からかうのは止めてくれ』
『人の好みなんて十人十色ではございませんか!私がローエン様を好きになったのはいつでも他者を思いやれる優しいお心なのです。私が本気か嘘をついてるか、目を見て頂ければ分かる筈です!』
『ナタリア嬢………』
そっと近づきクレイトンさんと目を合わせる、と台本にはあるのだが、どうしても直視せずに目を逸らされる。
「おいクレイトン、そこはぐっと目を見て抱き締めるってあんだろうよ。おめえプロだろうが」
演出家が注文をつけるが、
「至近距離で見ると神々しくて目をやられるんだ!今だって30センチ未満の距離でリーシャさんがいるんだぞ!」
と逆ギレしている。
やめれ。
神々しいのはウチの旦那様だけだ。
みんなも仕方ないって顔で頷くのやめれ。
つうかウチのダークだって初めてのデートで至近距離になったけど、結構平気だったわよ。
………まあ主に私が強引に距離を詰めたようなものだったけれど。
ああ、気絶はされたけど、あれはファーストキスの衝撃でだもんなあ。
「私の緊張をほぐすためにお褒めの言葉を頂けるのは嬉しいですが、見に来てくださるお客様の為にも頑張りましょう!」
私はサラサラっと自分への痒くなるような誉め言葉は聞き流すスキルを発動させた。
私に対して「綺麗」だの「女神」「妖精」「傾国の美貌」とありとあらゆる誉め言葉を駆使しても、全然喜ばないどころかむしろとても嫌がるという事が、暫く経つとようやく皆にも伝わったようで、そう言うサブいぼワードは会話に出てこなくなったのはいいのだが、こちらから話しかけるとまだ赤面されたり挙動不審になられる事もあるのが困りモノだ。
こんな地味顔に赤面されても。
私が調子に乗ったらえらい事じゃないか。
まあ美人として振る舞う事に何のメリットもないのでやらないけども。
ダークだけが美人だと思ってくれたらそれで御の字なのである。
まあ一部こういう問題はあるが、私の最初で最後のお芝居挑戦は予想以上に上手く行っている。
相変わらずダークの家庭内ストーカーは続いてるが、芝居が終わってまた家にいるようになれば落ち着くだろう。
仕事も諸事情で、と暫くお休みさせてもらってるし、復帰したらバリバリお願いしますとライラに言われました、とルーシーがオイルマッサージをしながら言ってたので、また忙しくなる予定だ。
今は芝居の事だけやっていれはいいのである意味楽ちんである。
◇ ◇ ◇
「………レイモンド王子、本日もお泊まりでございますか?」
「はい。よろしくおねがいします。このあいだのトリのカラアゲというのはとてもおいしかったです」
レイモンド王子が少ししかめっ面を穏やかなものに変えて告げる。
今夜は唐揚げにしろと言いたい訳だね。
ジュリアに耳打ちしておく。
レイモンド王子はあれから稽古のためと称し週に2度は泊まりがけでやって来て、日帰りでも週に1、2回しっかり晩ごはんを食べて帰っていく。
ほぼ1日起きに自宅に王子が家にいる暮らしと言うのも、慣れてしまうと単に子供の友達が遊びに来てる感覚である。
本当はマズイとは思うのだが、レイモンド王子も、
「このやしきのなかではふつうにせっしてもらえるとぼくもきがらくなのです。
カイルたちとおなじように、なにかまちがったことをしたらしかってください」
などと殊勝なことを言ってきたので、手も洗わずにおやつを食べようとした子供たちと一緒に叱ったし、海岸に打ち上げられた材木のように居間で力尽きて昼寝をしてる子供たちとまとめて子供部屋のベッドにポイしたりと、徐々に扱いが雑に………フランクになっている。
本人が良いと言ってるのだから良かろう。
何だか嬉しそうだし。
少し分かりづらいけど、ダークやルーシーで表情筋が乏しい人の観察力は鍛えられたのだ。
しかし、サリーからの報告だと、子供たちの芝居の方も、最初のストーリーからキャラクター設定までちょっと変えたらしい。
「フンババ踊りは入れてないでしょうね?」
とストーリーアレンジを提案したブレナンに問い質すと、
「あれはもんがいふしゅつ。おおぜいのひとのところでやったらいけない」
「分かってるならいいのよ。………でも何でお話とキャラクターを変えたの?」
「でてくるのがいいこばかりでつまらないから」
「なるほど」
まあウチの子供たちは日頃のごっこ遊びで私より演じる事には長けているものね。
「結局どういう話になったの?」
「………ないしょ。とーさまとかーさまはとうじつのおたのしみ。がんばる」
「そうなのね。楽しみにしてるわ」
そして、忙しい日が過ぎるのは早く、あっという間に【演劇フェスタ】の当日がやって来た。
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