土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

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マーブルマーブル感謝祭【10】

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 少しは遠慮してくれと思ったが、当たり前のように国王陛下や王妃まで我が家のランチタイムに参加しているなう。


 あんたら下の者に飯をたかって恥ずかしくないのか。おー?おぅー?

 と言うかよその家族の時間の邪魔をしたらいかんという気配りはないんか。おー?おぅー?


 心の中でしか溢せない愚痴をウッカリ垂れ流してしまわないように、出来る限り目を細めて広げたお弁当をちまちまつまんでいた。

「リーシャは料理が得意なのね!どれもとっても美味しいわ!」

「本当だねぇ」

 ナスターシャ妃殿下が結構な勢いで玉子焼きやら肉じゃがを食べている。
 ライリー殿下もニコニコ頷きながらタコさんウィンナーをつまんでいる。

 遠慮という言葉は、彼らにも国王陛下や王妃様の辞書にも存在していないようだ。血筋か。血筋だな。

 タコさんウィンナーは切って焼くだけだから、そこを誉められても嬉しくもなんともないんだけど。

「………まあ、恐縮でございます」

「あら、リーシャ疲れたのかしら?何だか目が眠そうな………」

「いえこれでぱっちり全開でございます」

 鮭のお握りがもうどこに入ってるのか分からない。

 ダークやフラン、ルーシーや使用人一同もなるべく目の焦点を合わせないようにしながら、

「いいお天気で良かったですわね」
「いや全く全く」

 などと当たり障りのない会話をそらぞらしく続けている。


 普段と全く変わらないのは子供たちだけである。

 国王の膝に乗せられて、モギュモギュとハムスターのようにタラコのお握りを減らしているアナに気づき、おい何しとんやワレ、と目眩がした。

 ジークライン王子はと見ると、嬉しそうにクロエからアスパラベーコンをあーんされている。

 もうこのロリコン気味のバカップルは止めても無駄だからどうでもいい。

「これアナスタシア、失礼ですよ、ちゃんと普通に座りなさい」

 私は強くたしなめるが、国王陛下からいやいやと手を振られた。

「よいよい。孫と戯れてる気分で楽しいしな」

「本当ですわねぇ」

 王妃の膝の上にはレイモンド王子が乗っていて、昆布のお握りを持ちながら玉子焼きを食べていた。


 もう、なんと言うか絵面が最悪である。

 孫扱いはやめて下さい。
 本当に孫の嫁になったらどうしてくれるんですか。

 ここもうロイヤルファミリーのラグジュアリー空間みたくなってるから。お腹一杯だから。


 ………あ、そう言えば、ヒューイさんも100メートル走で1位を取ったようで、

「ミランダがチョコレートケーキを食べて、すっごい美味しい、レシピを後で教えてくれとせがまれたんで宜しく。
 あと綱引きは出来たら応援してね」

 と、運営ブースでケーキの在庫確認をしていた時にふらっとやってきて、囁いて消えていった。

 すっかり半径数メートル内に於けるワイルドな戦いに気をとられてヒューイさんの応援するのをコロッと忘れていた。
 本当に申し訳ない。


 でも、綱引きって確かジークライン王子も出るんだよなあ。
 同じチームだといいけど。赤か白かを聞くの忘れてたわ。

 ちなみに、本日ダークは白チーム。
 ジークライン王子は赤で、マークス兄様とブライアンは白だった。

 ジークライン王子には申し訳ないけど、私は当然の事ながら、旦那様と兄弟の所属チームの白を応援している。

 ………まあ彼はクロエだけ応援してくれたら満足だろうから、本当は全く申し訳ないとか髪の毛1本ほども思ってないけど。


◇  ◇  ◇


 午後イチ競技の大玉転がしは、単に5人位の幅にした列に直線に並んでもらった人の上を、紅白の大玉が転がって行き、ゴールへの到着が早い方のチームが勝利する、というシンプルなゲームのハズなのだが、スタート時から地鳴りのような雄叫びは聞こえるわ、

「手を出さなきゃいいんだ手を出さなきゃ!女性は向こう側にわざとよろけろ!男は胸筋でぶつかれ!」

 などと、すっかりルールを無視したケンカ祭りのようになっている。大玉が御輿にしか見えなくて怖い。



「ルーシーさぁんルーシーさぁん?」

「はいはーい、こちらルーシーです」

「お昼ご飯を食べて、お腹も一杯になって人に優しくなれる時間に、懲りもせずにまだしぶとくケーキの事を考えるような方ばかりなのでしょうか?
 それとも単にチームに勝利をもたらそうという純粋な思いなのでしょうかー?」

「確実に前者でございますねー。
 スイーツは別腹ですから、生ケーキは無理でもせめて団体競技でリーシャ様印のパウンドケーキだけは、という必死な思いが玉を転がす手に宿っているように思えま………おおっと!小競り合いの発生で赤チームが玉を地面に落下させたぁぁ!
 慌てて取りに走る男性たちをカバーするように、白チームの側で見え見えの転倒をする数人の赤チームマダァァム!!
 分かっていても助け起こさないのは紳士としてあるまじき行いなだけに、周囲の男性がワサっと抜けたぁ。人手不足で白玉がなかなか前へ進まなぁいーー!!」

「相手の行為を非難する時間があるなら同じ事をやり返せといった体で、前方でも白チームのマダァァムが貧血のように額を押さえて赤チームの列側にしゃがみこみましたわ~!
 ………あ、あれはリーシャとは比較にならないまでも、なかなかの美貌で評判の未婚の伯爵令嬢ですわぁ~!
 これは行くでしょう!行きましたっ!
 頼まれなくても若い男性陣がゴソっと列からダッシュしましたぁぁ!」

 邪魔しあい、蹴落とそうと、どちらも引かない。

 結局、色仕掛け作戦が功を奏したか、複数人の可愛いご令嬢の具合が【偶然】悪くなった、と言い張る白チームが勝利判定を受けて、白チームの勝利の雄叫びが会場に響き渡るのだった。


 この町、ほんと大丈夫なんだろうか。



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