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しおりを挟む今日は潤也さんも自分も休みの日。
そして今日は待ち焦がれたお客が来る。
彼とソファでくつろぎながら待つも、少しソワソワしてしまう。
「楽しみか?」
「はい、とっても。ずっと会ってみたかったんですよ。楓斗さんとっても綺麗な方でよく雑誌でも見るんです」
楓斗さんはモデルだ。
自分と同い年なのに本当にすごい。
そう意気込んでいると抱き寄せられ頬を撫でられる。
「お前の方が綺麗だ。…が、廣瀬には言うなよ」
「分かってますよ。廣瀬さん、奥さんのこと大事にされてますもんね」
「俺だってしてる…」
甘えるように頬を擦り寄せる彼の頭を撫でる。こんなところでも嫉妬してしまうなんて、可愛らしいとさえ思ってしまう。
「分かってますよ。僕、大切にされてます」
今思えばこうして触れ合えるのも数週間前であれば有り得なかったことだ。
幸福感を噛み締めているとチャイムが聞こえる。
「来たか」
「はい、お迎え行きましょうか」
「…もっとしたかった」
「また後でしましょう」
少し残念そうな彼の手を引き玄関にて彼らを迎える。
「お邪魔します。透さん、ご無沙汰してます。潤也さんは…昨日ぶりですかね」
「俺への対応冷たくないか…」
いつもの調子で話す廣瀬さんの一歩後ろにいる彼を見つける。
「紹介します。妻の楓斗といいます」
「はじめまして、いつも翼がお世話になってます」
凄く…顔がいい。
こちらはこんなに緊張しているのにそれを感じさせない笑顔だ。
「いえ、翼からいろいろ聞いてます。…妻の透だ、仲良くしてやってください」
「…はじめまして、透です。どうぞ、お二人共上がってください」
リビングへと案内し、お茶を出そうとキッチンへ入ると後ろから楓斗さんに声をかけられる。
「…あの、これよかったらどうぞ」
「え?…あ、そんな…お気遣いありがとう。いただきます」
お菓子を頂いてしまった。美味しそう…クッキー缶だ。
「透、って呼んでいいかな。…ほら、俺ら同い年だし。敬語も無しで」
「もちろん、ずっと会いたかったんだ。…仲良くしてね」
思っていたより自然に話せる。
嬉しい…。と感動しつつお茶の用意を手伝ってくれるそうなので一緒に台所へ立ちながら雑談をする。
「楓斗君この前表紙だったよね、凄くよかった」
「まじで?、見てくれたんだ。嬉しい。…透のブランド、よく着るんだ。凄く気に入っててさ」
「ほんと?、ありがとう。…新作の試作が来てるんだけどよかったら見る?気に入ってくれたらあげるよ」
「え、いいの?!最高。…な、コラボ作品とか出来たらいいな」
「それ!すごくいい!…僕はいつでもできるけど楓斗君事務所とかもあるよね」
楓斗君とのコラボ商品。夢のようだ。
楓斗君をイメージした服、今までにも少しづつイメージしたりはあったが完璧にイメージしたりするのは初めてだ。
小皿に予め用意していたケーキに先程頂いたクッキーを添えてお茶と共にローテーブルへと運ぶ。
「美味い…」
「気に入ったなら俺の分も食べるか?」
ピッタリ寄り添って座る彼ら。
おしどり夫婦だ。
「おかわりもあるので用意しましょうか?」
「…透の作ったケーキは美味いだろ」
「え、透が作ったの?」
自分の事じゃないのに一人自慢げか潤也さん。
まったく、と思いながらも笑みが漏れてしまう。
ケーキの残りを持ってきて再度座ると彼に肩を抱かれる。
ほんとにこの人は、とさりげなく置かれた大きな手にそっと頬を擦り寄せ向かいの席で仲睦まじくじゃれる翼さんと楓斗君を見守る。
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